地震保険には加入したほうがいい?熊本地震被災者が地震保険を請求してみた結果!

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はじめまして。現在、熊本在住のmuneshinと申します。最近では熊本といえば、地震があった地域という見方が強いですが、事実、地震の復旧作業は未だに続いています。

我が家も熊本地震でなかなかの被害に遭い、築4年で保険会社の査定で「全損」という扱いを受けることになりました。

幸い、地震保険に加入していたので、満額の保険料750万円を受領できたのですが、地震保険についてよく知らない人もいるようですし、何よりこの満額の保険料を受領するために、保険調査員とも交渉を重ねました。

知っていて損はない、地震保険の話。地震大国日本であるからこそ、知っておいて損はないですよ。

【著者】muneshin
平日は長時間労働の社畜サラリーマン。休日はウェブライター。
一攫千金を狙い、仮想通貨に230万円を投資。直後に大暴落。
それでもめげずに、住宅ローン完済のために日夜奮闘中。

地震保険ってなに?その基礎知識!


地震保険は、近年、最も注目されている保険です。まあ、これだけ大きな地震が各地で増えてきている以上「他人事ではない」と捉えている人が増えてきているあらわれですね。

実際、2000年代初頭には地震保険の加入率は全国平均30%台だったのに対し、2017年度には60%以上の世帯が地震保険に加入しています。

地震保険は火災保険とセットで加入できる保険

意外と知られていませんが、地震保険は単体で加入できる保険ではありません。地震保険は火災保険に「付帯」される保険です。

つまり、火災保険に入らないと、地震保険に加入はできません。まあ、地震保険には加入して、火災保険に入らないという選択は、ないといえばないでしょう。

地震の時には、揺れの被害もそうですが、火災の被害も結構おきてますからね。火災保険はセットで考えて当然といえば当然でしょう。

また地震保険は、ただの保険商品ではなく「地震保険法」という法律に基づいた、国と保険会社が共同で運営している制度です。

ある意味、国の補償制度みたいなものですから、これには乗っかっておいたほうが安心と思いませんか?

地震保険は地震以外にも津波や噴火にも対応

これもあまり知られていませんが、地震保険は「火災保険では補償できない地震、噴火、津波の災害を補償」してくれる保険です。

つまり、噴火や津波といった地震以外、または地震とセットで襲ってくる可能性のある災害にも対応しています。

津波や噴火の恐ろしさは、報道でもみてとれますが、私は、東日本大震災の翌年、被災地である仙台を訪れました。

津波被害の大きかった住宅街の跡地にも行ったのですが、家が立ち並んでいたはずの場所が、ただっ広い平地になっていたのには衝撃を受けました。

家の基礎らしきものは物凄く並んでいるのですが、家屋が見渡す限り存在しない。ガイドの方に聞くと、この地域の家屋は、すべて津波で流されたということでした。

ここで見た異様な光景が頭に焼き付いており、家を建てる時には、必ず地震保険には加入しようと決めていました。しかし、すぐに使うことになるとはその時には思ってもいませんでしたが・・・

地震保険の支払い金額例を紹介

地震保険の重要性を解説していますが、実際に地震保険でどのくらい保証がされるのか?というのが一番気になるところでしょう。

基本的な知識のおさらいとして、地震保険は火災保険に付帯する保険であることは先述したとおりです。そのため、地震保険で支払われる金額は、火災保険の上限を超えることができないということは覚えておいてください。

火災保険は、建物と建物内の家財について加入することができます。家財については後述しますので、ここでは建物について解説します。

実例を挙げると、我が家は建物にかかった費用が1500万円でしたので、その分を補償する火災保険に加入しました。そして、地震保険は火災保険の対象金額から最大で50%が補償されます。

つまり、我が家の加入した地震保険では、MAXで750万円が補償されるという計算です。

基本的に地震保険を適用する場合には、家屋の被害状況を確認するために保険調査員という人が、被害状況を確認しにやってきます。

熊本地震後も、我が家の被害状況を確認するため、保険調査員の方が来られましたが、交渉の末、我が家は最大補償金額の750万円を補償してもらうことができました。

ちなみにこの時、保険調査員とは一悶着ありましたので、そのことも合わせて後述いたします。

これだけは一つ言えるのですが、それなりに自分でも査定条件の知識はつけておいたほうがいいですよ。

そもそも地震保険って必要なのか?


大規模災害を経験していない地域ほど、当たり前ですが地震保険の加入率は低いです。

熊本は熊本地震後に、地震保険加入率が大幅に上昇したようですが、地震発生前には、私の周りでも地震保険に加入している人はほとんどいませんでした。

私の知人は、新築引き渡し直後に地震に見舞われ、地震保険に加入していなかったばっかりに、住宅ローン支払いと補修費用の二重ローンに追われることになった人もいます。

現在の状況を考えると、日本で地震の発生しない地域はないと断言できるでしょう。テレビで避難所の映像が流れているのを見て「まさか自分が」と思っていませんか?

私はそう思っていて、実際に避難所で数日過ごすことになりましたが「まさか自分が」ということはありえない、ということを痛感しました。

日本は地震大国であることを忘れてはいけない

日本は地震大国です。日本の周りでは、地震の原因であるプレートが4つもぶつかり合っているので、定期的に大地震が発生しています。

この定期が100年〜1000年という人間にとってはとても長いスパンのため、つい忘れがちなのですが、間違いなく、日本は大地震が確実に発生する地域です。

熊本も「地震はこない」という迷信のようなものがなぜか信じられていたのですが、実際には100年ほど前に「明治熊本地震」という大地震が発生していました。

文献を見ればすぐにわかることですが、なぜか「平成熊本地震」が発生するまで、ほとんどの人が「熊本には地震はこない」と思っていたわけです。

熊本地震の際、報道でも「想定外」というワードが頻繁に使用されていましたが、現在の日本に「想定外」はありませんね。

地震保険は液状化被害にも対応しています


地震保険は近年、問題になっている液状化被害も補償してくれます。地震の揺れでの被害も大変ですが、液状化による家屋の被害も深刻です。場合によっては家を解体して、地盤改良工事から始める必要すらあります。

我が家はさすがに、家を解体して地盤改良からやり直すほどのお金は持ち合わせていませんでしたので、家屋の周りに穴を掘ってジャッキの下に鉄板を入れる工法を採用しました。

この工法が一番安上がりだったのですが、それでも費用は約300万円と高額です。本当に地震保険に加入していてよかった・・・

家財保険にもセットで加入しておくのがおすすめ

家財保険も火災保険の付帯保険です。この保険は、家屋内の財産であるテレビや家具、洋服に至っても補償してくれます。

地震では、家屋へのダメージと同時に、家財にも損傷が見込まれますので、地震保険と家財保険はセットで加入しておくのがベターといえるでしょう。

実際に地震保険を使用してみました


さて、先述したように、我が家は熊本地震で被災したため、実際に地震保険を適用し、無事に家屋を修理することができました。

しかし、地震保険の満額を補償してもらうには、多少紆余曲折ありましたので、そのあたりを解説していきます。

熊本地震で被災!その時の事例を紹介!

熊本地震で被災した際、我が家で最も重要な問題は、家屋の損傷もそうですが、液状化によって傾いた家屋をどうするのかでした。

地震発生時、私の居住地域は液状化が発生する地域とは考えられていませんでしたので、予想外の状況に慌てたのをおぼえています。

どちらにせよ、傾きを直す必要があるのですが、修繕費用は安い業者でも約300万円と高額。

国から交付される支援金や義援金では到底補填できない金額でしたので、地震保険がどこまで適用できるのかを調べてみたところ、意外なことがわかりました。

液状化では査定基準が違います。その基準とは?

地震保険は、家屋の損傷状態で「全損」「大破損」「小破損」「一部損」と区分が分かれます。そして区分ごとに支払われる保険料も変わるのが特徴です。

  • 「全損」 100%支払い
  • 「大破損」 60%支払い
  • 「小破損」 30%支払い
  • 「一部損」 5%支払い

以上が、地震保険で支払われる金額の目安ですが、「全損」と「大破損」では大きく金額が変わります。

地震で「全損」扱いになるには、主要構造部が50%以上損害を受けている必要があり、そうなると見た目にも大きな損害です。

しかし、液状化被害の場合、主要構造部が損害を受けていなくても、建物の傾斜が1度以上ある時点で「全損」判定をもらうことができます。

これ、結構重要です。

ちなみに我が家の傾きは、家屋の場所によって度数が変わっていました。

場所によっては傾斜が1度未満の場所もありましたが、1度以上傾斜の場所があれば、主張を通すことは可能です。

傾斜測定に関しても、調査員の方だけに任せるのではなく、自分でも測っておきましょう。スマホのアプリで傾斜計アプリがありますので、それをダウンロードして傾斜を測り、そのデータを保存しておけば大丈夫です。

保険会社との話し合いは必須!

地震保険の基準を見れば、液状化被害での補償内容は明記されているのですが、これを知らないで単純に保険屋さんのいう通りにしておくと「全損」のはずなのに、見た目の損傷が少ないから「小破損」と査定される可能性もあります。

実際に我が家がそうでした。見た目の損害だけで判断され、同意書へのサイン一歩手前までいきました。

その時は、先述したように、自分で測定した傾斜データを出したり、役所に液状化被害の可能性が高いという言質をとったりするなどして、とにかく材料を集めました。

黙っていると、不利な条件でサインさせられる可能性もありますので、自分が納得するまで話し合いはすることが重要です。

自分でも情報収集はしておくべき!

話し合いとは無理を言うことではありません。こちらの要求を通すには、それなりに説得力のある材料が必要です。

私は、先述したような形で材料を集めましたが、どうしていいのか解らない場合には、役所に助けを求めてみてください。

災害時には、復旧に関しての問い合わせに専門で対応してくれる部署が設けられることが多いので、そのような部署は遠慮なく利用させてもらいましょう。

地震保険の注意点


地震保険に加入しようと思っても、実は地震保険に加入できないというパターンもあります。うっかりしていたでは遅すぎるので、事前に知識は入れておくことが重要です。

住居でない建物は地震保険には加入できません

地震保険は建物に設定される保険ですが、この建物というのは「住居用建物」に限定されます。つまり、事務所や店舗といった建物には設定できませんので注意が必要です。

地震保険は再加入もできます!

地震保険は契約期間を過ぎると満期となります。満期となった場合でも、再加入は可能です。

ただし、地震保険はその時点での災害状況や、建物時価で保険料や補償額が変動しますので、金額の確認は必須になります。加入して保険料見てビックリ・・・なんてことにならないようにしましょう。

我が家も先日、新たに地震保険に加入しました。「全損」扱いを受けていたので、加入できないのかな?と思っていたのですが「傾きの修善が完了しているので大丈夫」との返答をいただき、無事加入。

もし、同じような状況の人で、再加入を諦めている人は、保険屋さんに相談してみてください。意外となんとかなるかもしれませんよ。

行政の判定と地震保険の判定は異なります!

大規模災害時には、行政による支援金や義援金の交付がありますが、この交付金額も、地震保険同様、区分により判定されます。

仮に地震保険で「全損」であっても、行政の判定は異なることが通常です。我が家は保険では「全損」でしたが行政では「半壊」という扱い。

行政でも区分によって受け取れる支援金、義援金の額が大幅に変わるので、液状化の話などもしましたが、行政の場合は、見た目の損傷度でしか判断されないようでした。

しかし、実はこのような大規模災害時には、行政の査察員も膨大な数の家屋をチェックしなければならず、初期判定は家屋の周りをグルッと見て回って、見た目だけで判定しています。

見た目は綺麗でも中はボロボロということもありますので、不服があるときは二次判定を申し込みましょう。

二次判定になると、家の中の状況や傾斜なども詳しく調査して判定してくれます。この二次判定で、大きく区分が変わった人も多く、我が家もこの二次判定でなんとか「一部損」から「半壊」にまで持っていきました。

保険も行政も、交渉することは重要ですね。

地震保険には割引制度もあり!

地震保険にできるだけ安く加入するには、地震保険の割引条件を知っておくことが重要です。

「免震構造」や「2×4構造」といった建物の構造や、契約期間の長さで地震保険は割引が適用されます。地震保険加入を考えた際は、まずは自宅の構造を調べてみましょう。

当たり前ですが燃えやすい「木造」は高く、燃えにくい「コンクリート」などは安くなる傾向です。

地域に関係なく住居を建てるなら地震保険の加入をおすすめします


ここまで、地震保険に関して、私の経験をもとに解説していきました。

しつこいようですが、日本は地震大国です。地域は関係ありません。いつ、どこで大規模地震が発生するのかは、もはや解らない状況です。

先日、我が家は再び地震保険に加入しました。もう当分、地震がこないなどという考えは一切持っていません。

「くるかもしれない」と少しでも考える以上、我が家では地震保険加入はマストな選択です。災害が発生してから後悔するのは遅すぎます。せっかく建てたマイホームを守るためにも、地震保険には加入しておくことを強くおすすめします。

【著者】muneshin
平日は長時間労働の社畜サラリーマン。休日はウェブライター。
一攫千金を狙い、仮想通貨に230万円を投資。直後に大暴落。
それでもめげずに、住宅ローン完済のために日夜奮闘中。
ブログ:http://astrayroad.hatenablog.com/
 
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