「不動産売却で損失が出てしまい、税金まで払うのは厳しい・・・」
「不動産売却損を有効活用する方法を教えてほしい。」
バブル期以降、個人が居住用財産を売却した場合、売却益ではなく売却損になるケースがほとんどではないでしょうか。
実は、この売却損を有効活用することで税金が戻ってくる場合があります。
- 不動産で売却損が発生した場合、確定申告は必要なの?
- 繰越控除、特例が使える条件や売却損の計算方法を知りたい。
とお思いの方も多いのではないでしょうか?
そこで、このページは、不動産で売却損が発生した場合の繰越控除・特例が使える条件や売却損が発生した場合の繰越控除の計算方法などをお伝えします。
例えば、3000万円の売却損が出た年収1000万円の方がこの特例を使うと、3年間で約300万円の税金が安くなります。
不動産売却で損失が出た方は必見です。最後までご覧ください。
売却損でも税制面で優遇されるんですね。
そうなんじゃよ!意外と知らない人も多いので、売却損の人は、必見じゃぞ!
不動産の売却損で赤字の人は特別控除・特例を使い倒して税金還付を受けよう!
不動産を売却して売却損が発生すると所得税が還付され、住民税は天引きされない等の恩恵を受けることができますが、このページでは「個人がマンションや住宅などの居住用物件を売却した際の損失」について限定します。
基本的に個人が土地や建物を譲渡して損失が発生しても、他の所得と相殺したり、繰越しすることはできません。
マイホームの売却による赤字は原則切り捨てなんじゃが、特例によって一部例外が認められておるんじゃよ!
あくまでも、以下でご説明する「特定居住用財産」の損失が発生した場合のみに認められる特例です。
では順番に解説していきましょう。
マイホームを売却して赤字が出たときは、最長4年間所得税・住民税等が安くなる
マイホームを売却して「譲渡損失」が発生した場合、給与所得などと相殺して所得税と住民税を減らす(損益通算)ことができます。
さらに、売却した年の所得よりも損失が上回る場合は、翌年以降の所得からも繰り越して控除できる繰越控除が利用できます。
この特例は売却した翌年から最長3年繰越控除ができますので、4年間所得税や住民税が0円もしくは軽減されます。
サラリーマンなら給与所得と損益通算することで、最大4年間も繰越控除ができるぞ!
特例を受けた時の計算例
まずは、この特例を使えばどれだけ税金が還付されるのか具体的に計算したいと思います。
会社員であるTさん7,000万円で購入した戸建てを、4,000万円で売却しました。
Tさんの住宅の減価償却費は、500万円、売却時に支払った譲渡費用が130万円でした。
Tさんの直近3年分の給与所得です。
- 直近3年→800万円(所得税46.61万円と住民税45.43万円の合計92.04万円)
- 直近2年→900万円(所得税61.73万円と住民税52.99万円の合計114.72万円)
- 直近1年→1,000万円(所得税76.85万円と住民税60.55万円の合計137.4万円)
Tさんの税金還付額
それでは、Tさんの税金還付額を計算してみましょう。
1年目の計算
譲渡損失
▲2,630万円=4,000-(7,000万円-500万円)-130万円
損益通算
800万円(給与所得)+▲2,630万円(譲渡損失)=▲1,830万円
結果
所得税46.61万円の全額が還付され、住民税は天引き0となります。
2年目の計算
損益通算
900万円(給与所得)+▲1,830万円(譲渡損失)=▲930万円
結果
所得税61.73万円の全額が還付され、住民税は天引き0となります。
3年目の計算
損益通算
1000万円(給与所得)+▲930万円(譲渡損失)=70万円(課税所得)
所得税額の計算
70万円×5%=3.5万円
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万~330万円 | 10% | 97,500円 |
330万~695万円 | 20% | 427,500円 |
695万~900万円 | 23% | 636,000円 |
900万~1800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1800万~4000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
・復興特別所得税
3.5万円×2.1%≒約0.07万円
・住民税額の計算
70万円×10%+0.5万円-0.25万円=7.25万円
・還付額の計算
3.5万円+0.07万円+7.25万円=10.82万円
137.4万円(3年目の所得税と住民税)-10.82万円=126.58万円
・結果合計126.58万円が還付もしくは天引きされません。
3年で合計333万も税金が安くなった!
いかがですか?3年目まで合計333万円が安くなりました。
つまり、売却損が発生したTさんが確定申告して損益通算と繰越控除の特例を受けると大幅に税金が安くなることがわかりました。
この特例を利用しない手はありません。
所得税と住民税の合計がボーナス1~2回分に匹敵するため、結構な額です。
譲渡損失が発生した場合、確定申告の義務はありません。しかし、損失が出たからこそ確定申告を行えば、税金が還付されます。
まずは、税金がどの程度安くなるのか?のインパクトをご理解いただくために事例からご紹介しました。
大きな金額ですね。毎年臨時ボーナスをもらった気分になりますね。
売却損が出た人は、ぜひ使って欲しい!
しかも、住宅ローン控除との併用が可能
マイホームを買換えた場合は、住宅ローン控除との併用が可能です。
ただし、譲渡損失との相殺で所得が0円となり所得税が0円なら住宅ローン控除は適用されません。
住宅ローン控除は、税額控除となるため所得税が0円だと引くところがありません。一方、この特例は他の所得と相殺することができます。
- 売却損(譲渡損失)が発生した場合の2つの特例→他の所得の相殺
- 住宅ローン控除→税額控除
例えば、2年目までは譲渡損失の相殺・繰越控除で所得が0円となり、3年目から繰越控除しても所得が発生する場合は、住宅ローン控除が使えます。
所得が0円なら住宅ローン控除は適用できないため注意が必要じゃぞ!
知っておきたい「損益通算」と「繰越控除」
この特例を簡単にご説明しますと、
「マイホームを売却して損が発生したら、損失分を他の所得と損益通算できて、しかも損益通算しきれなかった分は、繰越控除できます。」という内容です。
まさに先の計算例を文章化しただけですが、「損益通算」と「繰越控除」については、この特例を利用するにあたって、知っておいて欲しい知識ですので、「損益通算」と「繰越控除」について簡単に解説します。
損益通算
損益通算とは、利益と損失を相殺することを意味します。マイホームの売却における損失額を、給与所得などの他の所得と相殺できます。
給与所得と損失を相殺することで、課税される所得が減ります。所得が減ることで、税金が安くなる。あるいは、0円にすることもできます。
給与所得は、毎月給与から天引きされてますから、確定申告することで、源泉徴収票に記載されている所得税の還付を受けることになります。
住民税は1年遅れで給与から天引きされますが、2年目から安くなる。あるいは、0円になる可能性があります。
所得と損失を相殺することで課税される所得が減るんじゃよ!さらに相殺しきれかった損失は、翌年以降も繰越して相殺することができるんじゃよ。
繰越控除
次に繰越控除です。繰越控除とは、本年分の損失を控除しきれない場合、翌年以降も損失を繰り越して所得から控除することを言います。
今回の特例を使うと売却した年の翌年以降3年に渡って所得から損失分を差し引きすることができます。
つまり、最大4年間損益通算ができるわけです。
なお、損益通算できる限度額は、2つの特例のうちどれを受けるかで変わってきますが、まずはどんな人が適用されるのかの要件を確認しましょう。
まずは、一つ目のマイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について見ていきたいと思います。
対象不動産の要件
★売却年の1月1日において所有期間が5年を超えるマイホームを売却して譲渡損失(売却損)が発生していること。
※売却先が親子等の特殊関係者は対象外です。また敷地の場合、500㎡を超える部分の損失は除外されます。
- 買換え物件のマイホームを売却年、売却年の前年、売却年の翌年までに取得し、所得年の12月31日までに居住すること。
- 建物の床面積が50㎡以上あること。
- 特例を受ける年の12月31日において買換え物件のマイホームに償還期間10年以上の住宅ローン残高があること。
※この特例を受ける年の(繰越控除の適用年)の合計所得金額が3,000万円を超える場合は適用されません。
適用要件に該当するか気になる人は、税務署に確認すれば親切に教えてくれるぞ!
譲渡損失について
売却の際、築6年以上が経過しているマイホームの場合、多くの物
件では購入価額よりも売却価額の方が下回っているケースが多いと思います。
譲渡損失=売却価格-取得費(減価償却後)-譲渡費用
簡単に言いますと、売却時に購入した際の金額が上回っていなければ、「損失が出た」と考えておけば問題ありません。
住宅ローンを利用している
買換え物件は、10年以上住宅ローン組んで購入している必要があります。
ほとんどの方は、10年以上ローンを組まれる場合が多いので、問題ないと思いますが、念のため解説しておきます。
確定申告が必要
特例を利用する際は、必ず確定申告が必要です。確定申告については、後ほど、必要書類等を解説します。
次に特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について解説します。
不動産の売却損!売りっぱなしでも税金が安くなる
「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」とは、住宅ローンが残っている自宅を売却して、売却損(譲渡損)が発生した場合には、買換えを行わなくても、譲渡損失の損益通算・繰越控除が可能になる特例です。
- 売却年の1月1日において所有期間が5年を超えるマイホームを売却して譲渡損失(売却損)が発生していること。
※売却先が親子等の特殊関係者は対象外です。 - 売却する自宅の住宅ローン残高と売却代金との差額を限度として、譲渡した年の所得との損益通算、翌年以降3年間の繰越控除が認めれる。
この特例は、前述の買換えと異なり、赤字全てが損益通算、繰越控除の対象ではなく、売却代金で返済しきれなかったローンが損益通算、繰越控除の対象となります。
つまり、「残債割れ」物件のみが対象となります。
従って、売却しても借金が残ってしまうわけですから、住宅ローンを返済しきれないため、「残債割れの物件を抵当権抹消に応じる金融機関って存在するのか?」という、問題の残る特例です。
特例要件のまとめ
では、2つの特例をまとめてみましょう。
条件 | マイホームを買換えた場合の 譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 | 特定のマイホームの譲渡損失の 損益通算及び繰越控除の特例 |
---|---|---|
譲渡資産の所有期間 | 売却年の1月1日において所有期間が5年超 | |
売却物件の住宅ローン借入の有無 | 借入の有無は関係なし | 売買契約締結日の前日において返済期間10年以上の住宅ローン残高がある |
買換え物件 | 建物の床面積が50㎡以上あること | ・特例を受ける年の12月31日において買換え物件のマイホームに償還期間10年以上の住宅ローン残高があること。 ・買換えは必要なし |
所得要件 | 合計所得金額が3,000万円以下 | |
損益通算・繰越控除できる金額 | 損失の全額を他の所得と損益通算・3年間の繰越控除が可能 | 損失のうち、「ローン残高-売却代金」との差額を限度として、他の所得と損益通算・3年間の繰越控除が可能 |
以上が特例を受けるための要件まとめです。
この特例を受けるためには確定申告が必要となります。
不動産の売却損における確定申告の必要書類
- マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
特例を受けるためには、売却した翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行います。
特例を受けるためには、確定申告書に以下の書類を添付して税務署に提出します。
必要書類 | マイホームを買換えた場合の 譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 | 特定のマイホームの譲渡損失の 損益通算及び繰越控除の特例 | 入手方法 |
---|---|---|---|
売却物件の登記事項証明書 | 〇 | 〇 | 法務局 |
買換え資産の登記事項証明書 | 〇 | ー | 法務局 |
譲渡所得計算明細書 | 〇 | 〇 | 税務署 |
借入金残高証明書 | 〇 | 〇 | 借入先の金融機関 |
いかがでしたか?不動産の売却損が発生した場合の損益通算・繰越控除について、解説しました。
特例は2つありますが、実質使えるのは、マイホームを買換えた場合の特例となりますが、ボーナス1~2回分が、最大4年間戻ってくるのはお得な特例だと思います。
ぜひ、このページをブックマークして、自分が使えるか?今一度、検討してみてください。
税理士監修者コメント
投資用不動産の売却損は切捨てとなりますが、マイホームの売却損は節税につながる可能性があります。確定申告を忘れずに行いましょう。
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