「マイホームを持ちたいけど資金面で不安…」「子どもにお金がかかるから、できるだけ安く家を買いたい」そう考えたときに思い浮かぶのが、建売住宅とローコスト住宅です。しかし、建売住宅とローコストの違いはよくわからないという人も多いのが事実。当ページでは、以下3点にこたえる形で、詳しく解説していきます。
- ローコスト住宅と建売住宅って、どう違うんだろう?
- ローコスト住宅と建売住宅のどっちが安いんだろう?
- 品質面や安全面はどのように違うのかな?
この記事では、マイホームを検討する際に浮かんでくる、これらの疑問に対する回答を示しています。最後までお読みいただければ、ローコスト住宅と建売住宅の違いがまるわかりです。
ローコスト住宅と建売住宅の違いとは
マイホームの購入を検討している方の中には、『ローコスト住宅』と『建売住宅』を混同している方がいらっしゃいます。しかし、ローコスト住宅と建売住宅は全く意味が異なり、別モノなのです。はじめに、ローコスト住宅と建売住宅の定義の違いを確認しましょう。
ローコスト住宅の定義
ローコスト住宅とは、低価格で建てられるセミオーダータイプの注文住宅のこと。大手ハウスメーカーの坪単価は60〜80万円程度が目安であるのに対して、ローコスト住宅メーカーでは坪単価30〜50万円程度の商品が販売されています。
注文住宅といっても、ローコストなので完全な自由設計のプランを用意しているメーカーは少ないのが特徴。そのほとんどはいくつかの選択肢から選んでいくセミオーダー形式であるため、細かい部分までこだわりたい方には不向き。
ローコスト住宅の定義についてもっと詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。
建売住宅の定義
建売住宅とは、すでに完成された(または建築途中の)住宅を、土地とセットで購入するものです。注文住宅ではないので間取りや設備をカスタマイズすることはできませんが、完成後の住宅を購入する場合、実際の物件を見学してから購入できるメリットがあります。
ローコスト住宅と建売の【価格・値段】を比較
次に、ローコスト住宅と建売住宅の価格や値段について比較してみましょう。
ローコスト住宅は1,000万円台から建てられる注文住宅
先述した通り、ローコスト住宅を建てる際の坪単価の目安は30〜50万円です。
この坪単価で平均的な広さである30〜40坪の住宅を建てる場合、最安で1,000万円台からマイホームを購入できる計算です。(実際に家を建てる際には坪単価で示される金額以外にもいくつかの費用が必要なので、坪単価はあくまで目安として考えましょう。)
「本当に1,000万円台なんて格安価格で注文住宅が建つのか?」と疑ってしまう方がいるかもしれません。しかし、実際に大手ハウスメーカーのタマホームをはじめとして、様々なローコスト住宅メーカーが1,000万円台の住宅を販売している実績があるので、ご安心ください。
なお、ローコスト住宅を建てるのに必要な予算や、実際にいくらぐらいの金額が必要なのかについては、次の2つの記事をご覧ください。
建売住宅は安いものから高いものまでピンキリ
一方の建売住宅は、下は1,000万円台から上は5,000万円を超える住宅まで、様々な価格帯の商品が存在します。そのため、建売住宅ならどれを選んでも安い、ということはありませんので注意が必要です。
建売住宅の価格帯が幅広い理由
建売住宅の価格帯が幅広くなっている理由は、土地もセットでの料金で売られているからです。土地価格は都心部と地方で天と地ほどの差がある上に、駅からの近さなどの要因でも金額が大きく違ってきます。立地環境が良くて便利で、人気のあるエリアの建売住宅ほど高額になる傾向にあります。
もちろん、上物(土地の上に建てられた家自体のこと)自体が豪華なつくりになっている場合もあります。床面積が広くなれば建売住宅の価格は高くなりますし、建築材に高価な素材を使っていれば、住宅価格が上がるのは当然のことです。
ローコスト住宅と低価格な建売住宅のどっちが安いのか
多くの方が気にされるのが、「ローコスト住宅と低価格な建売住宅では、どっちの方が安いのか」というポイントです。結論として、住宅の品質にこだわらないのであればローコスト住宅の方がやや安くなる可能性が高いです。
その理由は、ローコスト住宅なら自分好みにカスタマイズできるため、不要な部分を削って必要最低限の住宅を建てられるからです。建売住宅は万人が魅力を感じる設計にしなければならないので、「これはいらないんだけど…」という部分も出てきてしまいます。
ローコスト住宅なら余計なオプションを増やさなければ、必要最低限の住宅になることでしょう。ただし、プラン内に含まれている標準仕様の内容は削れないケースがほとんどである点は注意が必要です。
土地を買うなら建売の方が安いことも
ローコスト住宅と建売住宅を比較した時に、ローコスト住宅の場合は別で土地を用意する必要がある(メーカーによっては土地とセットの商品もあります。)点は大きな違いです。
建売住宅は多くが土地とセットでの販売であり、土地価格も考慮するとローコスト住宅より安くなるケースもあります。
これは、建売住宅メーカーが土地を大量に仕入れていることが理由。大量仕入れで1軒あたりの土地価格が割安になれば、建売住宅の価格も安めになりますよね。
土地を持っているなら、ローコスト住宅一択
もしあなたが親族などから相続して土地を所有しているのであれば、よほどその土地が気に入らない場合を除いて、建売住宅を検討する必要はありません。迷わずローコスト住宅を選びましょう。
ローコスト住宅と建売の【デザイン】を比較
次は、ローコスト住宅と建売住宅のデザイン面での特徴を比較してまいります。
デザインの自由度はローコスト住宅の方が高め
もしあなたがデザイン重視派なのであれば、ローコスト住宅を選ぶのがおすすめです。
ローコスト住宅は注文住宅なので、設計プランが決まってから建築が行われます。
建売住宅の場合は「外壁デザインが気に入らないから変更してくれ」という要望が出せないので、どうしても変更したい場合は自分でリフォームするしか選択肢がありません。
ただしローコスト住宅でも完全な自由設計は難しい
ローコスト住宅はセミオーダータイプの注文住宅。外壁デザインやインテリアなどは、メーカーが提示してくるいくつかの選択肢から選ぶことになるでしょう。
例えば、「ドアは5種類から、外壁の色は3種類から、内装は2種類から」など、選べる選択肢はそれほど多くありません。
選択肢以外のデザインはお金がかかる
ローコスト住宅のデザインや設備は、希望があれば選択肢以外のものに変更することも可能です。しかし、その場合はオプション料金が発生するので、標準仕様の場合と比べてかなり高くなってしまうでしょう。
オプション料金がかさんでくると建売住宅とは比べものにならないほど高額になる恐れもあるので、ローコスト住宅は予算管理が非常に重要となります。あまりにも予算オーバーになるデザインの変更は、控えた方が無難です。
なお、ローコスト住宅の標準仕様に採用されることが多いキッチンや木材などについては、次の2つの記事で詳しく解説しています。
ローコスト住宅でも最終的には建売と似てしまうことがある
「建売より少し高いけど、デザインにこだわりたいからローコスト住宅を選ぼうかな」と考えてはいませんか?格安すぎるローコスト住宅メーカーだと、ほとんどデザインの選択肢がなく、結果的に建売住宅と似たり寄ったりなデザインになってしまうこともあります。
せっかくデザインを重視したくてローコスト住宅を選んだのに、建売と似たようなデザインになっては意味がないですよね。もしかすると、「建売ならあった設備が、ローコスト住宅を選んだことでつけられなくなった」というケースがあるかもしれません。
こういった失敗を防ぐためには、事前にローコスト住宅メーカーで選べるデザインの選択肢を調べておくことが大切です。
ローコスト住宅と建売の【品質・性能】を比較
ローコスト住宅と建売住宅を比較する際、品質や性能の面も気になりますよね。
こちらでは、ローコスト住宅と建売住宅の品質や性能について比較してまいります。
断熱性や気密性はとても重要
家づくりについて調べている方ならご存知でしょう。一年中快適に過ごせるマイホームを建てるためには、住宅の断熱性や気密性はとても重要です。
断熱性が低ければ冷暖房の効率が悪くなり、夏に暑くて冬に寒い、過ごしにくい住宅になってしまいます。また、気密性が悪いと住宅の保温効果が低くなる上に、壁内結露(温度差により壁の内側が結露すること。壁の中にカビが発生する原因になり、人体に悪影響を与えます。)も発生しやすくなります。
「住宅なんてとりあえず住めればいいでしょ?」と考えている方がいらっしゃるかもしれません。しかし、冷暖房効率が悪くてランニングコストがかさんでは、結局支払うお金は高くなってしまいます。
ローコスト住宅と建売住宅では、断熱性や気密性には何か違いがあるのでしょうか?
どちらか一方が優れている、ということはない
結論として、ローコスト住宅と建売住宅において「どちらか一方が断熱性・気密性に優れている」ことはありません。強いていうならば、ある程度価格が高くて高性能な断熱材を使っている建売住宅があれば、ローコスト住宅よりは性能がいいかもしれません。
住宅の品質は現場での施工力しだい
なぜどちらか一方が優れていることはないのか、その理由は住宅の品質は現場での施工力が最重要となってくるからです。どんなに気合を入れて設計し、高性能な建築材・工法を使ったとしても、現場で手抜き工事が行われては元も子もありません。
そういった意味では、完成品の建売住宅を購入するよりも、建築中の建売住宅やローコスト住宅の方が、建築段階から不正を監督しやすいです。
手抜き工事を防ぐには、第三者の監査機関を利用
残念なことに、住宅の建築工程を素人が監督しても、不正を見抜けるかどうかは微妙なところです。そこでおすすめしたいのが、施工業者とは異なる第三者の監査機関が行っている「ホームインスペクション」と呼ばれる制度。
ホームインスペクションとは、住宅の建設に関する専門知識を有した第三者が、手抜き工事が行われていないかをチェックしてくれるサービスのことです。
ホームインスペクションは建築途中のローコスト住宅や建売住宅で利用できるのはもちろん、完成後の建売住宅を購入する際にも利用可能。住宅に欠陥がないかどうか調べるためにも、ぜひご活用ください。
なお、ホームインスペクションについては次の記事で詳しく解説しています。
ローコスト住宅と建売の【安全性・耐震性】を比較
地震大国である日本で家を建てる際、避けては通れないのが地震対策です。住宅が地震にどれだけ強いのかは”耐震性”の言葉で表されますが、ローコスト住宅と建売住宅において安全性や耐震性に違いはあるのでしょうか?詳しく見てみましょう。
ローコスト住宅なら、要望に応じて耐震性をアップできる
ローコスト住宅なら住宅の構造部分(柱や基礎など)から設計できるので、要望があれば耐震性をアップさせることが可能です。住宅の耐震性をアップさせる方法をいくつか紹介します。
ちなみに、ローコスト住宅の安全性・耐震性については次の記事で詳しく解説しています。ぜひそちらもお読みください。
構造用合板を導入する
最もリーズナブルで選びやすい耐震性アップの方法は、構造用合板を導入することです。構造用合板とは、住宅の外壁に貼り付ける一枚の板のこと。”面”で地震の力を受け止めるため、従来の筋交いよりも耐震性が高いです。
安いローコスト住宅だと外壁内に筋交いを入れて地震対策を行っている場合がありますが、希望があればオプションで変更できることもあります。後述する2つの方法よりはコストがかからないので、おすすめの耐震性アップ方法です。
長期優良住宅を選ぶ
長期優良住宅と呼ばれる住宅をご存知ですか?長期優良住宅とは、長期間にわたり住み続けられる高品質な家を政府が認定する制度のこと。長期優良住宅に認定されれば減税や補助金など、様々な優遇措置が受けられます。
長期優良住宅に認定されるための条件として、次の各性能において一定の水準を満たす必要があります。
- 耐震性
- バリアフリー性
- 省エネ性
- 維持管理と更新の容易性
これはあくまで一例ですが、こういった各性能で一定の水準を満たせば、長期優良住宅に認定されると覚えておきましょう。そして、長期優良住宅の住宅はある程度耐震性に優れていると判断できるのです。
ローコスト住宅メーカーの中にも長期優良住宅に対応しているところは多いので、希望があれば相談してみてはいかがでしょうか?
制振ダンパーを組み込む
住宅の耐震性をアップさせる方法として、制振ダンパーを組み込む方法があります。
テクノロジーの力を最大限に生かした耐震性アップの方法ですが、制振ダンパーにはお金がかかります。オプション料金が高くなってしまう恐れがあるので、予算オーバーしないような配慮が必要。
また、ローコスト住宅メーカーの中には制振ダンパーのノウハウがなく、オプションに対応してくれないことがある点も注意しましょう。
建売住宅の場合は耐震等級と長期優良住宅を確認しよう
ローコスト住宅の場合、希望すれば耐震性をアップさせることが可能でした。一方の建売住宅はすでに建築が始まっている、または住宅が完成しているため、先ほどの方法を使うことはできません。
建売住宅の場合は、購入前に耐震等級と長期優良住宅について確認するのがいいでしょう。長期優良住宅は先ほど解説した通りで、建売住宅の中にも認定済みのものが存在しています。
そして耐震等級とは、住宅の耐震性を『1〜3』の3段階に分けて評価する制度のこと。耐震等級は数字が大きくなるほど性能が良くなっていき、『3』の等級が最も耐震性に優れています。
建売住宅の中には耐震等級をウリにしている物件もあるので、耐震性を重視する方はぜひ注目してみてくださいね。
新築一戸建てには耐震診断は不要
住宅の耐震性について調べている方は、「耐震診断」の言葉を目にしたことがありませんか。字面からは住宅の耐震性を診断してくれそうな印象を受けるため、「完成品の建売住宅は耐震診断してもらえばいいのでは?」と感じるかもしれませんね。
しかし、新築一戸建ての建売住宅を購入する場合、耐震診断は必要ありません。なぜなら、耐震診断は古い中古住宅が「新しい耐震基準に適合しているか」を調べるために行う検査だからです。
ローコスト住宅と建売の【メーカー】を比較
ローコスト住宅と建売住宅では、メーカーにどんな違いがあるのでしょうか?
比較してみましょう。
ローコスト住宅の代表的なメーカー
ローコスト住宅を販売する代表的なメーカーとして名前が挙がりやすいのは、次のメーカーです。
- タマホーム
- クレバリーホーム
- アイダ設計
- アイフルホーム
- アエラホーム
- アキュラホーム
- レオハウス
特にタマホームやクレバリーホームはテレビCMでもおなじみの大手メーカー。
全国各地での施工に対応していますから、ご存知の方も多いでしょう。
なお、ここで紹介したローコスト住宅メーカーを含め、全部で13のおすすめメーカーを比較した記事がございます。「ローコスト住宅にはどんなメーカーがあるのか知りたい」とお考えの方は、ぜひそちらもご覧ください。
建売住宅はメーカーよりも物件で選ぶ方が多い
ローコスト住宅は、メーカーを複数社比較して、自分が気に入ったメーカーで建てる方がほとんどです。一方の建売住宅は、メーカーから選ぶよりも実際の物件を比較して選ぶ方が多めです。
なぜなら物件ごとに間取りや設備が決まっているので、希望条件に適した住宅を探すためには、メーカーにこだわっていられないからです。建売住宅を検討中の方は、間取りや設備のほかに、住宅の耐震性なども重視して物件を探してみてくださいね。
建売をメーカーで選ぶことも可能
先ほどは「建売住宅はメーカーにこだわらない方が多い」とお伝えしました。しかし、もちろん特定のメーカーにこだわりがある場合、メーカーから逆算して建売住宅を探すことも可能です。
最近では、注文住宅を提供する大手ハウスメーカーも建売住宅を多く販売するようになりました。建売住宅を販売する大手ハウスメーカーの例は、次の通り。
- 積水ハウス
- パナソニックホームズ
- セキスイハイム
- トヨタホーム
- ダイワハウス
こういった大手ハウスメーカーは、注文住宅だと料金が高くてなかなか手が出ないこともありますよね。しかし、建売住宅であればもう少しリーズナブルな価格で販売されているので、ご自分の予算内で手が届く可能性があります。
「どうしてもこのハウスメーカーで建てたい!」とお考えの方は、興味のないローコスト住宅メーカーで妥協するのではなく、建売住宅を検討してみてはいかがでしょうか?
ローコスト住宅についてもっと知りたい方は
今回の記事を読んで、「ローコスト住宅についてもっと知りたい!」と感じましたか?ローコスト住宅に関する情報は、当サイトのたくさんの記事で詳しく解説しています。こちらの記事も参考になると思いますので、ぜひブックマークしてお時間のある時にお読みください。
まとめ
今回の記事では、ローコスト住宅と建売住宅の違いを、徹底的に比較しながら紹介しました。価格や品質、デザインなどの各要素を比較したので、ローコスト住宅と建売住宅の違いはもうバッチリ学べたのではないでしょうか?
最後に確認のために、記事の要点を簡単にまとめてみました。
- ローコスト住宅は「安い注文住宅」で、建売住宅は「完成品」
- デザインや設備のカスタマイズができるのはローコスト住宅の強み
- 建売住宅なら、大手ハウスメーカーの家にも手が届くかも
ローコスト住宅と建売住宅はよく比較対象として取り上げられますが、両者には異なる特徴やメリット・デメリットがあります。「自分や家族にはどっちの方が適しているんだろう?」と十分に考えて、憧れのマイホームを手に入れてくださいね。
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