ローコスト住宅は安くて魅力的ですが、いろいろ不安な点も多く悩んでいる人も多いのではないでしょうか?ローコスト住宅に関する情報にはあまり良くない内容のものもあるので心配になりますよね。
この記事では、
このようなローコスト住宅に対する3つの「本当に?」について解説しています。
ローコスト住宅を検討している人が不安に思っていることをクリアにして、家づくり計画を一歩前進させるための参考にしていただければと思います。
ローコスト住宅といえば、広告でよく「コミコミ価格」というワードを見かけますよね。
1つめの「本当に?」はこの「コミコミ価格」についてです。
安さを売りにしているローコスト住宅メーカーがこぞって使っているこのセールスワード。
本当に表示通りのコミコミ価格で家が建つのでしょうか?
「コミコミ価格」とは、ローコスト住宅メーカーがよく使う売り文句です。
一見すると、コミコミ価格の「コミコミ」には家を建てるために必要なものがすべてコミコミになっている、つまり含まれている、という意味に思えますよね。
会社側にも、そう受け取って来店してくれるお客様を増やそうという「集客効果」の狙いがあると思われます。
しかしこのうたい文句を信じて来店した人が、実際はコミコミ価格で家を建てることは不可能で、広告価格についてふれることもなく平気で予算を上げさせようとしてくる、という対応をされたという話を聞くことがあります。
「コミコミ価格」という言葉に不信感を持ってしまっている人もいらっしゃるかもしれません。
この「コミコミ価格」というセールスワードは、中小のローコスト住宅会社の公式ホームページでよく使われています。
タマホームのような大手の会社は、公式ホームページでは大々的に使っていないようですが、折り込みの広告チラシでは使うことが多いようです。
ローコスト住宅メーカーの公式ホームページや広告チラシにコミコミ価格が載っている場合、よく見ると実は何がコミコミであるかは明記されています。
たとえば
などが表示されています。
しかしこのような表示がない広告は、家を建てるために必要不可欠な付帯工事費ですら一切含めていない可能性があります。
そのような広告を出している会社は、相談をはじめてからどんどん費用が足されていき、気づいた時には予算オーバーになることがありますので注意が必要です。
表示がある場合でも、建築の素人であるお客様からすれば難しい用語が並べられているので
と不明な点があると思います。
では、コミコミ価格と関係が大きい「付帯工事費」とは具体的にどのような内容なのでしょうか?
付帯工事費とは、家を建てるために必要な工事のうち、本体(建物)以外の工事にかかる費用のことです。
まずは一般的な付帯工事費とは何か具体的にみていきましょう。
以上が一般的な付帯工事費の項目です。
(付帯工事費の項目について規定はありませんので、ここに記載しているものが必ずしもすべてではありません。)
「コミコミ価格」や「坪単価」が表示されている場合は、お客様側からすると「必要な付帯工事費は含めていてほしい」というのが本音ですよね。
そしてそのようにしている会社があれば、「良心的だ」と感じると思います。
しかし一般的な付帯工事費の中には、外構工事費やエアコン工事費など、建物の工事とは関係のない項目も含まれていますので、付帯工事費すべてが含まれた金額を表示している会社は残念ながらほとんどありません。
では次に、“コミコミ価格に含まれる付帯工事費”とはどのような内容のものなのでしょうか?
コミコミ価格に含まれる付帯工事費の項目は各社さまざまです。
実際の広告チラシと見積書に記載されていたものを見てみましょう。
(両方に共通する項目は太字で表示しています。)
1.大手ローコスト住宅メーカーの広告チラシに掲載されていたコミコミ価格に含まれる項目
2.某ローコスト住宅メーカーの見積書に記載されていたコミコミ価格に含まれる項目
この2つの例を見てまずわかることは、全体で15項目あり、共通する項目は半分ほどの7項目だということです。
共通項目
この7項目については、二社共通してコミコミ価格に含まれています。
それ以外の8項目については二社で内容が全然違っています。
先ほどの広告チラシの例でありましたが、コミコミ価格に「オプション工事費用」や「諸経費」が含まれていることがあります。
このどちらもが内容が具体的に決まったものではありません。
オプション工事費用は、お客様がどのようなオプションをどれくらい追加するかによって金額の幅がとても大きくなります。
諸経費についても、“一般的な諸経費”は数百万円かかりますから、この広告での諸経費が一体何を指しているのかはチラシを見ただけでは全くわかりません。
コミコミ価格には金額の幅が大きな項目は含まれるとは思えませんので、ある程度上限を設けていると考えられます。
このように、パッと見て「安い!」「たくさん含まれているから安心かも」と感じてしまいそうな広告には、注意が必要です。
来店前に電話で問い合わせをして確認することをおすすめします。
コミコミ価格にはいくつかの工事や保証などが含まれていることはわかりました。
でも家を建てる際には必ず「諸経費」がかかります。
また、付帯工事に含まれる工事のうち、コミコミ価格に含まれないものもたくさんあります。
ほかにどのような費用がかかるのかみていきましょう。
コミコミ価格に含まれない費用
以上が一般的にその他に必要な費用です。
解体費、造成費、地盤改良費は土地によって不要な場合があります。
地鎮祭や太陽光発電についても、お客様の意向によって必要ない場合があります。
しかしそれ以外についてはほとんどの人が支払わなければならない費用となります。
特に外構工事費やローン関連費は金額がとても大きいです。
これらの費用の概算合計は、約400〜600万円にもなります。
そして多くの人はこのほかに土地代も必要になります。
1つめのギモン、「本当にローコスト住宅はコミコミ価格だけで建つの?」に対する答えは、残念ながらコミコミ価格だけでローコスト住宅が建てられないということです。
「広告のコミコミ価格は本当なのか?」ということに関しては、きちんと内容が明記されていて信頼できるものもあるでしょう。
しかしそうであったとしても、家を建てるためにはそれ以外に数百万円の費用がかかるので、コミコミ価格の金額を中心に家づくりの計画を進行させることはおすすめできません。
家づくりではトラブルなどで突発的に予定外の資金が必要になることも考えられますので、予備費として50~100万円ほどとっておくことをおすすめします。
ローコスト住宅を建てる場合でも、ギリギリの予算を組まず余裕をもった資金計画を立てることが重要です。
2つめの「本当に?」はローコスト住宅の品質についてです。
ローコスト住宅は低品質であると言われることがありますが、実際はどうなのでしょうか?
ローコスト住宅はよく「安かろう悪かろう」と批判されることがあります。
ローコスト住宅を検討している人が一番心配な点ではないでしょうか?
でも今はローコスト住宅でも、かけるべきところに費用をかければ高品質な家を建てることが可能です。
大切なのは家のすべてに「ローコスト」を求めず、重要な部分にはコストをかけておくことです。
高品質なローコスト住宅を建てるためのアドバイスを詳しくまとめた記事がありますので、ぜひご覧ください。
ローコスト住宅に多く使われている工法・断熱材、耐震性・長期優良住宅・住宅性能表示制度などについて詳しく解説しています。
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「本当にローコスト住宅は低品質なの?」というギモンに対する答えは、ローコスト住宅だからといって低品質だとは一概に言えないということです。
たしかに1,000万円未満の家だと、材料や施工が良くないことにより品質に不安が残るケースも考えられます。
しかし坪単価が40〜50万円前後のローコスト住宅であれば、耐震等級を取得したり、長期優良住宅仕様にしたりと、躯体にコストをかけることが出来ます。
コストのかけ方によってはローコスト住宅でも耐久性、耐震性、気密断熱性の高い高品質な家を建てることは可能です。
ただし予算には限りがありますので、別のところでコストを抑える工夫が必要になってくるでしょう。
3つめの「本当に?」はトータルコストについてです。
ローコスト住宅は「耐久性が低いからメンテナンスコストが余計にかかる」「断熱性が悪くて光熱費が高い」など、「結局トータルコストがかかる」ということがよく言われます。
本当にそうなのでしょうか?
この点もローコスト住宅を検討する際に気になるポイントですよね。
ローコスト住宅のトータルコストが何と比較して高いと言われているのかというと、それは高性能住宅です。
では、ローコスト住宅と高性能住宅のトータルコストについて、詳しくみていきましょう。
「ローコスト住宅」とは「コストが低い住宅」という意味ですが、コストにはその内容のちがいによって種類があります。
ローコスト住宅の”コスト”は「イニシャルコスト」のことを指します。
このイニシャルコストという言葉は聞き慣れないという人が多いかもしれません。
イニシャルコストとは初期費用のことで、家のイニシャルコストとは建築費、土地代、その他の諸経費をすべて含めた「家に住むまでに必要なコスト」のことです。
(月々支払っていく住宅ローンの返済額もイニシャルコストに含めて考えます。)
ローコスト住宅はその「イニシャルコストが安い家」ということなのです。
ですが実際は家に住み始めてからもお金がかかりますよね。
「家に住み続けるために必要なコスト」のことを、ランニングコストとよびます。
そして家を建てて住み続けるために必要なトータルコストとは、イニシャルコストとランニングコストを合計したコストのことを意味します。
トータルコスト = イニシャルコスト + ランニングコスト
このランニングコストについてしっかり考えておかなければ、せっかくの新築での生活に余裕がなくなる日がきてしまいます。
そうならないために、ランニングコストについてしっかり考えておきましょう。
家を建てる際のイニシャルコストは何千万円単位の金額ですから、ついそこにばかり注目してしまいがちです。
住宅ローンの借入額と直結するので当然のことですよね。
たしかに日々の生活にゆとりをもたせるためには、無理な借り入れだけはしてはいけません。
そこでローコスト住宅を建てる人が多いわけですが、忘れてはいけないのが先ほど解説したランニングコストです。
ランニングコストには
などがあります。
それぞれ詳しくみていきましょう。
光熱費とは、ガス代や電気代などのライフラインにかかる費用のことです。
水道代を含めて考える場合と、そうでない場合があります。
水道代を含めて水道光熱費と呼ぶこともあります。
この記事では光熱費に水道代を含めずに解説しています。
メンテナンスコストとは、家の修繕にかかる費用のことです。
家は長期間安全に住み続けるためにはきちんとメンテナンスをしなければいけません。
外壁や屋根、内装、設備などの補修や交換には多額の費用がかかります。
特にローコスト住宅はメンテナンスコストが多くかかると言われています。
その理由として、安価な材料を使っている場合にメンテナンス頻度が多くなってしまうことが考えられます。
家を所有し続けるためには毎年納税をする必要があります。
土地と建物に固定資産税が必ずかかりますし、地域によっては都市計画税もかかります。
新築一戸建ての固定資産税の平均額は年におよそ10~12万円ほどです。
ほとんどの人が家を建てる際に住宅ローンを利用されると思います。
現在ほとんどの金融機関が、返済期間中の火災保険への加入を住宅ローン利用の条件としています。
ですから住宅ローン利用での家の購入時には必ず火災保険に加入していますが、火災保険は最長で10年、地震保険は最長で5年で満期を迎えてしまいます。
火災保険料と地震保険料もずっとかかるランニングコストの一つです。
家に長く住んでいると、20年後30年後にはリフォームや建て替えの必要な時期がやってくることもあります。
特に品質の良くないローコスト住宅の場合は、老朽化して傷みがひどいと建て替えが必要になるケースがあるかも知れません。
これらの費用も家を維持するために必要なランニングコストです。
以上が家のランニングコストの内容です。
ではなぜ高性能住宅はランニングコストが安いのでしょうか?
高性能住宅とは一般的に、気密断熱性、耐震性、省エネルギー性、換気システムなどが優れている家のことを言います。
客観的に高性能であることがわかりやすいのは、長期優良住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や低炭素住宅などです。
高性能住宅はイニシャルコストが比較的高額になります。
ローコスト住宅と比べると1,000万円以上高くなることも
あります。
しかし高性能住宅のメリットは、ランニングコストが安いことです。
高性能住宅のランニングコストが安いとされている理由には
などがあります。
特にこの中でコストの差が大きくなる理由は、「光熱費がゼロ」であることです。
日本全国の一般家庭の平均光熱費はひと月に約19,000円弱です。
年間では、約23万円。
30年間で、約684万円にもなります。
低品質なローコスト住宅の場合は、光熱費がもっとかかります。
それが“ゼロ”になるのなら、この差はかなり大きいですよね。
ではなぜ高性能住宅は光熱費がゼロになるのでしょうか?
ローコスト住宅でもそれが可能にはならないのでしょうか?
“光熱費ゼロ”について、一歩踏み込んで考えてみたいと思います。
なぜ光熱費がゼロになるのかというと、それは太陽光発電システムと蓄電池を導入しているからです。
自家発電した電気を使い、余った電気を売って収入を得たり蓄電したりすることによって、プラスマイナスしたときに光熱費がゼロ(もしくは売電収入が多い場合もある)になるわけです。
ということはつまり、ローコスト住宅にも同じように太陽光発電システムと蓄電池を導入すれば”光熱費ゼロ”は可能だということです。
ローコスト住宅でも光熱費ゼロの家に出来るのなら、高性能住宅とのランニングコストの差が少なくなりますよね。
ただし注意しなければいけない点があります。
それは、家庭用蓄電池はとても高額だということです
家庭用蓄電池は現在とても高額で、初期費用として100万円以上はかかります。
太陽光発電パネルも同じように初期費用がかかりますが、蓄電池の最大のデメリットは寿命が10年ほどしか持たないということです。
10年ごとに100〜150万円ほどの出費が確定的であることが、家庭用蓄電池のデメリットです。
ローコスト住宅・高性能住宅どちらの場合も、蓄電池の導入をすると交換費用というランニングコストがかかるのでよく検討する必要があります。
蓄電池には多くのメリットがありますが、コストの面ではローコスト住宅を検討している人にとって現実的には厳しいかもしれません。
家庭用蓄電池は、コスト面から考えると導入が難しいことが多いかと思います。
しかし蓄電池の導入ができなくても、売電制度がある限りは太陽光発電システムがあるだけでも、光熱費ゼロが実現できると考えられます。
ただし蓄電池なしに太陽光発電のみで“光熱費ゼロ”にする場合、売電制度がこの先ずっと継続されるかが不透明であることがリスクです。
また、10年間の売電契約は必ずしも保証されているわけではありません。
売電制度が継続されると仮定するならば、蓄電池がなくても太陽光発電システムさえあれば、ランニングコストを大幅に下げることが可能だということになります。
3つめのギモン、「本当にローコスト住宅のトータルコストは高いの?」に対する答えは、そうとは一概に言えないということです。
高品質なローコスト住宅を建て、太陽光発電システムを導入すれば、高性能住宅と比較してトータルコストが高くなることはありません。
なぜなら高性能住宅はイニシャルコストがローコスト住宅と比べてかなり高額だからです。
イニシャルコストが安いローコスト住宅を建て、光熱費をゼロにすることでランニングコストを下げれば、トータルコストを抑えることが可能なのです。
ただし次のような場合は例外です。
このような場合は高性能住宅と比較すると、ローコスト住宅のトータルコストの方が高くなってしまう可能性が出てきます。
家庭用蓄電池がもっと買いやすい価格になることと、売電制度が安定したものになることに期待したいところです。
いかがでしたか?
この記事では、ローコスト住宅に関する3つの「本当に?」について解説しました。
ローコスト住宅について少しでも不安が解消されたでしょうか?
家づくりで大切なことは、長い目でみて考えることです。
もちろん「今」のこともとても大事です。
「今」と「近い将来」、「遠い将来」すべてのバランスを考えて、ベストな選択をすることが後悔のない満足できる家づくりをする大切なポイントです。
ご家族でじっくり検討して、素敵な家づくりをしてくださいね。
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