「マンションや住宅を売却で損失が出ました。確定申告した方が良い理由を教えて欲しい!」
「不動産売却の損失は損益通算できないって聞いたから、確定申告必要ないよね?」
このページをご覧いただいた方は、こんな気持ちかと思います。
実は、不動産売却で損失が出ても確定申告することで税金が戻ってくる場合があります。
- 不動産売却の損失で税金が戻ってくるケースを知りたい。
- 不動産売却の損失と給与所得などの他の所得と損益通算できるの?
こんな疑問をお持ちの方は、本記事がお役に立つと思います。なるべく丁寧に解説してますので、読めば納得いただけると思います。ぜひ最後までご覧いただけましたら幸いです。
家を売却して売却損になった人は必見ですね!
そうじゃな。使える特例がないか?このページでしっかりと勉強して欲しい!
原則:売却損は損益通算できないって本当?
まず、あなたにご質問です。
以下は、Q&Aサイトで見かけた「不動産売却における他の所得と損益通算できますか?」というご質問です。相殺&損益通算できるか考えてみてください。
Q1.賃貸不動産の売却損が出ました。今年賃貸マンションを購入しました。売却損は新しく購入した賃貸収入と相殺できますか?
Q2.取得価格2,500万円、売却価格2,000万円のマンションを処分しました。投資信託で500万円の利益が出ました。マンションの売却損は投資信託の利益と相殺できますか?
Q3.同じ年に土地とマンションを売却しました。土地は売却損、マンションは売却益が出ました。相殺することはできますか?
では、正解を発表するぞ!
・Q1⇒相殺&損益通算できません。
・Q2⇒相殺&損益通算できません。
・Q3⇒相殺のみ可能です。
不動産売却における損失は、赤字は原則切り捨てですが、Q3のケースは同じ種類の所得内でなら可能(内部通算)となります。
例外的にマイホーム(居住用財産)を売却した際の損失については、損益通算が認められています。
さらに売却した年度だけの損益通算だけでなく、初年度で引ききれなかった損失を売却年の翌年以降3年間繰越控除することができます。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算制度
返済期間10年以上の住宅ローンが残っている自宅を住宅ローン残高よりも低い価格で売却した場合に発生した損失を他の所得と損益通算することができます。
損益通算の限度額は、売買契約の前日における住宅ローン残高から売却価格を差し引いた金額となります。
実際に計算してみましょう!
- 自宅の売却代金⇒2,000万円
- 売却した自宅の購入代金+譲渡費用⇒7,000万円
- 住宅ローン残高⇒3,000万円
譲渡損失=自宅の売却代金-(売却した自宅の購入代金+譲渡費用)=▲5,000万円
売却しても払い切れないローンの額=住宅ローン残高-自宅の売却代金=1,000万円
1,000万円<5,000万円
損益通算できる限度額は1,000万円となります。
残債が返しきれない場合は、ぜひこの特例を使ってほしい!
特定のマイホームの譲渡損失の繰越控除の適用要件
では、適用要件を受けるための条件を確認します。
- 自分が住んでいるか、住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡している。
- 譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えている。
- 譲渡時における売買契約書の前日において、10年以上の住宅ローン残高がある。
- 譲渡金額が住宅ローン残高を下回っている。
マイホームの買換え等の場合の譲渡損失の損益通算制度
新しいマイホームへの買換えのために、それまで住んでいたマイホームを売却した人が対象となります。
新しいマイホームへの買換えは住宅ローンを利用することが条件です。
また、売却したマイホームは所有期間が5年を超えているものに限られます。
また、売却した年の所得より譲渡損失額が大きい状態が3年間つづいたとしましょう。その場合は繰越控除の対象となります。
ただし、譲渡損失の特例を受けるには売却した年だけでなく、繰越控除の適用を受ける年も確定申告が必要です。
マイームの買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の適用要件
では、適用要件を受けるための条件を確認します。
- 所有期間が5年を超える居住用住宅と敷地である。
- 現在住んでいる。もしくは、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却されること。
- 床面積50㎡以上の居住用住宅と敷地である。
- 前の住宅を譲渡した年の前年1月1日から譲渡した年の翌年12月31日までに取得している。
- 取得した年の翌年の12月31日までに居住するか、居住見込みである。
- 返済期間10年以上の住宅ローンを利用している。
- その年の合計所得金額が3,000万円を超えていない。
自分のケースはどうなんだろう?と疑問に思われた方は、税務署に聞いてみましょう!
不動産売却で損益通算するには確定申告が必要!申告した方がいいのはどんな人?
マイホームの売却で損失が発生した場合は、先に紹介した2つの特例を使う方やQ3で紹介した内部通算に該当する方は、確定申告をすれば税金面でのメリットを受けることができます。
先にも触れましたが、不動産売却の「損失=赤字」は原則切り捨てですので、確定申告の必要はありません。
しかし、以下に該当する方は確定申告されることをお勧めします。
譲渡益が出るか微妙な場合
本人は損失だと思っていたが、実は利益が出ていたケースです。
実例を見てみましょう。
- 所有期間11年
- 自宅マンションの売却代金→1,200万円
- 売却した自宅マンションの購入代金→1,500万円
- 譲渡損=1,200万円-1,500万円=▲300万円
実は、上記の計算式は誤りとなります。
なぜなら、「減価償却費」が計上されてないからです。
所有していた11年間の「減価償却費」を当初の購入代金から差し引いた金額を購入価格にする必要があります。
例えば減価償却費が毎年35万円なら11年分で385万円になります。
- 売却した自宅マンションの購入代金→1,115万円=1,500万円-385万
- 譲渡益=1,200万円-1,115万円=85万円
実際は、譲渡所得が発生し確定申告が必要になるケースがあります。
自宅の場合は、譲渡益が発生しても「3,000万円特別控除」が適用されるため、実質税金は発生しないケースが多いはずですが、特例や特別控除を利用する際は確定申告が必要となります。
3,000万円特別控除の詳細は以下で詳しく解説しています。
同一年度内に複数の不動産を売却した
先にも解説していますが、土地や建物を売却して損失が発生した時は、原則赤字は切り捨てとなります。
ただし、同じ年に2つ以上の土地や建物を売却して、一方が利益、もう一方が損失の場合は、利益と損失を相殺することができます。
確定申告時に相殺しますが、他の所得とは損益通算できません。不動産売却における譲渡所得同士となります。また翌年以降の繰越控除の対象になりません。相殺しきれなかった赤字は切り捨てとなります。
実は、確定申告書作成コーナーを使えば意外とカンタンに確定申告書が作成できるぞ!実際に確定申告書を作ってみたので参考にして欲しい!
税理士監修者コメント
マイホームの売却損は、売却した年だけでなく翌年以後3年間の節税にもつながります。確定申告することでしっかりと活用しましょう。
税理士:本村健一郎の詳細
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