マンションや土地などの不動産の売却は、人生の中で、そう何度も経験できるわけではありません。
しかも、長い人生の中でも1度くらいしか経験する機会が無いにも関わらず、大きな金額が動くため、失敗は許されません。
不動産売却で誰もが望むこと。それは・・・
高く、しかも、早く売れること
だと思います。
そのためには、売主として不動産売却の手順や注意点を押さえておく必要があります。
全体の手順や取引上の注意点を知っておくことが重要になってきます。
このページをご覧いただくことで、あなたが売却しようとしている不動産が「高く」「早く」売れることを願っております。
執筆者兼当サイトのメディア編集長
【監修者】田中 隆
大学3年にして宅地建物取引主任者の試験に合格。その後、大阪市東淀川区の不動産賃貸仲介にて2年間営業スタッフとして在籍し、不動産業の実務を経験。
大学卒業後はマンション開発デベロッパーに就職してさらなる知識とスキルを習得。
不動産を売却する前に!8つの流れ・手順を解説
まずは、不動産売却の手順を把握しておきましょう。
- 事前準備
- 不動産の査定
- 媒介契約
- 売却活動
- 決済準備
- 決済
- 確定申告
それでは、実際に8つの手順について解説していきます。
【手順1】事前準備:目的を明確にしよう
冒頭で触れましたが、売主側から見た不動産売却の目的は、「高く」しかも「早く」売ることにあります。
一方、買主側の目的は、「相場価格(できれば安く)」で買うことにあります。
売主として自分が希望する条件を整理して優先順位を付けておかないと、購入希望者が出す条件に対して判断がつきませんし、運よく購入検討者が複数現れた場合、判断する基準が無いと、取捨選択できません。
また、次に解説します売却依頼する不動産会社の担当者もどこの焦点をおいて活動していいか?わからなくなってしまいます。
【手順2】不動産の査定:複数の不動産会社に依頼することが重要
不動産会社と言っても、スタッフが数人の地元業者や誰もが知っている大手業者まで星の数ほどあります。
不動産売却で「高く」しかも「早く」売るための秘訣は、不動産会社の選定にかかってきます。
・大手や中小などの会社規模に関係なく複数の不動産会社に査定依頼する。
・不動産会社によって得意な物件や得意なエリアが分かれるため、売りたい不動産の売却が得意な不動産会社と媒介契約を結ぶ。
不動産会社の選定は不動産一括査定サイトが非常に便利です。
不動産一括査定サイトですか!便利そうなサービスですね。
不動産一括査定サイトを使えば大手中小に関係なく、様々な業者が査定してくれるため、正確な相場価格を把握することができるのじゃよ。
【手順3】媒介契約:不動産会社と売却依頼の契約を結ぶ
売却の依頼をする不動産会社が決まりましたら媒介契約を結びます。
売主の場合は、売却を依頼するときに結びます。
媒介契約には3種類あり、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
結論から言うと、媒介契約は「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」の選択をお勧めします。
以下が3種類の媒介契約の特徴を比較します。
媒介契約の種類 | 複数社への依頼 | レインズ登録の義務 | 活動報告の義務 | 仲介手数料 |
---|---|---|---|---|
専属専任媒介契約 | × | 〇 | 〇 | 一緒 |
専任媒介契約 | × | × | 〇 | 一緒 |
一般媒介契約 | 〇 | 〇 | × | 一緒 |
なぜ「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」の選択をお勧めするのか。
その理由は、1社を窓口にすると情報をコントロールしやすくなり、しかも責任をもって売却してくれるからです。
サイトによっては、「一般媒介契約」を推奨しているケースもありますが、凄い人気物件で不動産会社の販売力に関係なく、黙っていてもすぐに成約する物件であれば、別です。
しかし、市場で売却されている多くの物件は、「人気物件」に該当しません。
従って、「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」のいずれかをお勧めします。
高く、早く売りたいなら専任媒介か専属専任がお勧めじゃぞ。
【手順4】売却活動:売り出し価格と内覧希望者への 対応
次に売り出し価格と内覧希望者への対応について解説します。
値引き交渉は最初から考慮した価格設定とする
実際に不動産を売却するとわかるのですが、最初から売り出し価格の満額で成約することは、期待しないほうが良いです。
先に解説しました通り、ほとんどの買主は相場価格で「しかも安く買いたい。」と考えています。
不動産売買では、売主と買主の利害は一致することはありません。
価格設定は値引き交渉がある前提で設定する必要あります。
確実に成約したいなら売り出しから1週間程度で値下げする
不動産売却の現場では、相場よりも価格が安ければ、売出し初日から1週間以内で購入希望者が出るのが通例だからです。
確実に早く売りたいなら、価格が全てと言っても言い過ぎではありません。
また、売買仲介に長けた営業担当者は、媒介期間が終了する3ヶ月もかけるようなことはしません。なぜなら、仲介手数料が0円の状態になるため真剣です。
従って、営業力のある不動産会社や営業担当者は、売却依頼を受けた「新鮮」なうちに、価格改定をして早急に売却できるように動きます。
また、多少安くなっても良いなら「買取」という選択肢をお選びください
買取については、以下のページで詳しく解説しています。
高く売るなら1週間だけ強気価格で勝負してみる
「早く売りたいわけではないので、高く売りたい」人は、最初の1週間だけ強気の価格設定をしてみて勝負するのもありだと思います。
しかし、販売期間が長期化すると売れ残り物件という印象がつくため、価格設定は、営業担当者と相談しながら、進めてください。
内覧希望者への対応
売出価格が決まったら、販売活動を開始します
問い合わせが入ったら、すぐに内覧できる事前準備を行う必要があります。
まず、内覧の目的は、以下の2点に集約されます。
- よく理解してもらい。
- いい印象を持ってもらう。
案内前にやっておくべき準備
買主視点で物件の長所を伝える。
数年前にリフォームを行った。
風通しが非常に良いなど、売主にしかわからない物件の長所を伝える。
室内が整理整頓されている。
視界を遮るものを置かない。
できるだけ内覧希望者が、物件そのものを確認できるようにする。
明るくキレイに見せる。
室内はカーテンを開け、電気をつける。
水回りはキレイに掃除しておく。
また掃除もしっかりやっておくようにする。
【手順5】売買契約:書類の不備がないかをチェック
売買契約は、事前に決めておいた契約場所と日時に売主・買主、そして仲介を依頼した不動産会社の担当者が集まります。
契約場所は、不動産会社の店舗・事務所で行うことが一般的です。
売買契約の締結前に重要事項説明書の読み合わせを行った後に、署名捺印します。
契約当日の書類の不備がないか?事前に注意しておきましょう。
必要書類 | 備考 | 原本 |
---|---|---|
実印・認印 | 実印は絶対必要 | 〇 |
身分証明書 | 運転免許証やパスポートなど顔写真付き証明書 | 〇 |
登記済権利証(登記識別情報通知) | 売主が所有者本人であることを証明する | 〇 |
印鑑証明書 | 売主の本人確認と実印であることを証明する | 〇 |
署名捺印・本人確認・手付金の受け取り
売買契約書には、収入印紙を貼布し、売主・買主交互に署名捺印します。印鑑は実印を使うため、印鑑証明書で所有者本人であることを買主に証明します。
売主の本人確認後に買主から売主へ手付金の授受を行います。売主は面倒でも手付金の金額を数えて確認しましょう。
【手順6】決済準備:手順手続きの不備がないかをチェック
売買契約後は、残金決済・所有権移転・引き渡しまでの期間に何も条件がなければ、1ヶ月~2ヶ月くらいが一般的です。
決済までに売主として、いの一番に着手しておきたいのが、建物や敷地にあるものの整理と処分です。
買主へ引き渡しする物を明記した付帯設備表を見ながら、以下を整理します。
- 引っ越して持っていく物
- 処分する物
- 残しておき買主へ引き渡す物
抵当権抹消手続きを忘れずに!
ローンを利用している人は、残金決済の時に抵当権抹消登記手続きが必要となります。
通常、金融機関側の手続きの関係で、連絡から完済書面を受け取るまで2週間程度かかります。また、長期連休や祝日が間にあるとその分期間が延びます。
早めに手続きするようにしてください。一度、金融機関に連絡を取って、案内してもらうようにしましょう。
【手順7】決済:残代金の決済と引き渡し
残代金の決済と引き渡しは金融機関で手続きを行うため、平日の2時間程度の時間確保が必要です。
当日は売主、買主、不動産会社の営業担当者、司法書士となります。全員がそろったら所有権移転登記のほか、必要に応じて抵当権抹消、住所変更登記の手続きを行います。
買主から着金を受けた段階で鍵や書類を引き渡します。
残金決済日の必要書類等
必要書類等 | 備考 |
---|---|
実印・認印 | – |
本人確認書類 | 原本 |
印鑑証明書 | 原本(1~2通) |
住民票 | 住所変更登記が必要な場合 |
登記済権利証(登記識別情報通知) | 原本 |
残代金振込先の通帳、カード、届出印 | – |
鍵一式 | – |
設備の取扱説明書 | – |
管理規約、使用細則 | マンションの場合 |
物件資料一式 | – |
諸費用、仲介手数料、登記費用等 | – |
売主が受領する代金
- 売買代金(手付金、内金を除いた額)
- 固定資産税、都市計画税の精算金
- 管理費、修繕積立金の精算金(マンションの場合)
- 測量精算金、地代(特別な場合)
登記手続き
売主から買主への所有権移転登記は、司法書士が当日に法務局へ申請を行います。
売主が抵当権の抹消がある場合、抵当権抹消登記を行います。
【手順8】確定申告:翌年の3月15日まで
不動産を売却して売却益(利益)が発生した場合は、確定申告が必要です。
特に売却益(利益)が発生した人は、3,000万円特別控除を利用したい場合などは、確定申告が必要です。
税金ってどうやって計算するの?
不動産売却で税金を自分で計算したい人は、以下のページが参考になります。
確定申告は自分でできる
ふだん、確定申告と縁のない会社員の方でも国税庁の確定申告書作成コーナーを使えば比較的簡単に作れます。自分で確定申告したい方は必見です。
年明けの2月から3月にかけての確定申告のシーズンになると、税務署の窓口も大変混雑します。
確定申告のシーズンが来てから慌てないよう早目に準備しておくことが大切です。
また、不動産売却で損失が発生した人は、確定申告した方が良いケースがあります。
以上が不動産売却8つの手順と重要部分を解説しました。
不動産売却と一言で言っても、人によって置かれている状況が変わると思います。次は、ケース別の不動産売却における注意点について解説します。
状況別の不動産売却の注意点
まずは、相続した不動産をこれから売却する方への注意点から解説します。
相続した不動産売却の注意点
まず、親などから相続した不動産を売却する場合は、売却前に相続登記が必要です。
相続したもの誰も住んでいない。名義人が親のままですと、毎年固定資産税だけ支払うことになって、売却もできませんし、担保にお金を借りることもできません。
相続物件の放置は、良くありません。今は売却する予定が無くても、相続登記だけは確実に行っておいてください。
ローン残債ありの不動産売却の注意点
ローン残債ありの方は、売却の際にローン残債を全額返済して抵当権を抹消して買主に引き渡す義務があります。
買主が承諾すれば、抵当権付きの不動産を売却することは、可能ですが・・・そんな人はまずいません。
従って、売却代金でもローン残債が残る場合は、売却したくてもできない状態が続くことになります。
しかし、ローン残債が抹消できず、新しく買い換えた不動産に残債分をプラスして借入される人も多いと思います。
その場合は、税金面で優遇を受けることができます。
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