通常の住宅よりはるかに予算を抑えて建てられるローコスト住宅。
しかし、安いからこそ失敗が怖いですよね。
ローコスト住宅を考えている方は、次のような要望を抱えているのではないでしょうか。
- ローコスト住宅で失敗したくない…
- 契約してから後悔しないように事前準備したい
- 値段も品質も納得して家を建てたい
今回の記事では、これからローコスト住宅を建てようとしている方が、上記の希望を叶えられるようなお手伝いをいたします!ローコスト住宅を建てる上での注意点を「価格編、メーカーの対応編、施工編」という3種類に分けて紹介しています。
さらに、メーカー以外にも注意すべき身内モメに関する内容や、予算別におすすめのローコスト住宅メーカーも記載。ローコスト住宅の注意点を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
ローコスト住宅とは!品質や安全性は大丈夫?
ローコスト住宅の注意点を紹介する前に、まずはローコスト住宅の定義をおさらいしましょう。なお、「ローコスト住宅とはなんなのか?」という内容や、「ローコスト住宅が安い仕組み」については別の記事で詳しく解説しています。ぜひそちらもあわせてチェックしてみてくださいね。
ローコスト住宅の安全性
「安い家」と聞くと、「本当に住んでも大丈夫?」と安全性に疑問を持ってしまう方もいるのではないでしょうか。しかし、ローコスト住宅だからといって必ずしも安全性が低いとは限りません。
近年では住宅づくりにおいて、政府によりある程度の耐震基準が義務付けられていますから、あまりにも耐震性の低い住宅になってしまう心配はありません。また、ローコスト住宅を提供するハウスメーカーの中には、耐震や免震に力を入れて取り組んでいるところもあります。「住宅価格は抑えたいけど、耐震性も重視したい」という方は、地震対策に取り組んでいるハウスメーカーを選びましょう。
【価格編】ローコスト住宅の注意点
まずは、ローコスト住宅の注意点の「価格編」を紹介してまいります。住宅価格が安いことが特徴のローコスト住宅ですが、実際のプランを立てていくと思ったより高くつくケースもあるのは覚えておくべき注意点です。
広告の金額をあてにしてはいけない
ローコスト住宅の情報は、テレビCMやネット、住宅情報誌や口コミ、チラシなど様々な媒体から得られます。しかし、ハウスメーカーの広告に記載されている住宅価格をあてにしてはいけません。
例えば、チラシやホームページには「999万円で建てられるローコスト住宅」「坪単価45万円」などの宣伝文句が記載されていますよね。しかし実際に家を建てる時には、まず広告通りの金額には収まらないと考えておくと失敗しにくいです。
なぜ実際の住宅価格はハウスメーカーの広告記載の価格よりも高くなってしまうのか。
それは、広告記載の住宅価格は必要最低限の間取りや設備に設定されているからです。
さらに、塀や駐車場を作る外構工事費用などは価格に含まれていないケースもあります。
そのため、実際に人が住む上で必要となる設備を追加していくと、広告記載の金額を大きく超えてしまう結果になる場合が多いのです。
オプション価格で高くなることもある
次に注意すべきなのは、ローコスト住宅はオプション価格で高くなる点です。
家族が思う理想の設備や間取りを叶えていくと、通常の注文住宅と変わらない金額になってしまう恐れもあります。
「お風呂やキッチンをグレードアップしなければいいんでしょ?」と感じるかもしれませんね。しかし、ローコスト住宅では普通なら標準仕様に含まれる設備でも、オプション価格になってしまう可能性があるんです。
例えば、「和室を設置する」「コンセントを追加する」などはオプションになるケースが多いです。建築コストを抑えるために全室洋室が標準仕様になっていたり、コンセントの数が極端に少なかったりすることも。
さらに、「2階への階段を設置する」ことがオプションになってしまう場合もあります。2階建にするのであれば階段は絶対に必要な設備ですが、それもオプション扱いになると困りますよね。このように、ローコスト住宅と謳われていても、実際にはそれほど価格が安くならない場合があるのは注意点です。
余裕を持った予算計画を立てる
こちらはローコスト住宅に限らず、家づくり全てに共通して言えることです。
住宅価格を決める時は、必ず余裕を持った予算計画を立てる必要があります。
具体的には、捻出できる予算の90%を限度に住宅価格を設定するようにしましょう。
これはなぜかというと、家づくりにおいては突発的なトラブルなどで急な追加費用が発生するケースもあるからです。
また、間取りを考えている段階では想定していなかった費用が必要になることもあります。万が一の出費にも備えて、ある程度の余裕は持っておくことが大切です。
地盤改良には多額の費用がかかる
こちらもローコスト住宅に限らず、家づくり全てに共通する注意点です。
家を建てる際には同時に土地を購入することになりますが、購入した土地の地盤が弱かった場合には地盤改良が必要になります。
地盤改良には100万円以上の費用がかかることも多いので、地盤改良工事をする場合は契約後に想定外の出費が発生することになります。そのため、万が一地盤改良が必要になった時でも対応できる予算的な余裕を残しておくことが大切です。
ちなみに、土地購入前に地盤調査ができるかどうかは売主次第になってきます。契約前なのであれば、売主への交渉材料として「地盤調査の結果次第で契約する」という意思を示しておくといいでしょう。
【メーカーの対応編】ローコスト住宅の注意点
価格面におけるローコスト住宅の注意点を確認したら、次はメーカーの対応における注意点をチェックしましょう。
たくさんのハウスメーカーの特徴を知ろう
ローコスト住宅を建てる際は、最初から1つのハウスメーカーに絞って検討するのではなく、複数のハウスメーカーの情報を集めるようにしましょう。つまり、複数のハウスメーカーを比較する必要があるということです。
デザインや性能面など、何らかの要素がとても気に入ったハウスメーカーがあるとします。しかし別の要素に力を入れている他社と比較すると、そちらのメーカーも魅力的に思えてくる場合があります。
また、複数のハウスメーカーを比較することで、理想の間取りや設備を叶えたい場合にいくらくらいの費用が必要になるかを把握しやすいです。
仮に「ほぼA社で決まりだけど、断熱性だけはB社がいいんだよな…」と思うことがあれば、ぜひA社に相談してみてください。オプションをつけることで、B社と同じような断熱性能を付加できる場合があります。
大手ハウスメーカーの話も聞こう
「価格の安さを重視したいからローコスト住宅で決まり!」と考えているとしても、一度住宅展示場を訪れて、大手ハウスメーカーの営業担当者の話も聞いてみることをおすすめします。
公式サイト:https://www.homes.co.jp/iezukuri/
大手ハウスメーカーの営業担当者は、地域のローコスト住宅に関しても様々な知識を持っています。ライバル会社である以上「ローコスト住宅はおすすめできない」と言われてしまうかもしれませんが、メリットやデメリットについてはインターネットより正確な情報を得られる可能性が高いです。
自分が検討しているローコスト住宅の実態を把握するためにも、ぜひ大手ハウスメーカーでも話を聞いてみてくださいね。
アフターサポートや保証の内容を細かく確認
ローコスト住宅で契約する前に気をつけるべき注意点は、アフターサポートや保証の内容をきちんと把握しておくことです。ローコスト住宅にも様々な保証が備わっていますが、保証期間が短すぎたり、サポート内容が薄かったりするケースもあります。
また、むしろ長すぎる保証期間を設けている場合にも注意が必要です。住宅価格が安いのにあまりにも長期間の保証期間を用意しているのであれば、施工品質に不安が残るケースもあります。
本当に安心できる保証かどうか判断するには、何らかのトラブルが発生した時に対応を行ってくれる条件や、アフターサポートの内容を隅々まで把握しておく必要があります。
規格住宅か注文住宅かを事前に確認
「間取りや設備を自由に決められる家」と聞いてイメージするのが注文住宅ですね。
そして、注文住宅とは反対にある程度の制約が設けられているのが規格住宅です。
ローコスト住宅も基本的には注文住宅に分類される商品ではあるのですが、その実態は規格住宅に近いものとなっている商品も存在しています。例えば、間取りの変更ができなかったり、変更には高額なオプションが必要になったり。
規格住宅には、規格を統一するからこそ材料の加工費なども安く抑えられ、住宅価格が下がるというメリットがあります。つまり、簡単に言えば規格住宅の方が安いということ。
安さを求める方であれば規格住宅のローコスト住宅でも問題ありません。しかし、ある程度の自由度がほしい方なら、注文住宅のように自由に選べるローコスト住宅を選ぶ必要があります。契約した後に気づいても遅いので、必ず事前に確認するようにしましょう。
施工エリアが限定的であることも
ローコスト住宅を提供するハウスメーカーには、全国的にサービスを展開する大手と、地域密着型とが存在しています。双方には異なる特徴がありますが、地域密着型のハウスメーカーだと施工エリアが限定的になってしまうことを覚えておきましょう。
例えば、ほんのわずかに市が違っているだけで対応してくれないケースもあります。
エリア外での施工については業者によって対応がかなり違ってくるので、興味のある業者は検討前に施工エリアを調べておくと失敗がありません。また、施工エリア外であるものの「どうしてもその業者がいい」という場合は、担当者へ相談してみるのがおすすめです。
【施工編】ローコスト住宅の注意点
さて、ここからはローコスト住宅の実際の施工において注意すべき内容です。施工における注意点といっても、プランニングの段階から考慮すべきものばかり。ぜひ設計の段階から確認してみてくださいね。
主要部分以外のあらゆる部分を把握
徹底的に安さを求めるローコスト住宅では、様々な部分でコスト削減に取り組んでいます。
そのため施主自身が確認しておかないと、入居後に「こんなはずじゃなかった」と感じるポイントが出てきてしまうかもしれません。
入居後の失敗を防ぐためには、住宅の骨組みや基礎などの主要部分はもちろん、内装材などについても十分に把握しておく必要があります。例えば、床材やドアなどに使用される木材について。構造部分は住宅の安全性を確保するために良質な木材を使用していたとしても、床材やドアには安い素材を使用している可能性があります。
また、浴槽や窓のサッシなどは「大手メーカーと同水準の商品を使っている」といっても、旧型の商品であるケースがあります。もちろん、できる限り費用を安く抑えたいのであれば内装材は安い素材で、設備は旧型でも構いません。しかし、住宅内のこだわりたい部分については「本当にそのままでいいのか?」と見つめ直してみるのもいいでしょう。
職人など現場スタッフの品質をチェック
ローコスト住宅を提供するハウスメーカーの中には、現場での施工は外注や下請けに任せているところも多いです。どんなに間取りや設備を希望に近づけて設計したとしても、現場担当者の品質が悪ければ意味がありません。
また、ハウスメーカーの営業担当者は現場のことを全く把握しておらず、とにかく契約を取るだけの仕事をしている場合もあります。できる限り品質の高い家づくりを実現するためにも、「実際の施工をするのは誰なのか」「職人はどんな人たちなのか」などを質問しておくといいでしょう。
断熱材にこだわろう
高級素材を使用しないことでコストカットを図っているローコスト住宅。
そんなローコスト住宅に住んだ時の快適性を左右するのは、住宅の断熱性能です。
ローコスト住宅の注意点として「断熱材に安い素材が使用されている」というものがあります。
もちろん安い素材が必ずしも悪いとは限りませんが、やはり高級な断熱材と比べると性能に劣ってしまうことがあります。長きにわたり住み続ける大切なマイホーム。居住する上での快適性を求めるためにも、断熱材にはこだわることをおすすめします。
24時間換気システムの種類をチェック
頭痛や目のかゆみなどの症状が出るシックハウス症候群を防ぐために、現在の日本では家づくりの際に24時間換気システムの導入が義務付けられています。この24時間換気システムには、大きく分けて3つの種類が存在しています。
その3種類とは、「第1種換気、第2種換気、第3種換気」です。それぞれの換気システムには方式の違いがあり、メリットとデメリットも異なります。換気システムに関する詳しい解説は話が逸れてしまうため、ここでは省略します。
しかし、ローコスト住宅においてはコストを削減するために、最も費用がかからない換気システムが採用されている場合があります。換気システムは種類により、冬場・夏場に室外の冷たい・熱い空気を取り込むシステムになっていることも。
つまり、快適な24時間換気システムを導入するには、ある程度コストのかかる種類を選ぶ必要があるということです。こちらも断熱材と同様に住み心地を左右する重要なポイントなので、契約前に業者に確認しておくことが大切です。そして、もし必要があれば換気システムの変更が可能かどうかも確認しておきましょう。
ローコスト住宅は事前に家族と相談しよう
先ほど紹介したローコスト住宅の注意点は、主にハウスメーカーとの対応において気をつけるべきポイントでした。しかし、実はローコスト住宅を建てる上で気をつけたい注意点はそれだけではありません。
もしあなたがローコスト住宅を検討しているのであれば、ハウスメーカーと契約する前に両家の家族へ相談しておくことが大切です。例えば、人によっては「立派な住宅を建ててこそ一人前だ」と考えている方もいらっしゃることでしょう。もしかすると、妻側の父親がローコスト住宅に大反対するかもしれません。
建てる本人としても家族から反対されたままでは少し気が引けてしまいますし、反対を押し切って家を建てて、家族との関係が悪化するのも避けたいところ。本格的にローコスト住宅を検討するようになったら、ぜひ契約前に両家の家族にも意見を聞いてみてくださいね。
なお、家を建てる際に起こりやすい身内トラブルを避けるためのポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひそちらもご覧ください。
ハウスメーカーと工務店、設計事務所との違い
ローコスト住宅について調べていると、「大手ハウスメーカー」や「工務店」、はたまた「建築士」などの言葉を見かけます。
家づくりを依頼する業者には大きく分けると3種類があり、それがハウスメーカーと工務店、そして設計事務所なのです。
ハウスメーカーの特徴
ハウスメーカーは、ローコスト住宅でも広告を打ち出したりモデルハウスを建てていたりするところも多いため、目にすることも多く、安心感があります。
また、一括仕入れや技術開発により、品質や技術が安定していて価格の融通が利くという利点も。
一方で、広告料が上乗せされる、経験の浅い営業マンに当たることがある、などの懸念点もあります。
工務店
工務店の場合は、地域密着で事業展開しているところがほとんどであるため、
地元ならではのフットワークの良さがあります。
地元業者との繋がりを生かして安く材料を仕入れたり、自社だけで営業から建築をしたりできるため、工費が安いのが魅力です。
ただし、デザイン性の高い設計が難しい、小規模運営の場合は倒産のリスクもある、という点はデメリットです。
設計事務所
設計事務所は、ハウスメーカーや工務店とは少し性質が異なる業者です。
建築や設計を専門に扱っているので、設計に関するノウハウは強いです。
また、設計事務所のスタッフが施工監督を実施することもあります。
ただし、実際の施工は下請けや外注に依頼するケースがほとんどであるため、設計段階で話していた内容とわずかにズレが生じてしまうこともあります。さらに、個人で営業している設計事務所だと大手ハウスメーカーよりも倒産リスクが怖いですよね。このように、ハウスメーカーと工務店、設計事務所では特徴が異なるので、ご自分に合った業者を慎重に検討する必要があります。
【予算別】おすすめのローコスト住宅メーカー
それでは最後に、用意できる予算別におすすめのローコスト住宅メーカーを紹介してまいります。実際にローコスト住宅で家を建てた方へのアンケートに基づいた紹介もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
〜1,000万円の予算
1,000万円以下でローコスト住宅を建てたいのであれば、大手メーカーである「タマホーム」がおすすめです。正直なところローコスト住宅といえど1,000万円以下で建てるのはかなり難しいですが、当サイトが独自に行ったアンケートによると「タマホームで999万円以下の家を建てた」という回答をした方がいます。そのため、1,000万円以下の予算でもローコスト住宅を建てられる可能性があります。
1,000〜2,000万円の予算
1,000〜2,000万円の予算でローコスト住宅を建てるのであれば、「クレバリーホーム」がおすすめです。クレバリーホームはタイル外壁に特徴のあるハウスメーカー。テレビCMでもタイル外壁が宣伝されていますね。クレバリーホームのローコスト住宅は1,000万円台から建てられますので、ぜひご検討ください。
2,000〜3,000万円の予算
2,000〜3,000万円の予算を用意できるなら、大抵のローコスト住宅メーカーで家を建てられることでしょう。あえておすすめのハウスメーカーを挙げるとすれば、「富士住建」はいかがでしょうか。富士住建の特徴は「完全フル装備の家」という、様々な設備が標準仕様になっている商品を提供していること。「ローコスト住宅にオプションをつけるといくらぐらいになるか不安」という方が選びやすいハウスメーカーとなっています。
3,000万円〜の予算
3,000万円〜の予算で家を建てるなら、ローコスト住宅ではなく通常のハウスメーカーでも検討可能です。ただし、通常のハウスメーカーで3,000万円ギリギリの予算だと、あまりオプションは付けられない可能性があります。
この予算帯であれば通常の注文住宅も検討できるので、あえて特定のローコスト住宅メーカーは紹介しないことにします。おすすめのローコスト住宅メーカーをまとめている記事がありますので、そちらを参考にしてみてくださいね。
まとめ
今回はローコスト住宅を建てる上での注意点を紹介しました。価格編、メーカーの対応編、施工編という3種類に分けて解説しましたが、ローコスト住宅の注意点をご理解いただけましたか?
今回紹介している内容の中には、ローコスト住宅はもちろん家づくり全般に当てはまる注意点もありました。こちらの記事が、あなたの理想のマイホームづくりの手助けになれたなら幸いでございます。
二級建築士・インテリアコーディネーター監修者コメント
【監修者】河野 由美子
建築価格が抑えられる分、標準仕様のグレードやアフターサポートの内容の質が低いなど、ローコスト住宅には一長一短があります。価格だけに注目して他の大事な部分を見落とさないよう、対応や施工についても細かい部分までしっかり確認しましょう。
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