ソニー不動産が打ち出した異色のビジネスモデルは、従来の不動産業界の悪しき習慣を正すことができるのか

ソニー不動産が打ち出した異色のビジネスモデルは、従来の不動産業界の悪しき習慣を正すことができるのか

数年前に不動産業界という新しいジャンルに参入したソニーグループ。新しく大きなビジョンを持ったビジネスモデルを打ち出しましたが、そのシステムは賞賛と批判の両方を受けることになりました。

この記事にたどり着いたあなたは、以下のような疑問、ニーズを持っていると思います。

  • 常識外れと言われるソニー不動産のビジネスモデルを知りたい
  • ソニー不動産のビジネスモデルが特殊と言われるゆえんは?
  • 他の不動産会社のやり方と比べて、ソニー不動産のビジネスモデルの良さは何?

このページでは、従来の不動産会社とソニー不動産のビジネスモデルの違いを説明し、なぜこれほど話題になっているのか、どのような人がソニー不動産に向いているのかを解説します。

ソニー不動産のビジネスモデルを軸に日本の不動産業界の現状を深く知ることによって、あなたの不動産売却活動のお役に立てれば幸いです。

ソニー不動産は、2019年6月1日にSREホールディングスと名称を変更しています。この記事では混乱を避けるため「ソニー不動産」で統一して執筆しています。ご了承ください。

目次

ソニー不動産が打ち出したビジネスモデルは常識外れだった

ソニー不動産ならではのやり方

ソニー不動産のビジネスモデルはしばしば常識外れと形容されます。
そのように言われる大きな原因のひとつに、エージェント制度を導入し両手仲介を行わない、
囲い込みのないシステムを構築しようとしたことがあげられます。

「両手仲介」「エージェント制度」「囲い込み」に関しては以下の記事に詳しい説明があります。

F

ソニー不動産が目指したものは、CtoC(Consumer to Consumer)と呼ばれる、消費者同士の間で取引が完結するシステムです。

CtoCの基本的なビジネスモデル

CtoCとは、たとえば「メルカリ」や「ヤフーオークション」のように買い手と売り手が直接取引できるようなシステムのことです。

不動産会社のような仲介業者が存在しないため仲介手数料が発生せず、囲い込みもないので、売り手にも買い手にも有利なシステムと言えるでしょう。

ではなぜソニーグループは“常識外れ”と言われるシステムを不動産業界に持ち込んだのでしょうか?

ソニー不動産の前執行役員である風戸氏の話によると、彼が2004年にある不動産流通会社に就職した時に目の当たりにしたのが、当たり前のように囲い込みをするトップ営業マンの姿でした。

その会社の営業マンは物件の買取を行い、その物件を転売して両手取引以上、つまり10%以上の仲介手数料収入を得ていたそうです。

こういった事実をお客様が知ったらどう思うだろうと彼は考え、この悪しき慣習を正すことこそビジネスチャンスだと捉えたと言います。

従来の不動産業者のビジネスモデルとは

日本ではいまだに主流の両手仲介。仲介手数料収入が2倍になります。

風戸氏の話のような悪徳会社は、執拗な囲い込みや両手仲介による手数料収入を目指しますが、
これらは日本で行われている従来のビジネスモデルです。
すべての不動産会社が悪徳業者ではありませんが、両手仲介はいまだに一般的に行われています。

不動産の売り主はとにかく高く売りたいと考え、買い主はできるだけ安く買いたいと考えるのが普通なのに、この間を1人の業者が取り持とうとする両手仲介は必ず矛盾が生じてしまいます。

ソニー不動産のビジネスモデルはアメリカのやり方を真似たと言われますが、実際にアメリカでは両手仲介は禁止され、買い手と売り手が直接取引できるCtoCのシステムが整っています

日本の不動産業界の現状

情報透明度は世界に遅れをとっているし、空き家は増えているのに新築も増えている状況。日本の不動産業界の現状は良いとは言えない。

ジョーンズラングラサール株式会社とラサールインベストメントマネジメントが行った「2014年版グローバル不動産透明度調査」によると、日本の不動産市場の透明度は世界26位と、先進国では最下位クラスでした

この調査は2年に1回行われ、2016年度の調査では日本の順位は19位、最新の2016年度の調査では14位と徐々にランキングが上がっていますが課題も残っているようです。

2018年版グローバル不動産透明度調査

特に情報やデータの開示の点で他の国と比べて圧倒的に劣っていると報告されています。

また、総務省が5年ぶりに行った「平成30年住宅・土地統計調査」では空き家が846万戸と、総住宅数(6242万戸)の13.6%を占め過去最高となっています

空き家数及び空き家率の推移

この家余りの状況にも関わらず新築住宅が供給され続け、平成25年と比べ,179万戸(3.0%)の増加している状況です

総住宅数及び増加率の推移

悪徳業者の手口

悪徳業者が使う「囲い込み」について説明した図

次に、囲い込みによる具体的な手口を見ていきましょう。

両手仲介を利用した囲い込みとは、売り手にとって有利な買い手ではなく、条件は悪くても自社で紹介できる買い手だけを紹介して仲介手数料の両取りを狙うものです。

この囲い込みを成功させるために、物件情報を公開するサイトへの登録を遅らせたり、値段を吊り上げて物件を魅力のないものに見せかけるといった手口を使うことがあるそうです。

こういったことが行われることがあるため、日本の不動産業界には透明性がない、情報公開の点で問題があると言われてしまうわけです。

ソニー不動産のビジネスモデルの元となったアメリカと日本のシステムの違い

日本とアメリカは一体どう違うの?

前述した不動産業界の透明性の調査のランキングでは、アメリカはトップ3に入る実力を持っています。

不動産業界の透明性の調査のランキングでは、アメリカはトップ3に入る実力を持っている

日本とアメリカではそのシステムにさまざまな違いがありますが、ここでは3つの大きな違いについて説明します。

①物件公開方法の違い

①物件公開方法の違い

情報公開が遅れているといわれる日本でも、実は物件の情報公開が義務付けられています。
不動産会社はレインズと呼ばれるシステムに物件情報を登録しなければなりません

レインズのトップ画面

レインズとはReal Estate Information Network Systemの略で、不動産業者は業者同士で自由に物件情報取得ができるシステムで、ここに物件情報を公開することによって、買い手を紹介してくれる会社に見つけてもらいやすくなり、売れる可能性が高まります。

レインズへの登録は不動産会社の義務で、どのように物件情報を登録したかという報告を売り主にすることになっています(「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」を締結した場合)。

こう見ると、日本もしっかりと情報公開の仕組みができているように見えますが、実は日本のシステムでは他の不動産業者と媒介契約をした顧客だけしか見ることができないという制約があります。

アメリカでは、不動産業者や顧客だけでなく、一般人も分け隔てなく閲覧することができるようになっています。

②日本の営業マンと米国のエージェントの違い

②日本の営業マンと米国のエージェントの違い

日本の場合、売買活動を行うのは不動産会社に所属した担当者で、利用者がその担当者を選ぶことはできません。

できる担当者に当たれば良いですが、あまり積極的ではない担当者や、売却のアイデアを出すわけでもなくただ淡々と仕事をこなすだけの担当者に当たれば、取引がスムーズでないばかりか売却価格にまで響いてきます。

一方、アメリカでは取引は不動産会社が取り持つのではなく、個人のエージェントと契約して売却活動を行うことが一般的です。そのため利用者が売却エージェントを選ぶことができます。

エージェント側から見ると、自分の実力で人気が変わり、取れる仕事量も変化するため、結果に責任が伴います。ただ仕事をこなしていれば固定給が入ってくるという世界ではありません。

どちらのエージェント(担当者)の方が良い結果が出るか明らかでしょう。

③不動産売却の手続きの違い

③不動産売却の手続きの違い

日本では登記の手続きに関しては、司法書士に代行してもらうことが一般的ですが、
その代金として支払う報酬はその司法書士によって異なります。

利用者はどの司法書士に頼めばいいかわからない時には、不動産会社が指定した司法書士を利用するというパターンもよくあるでしょう。

アメリカの売却に関する登記の手続きは、利害関係のない別の法人ですべて行われているため、手数料の面で損か得か、だまされていないかなど気にする必要がなく、安心して利用できるようになっています。

日本の不動産業界にはまだまだ改善する余地がありそうです。

ソニー不動産のビジネスモデルへの批判

批判も多いソニー不動産のビジネスモデル

これまで見てきたように、アメリカを模したソニー不動産のビジネスモデルは理にかなったとても良いシステムのように見えますが、もし成功すれば従来の仲介業者の仕事を奪うため、強い反発を受けました

また、他の不動産会社からの反発だけでなく、ソニー不動産のやり方に問題があると指摘する人もいます。

先進的なアメリカのシステムを取り入れようとしたソニー不動産のビジネスモデルはなぜ批判されるのでしょうか?実は、ソニー不動産のやり方はメリットばかりではありませんでした。

ソニー不動産のビジネスモデルのデメリット

CtoC取引は初心者にはハードルが高いことも

利用者からすると、囲い込みがない分手数料が安くなったり、より高い金額で売却できる可能性がありますが、個人同士で行うCtoCを利用する際は、自分の力で売却活動を行わなければなりません。

ソニー不動産は個人でもCtoCのシステムが利用できるようサポートも行っていますが、取引経験がなく初めて売却活動を行う個人にはハードルが高すぎる可能性があります。

ソニー不動産のやり方がビジネスとして成り立たない可能性も

日本ではまだまだソニーのやり方は通用しない

不動産流通市場の透明性や公平性の改善に挑んだソニー不動産でしたが、日本というフィールドで片手仲介にこだわると他の不動産会社より儲けることができないという事実に直面しました。

平成29年3月期の不動産仲介手数料収入比較

不動産流通推進センターの資料を見ると、不動産仲介手数料の収入を比較したときソニー不動産の総売上高の規模がとても小さいことがわかります。

そのためソニー不動産は今後、不動産販売やプロパティマネジメントなど不動産流通とは別のサービスを取り入れざるを得なくなり、特色が薄れ一般的な不動産会社に近づくことになるかもしれません。

ソニー不動産の中でも一般的なやり方のサービスを受けた場合、他の不動産会社と同じような仲介料が発生する可能性もあります。

一部で「ソニー不動産は手数料が安いと聞いたがそうでもない」という口コミがあるのは、CtoCではなく従来の仲介の手法を利用したためだと思われます。

今後は、“ソニー不動産イコール手数料が安い”ではなく、さまざまなサービスの内容をきちんと理解し、自分に合ったサービスを選ぶことが重要になってくるでしょう。

まとめ

ソニー不動産は日本の不動産業界に透明性と公平性をもたらすため新しいビジネスモデルに挑戦しました。

利用者からは歓迎されたシステムでしたが、従来の不動産会社からは批判がありました。現在はCtoCのビジネスモデルだけではなく、従来のやり方も取り入れています。

個人間で取引を行うCtoCは、仲介手数料をなるべく安くしたい人に向いているサービスです。しかし、ソニー不動産のすべてのサービスの手数料が安いわけではないので、サービス内容をしっかりと見極めることが大切です。

CtoCに興味がある人は一度、ソニー不動産のおうちクラベル(セルフ売却)を利用してみてはいかがでしょうか?

不動産を高く早く売却したいなら一括査定がおすすめ

不動産を高く、そして早く売りたいなら、不動産会社に仲介を依頼する必要があります。
しかし不動産会社なら、どこに頼んでもいいわけではありません。

どこの不動産会社がよいかわからない女性

あなたの不動産の「売却が得意な不動産会社」に依頼することが成功のカギ!

あなたが売却しようとしている不動産を得意とする不動産会社に依頼することが重要です。

あなたの不動産売却を得意か苦手かでこんなに違いがあります!

このようなレアな不動産会社は、不動産一括査定サイトを使えば効率的に探すことができるんです。

一括査定サイトを使って、あなたの不動産売却が得意な不動産会社を効率よく探そう

不動産一括査定サイトは、自分の不動産情報と個人情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社に完全無料で査定を依頼することができます。

オンライン査定申し込みの仕組み

不動産一括査定サイトを使えば、自分が売ろうとしている不動産売却に強い会社を効率よく探すことができます。

納得のいく査定根拠を示してくれる不動産会社なら、不動産売却が得意な業者であると言ってもいいでしょう。

また具体的な売却時期が決まっていなくても大丈夫、査定だけでもOKです。査定結果を見て、売却するか?しないか?を検討しても問題ありません。

【超効率的】複数サイトを利用して高く早く売ろう!組み合わせ紹介

実は、不動産一括査定サイトは30サイト以上もあります・・・。
まともに稼働していないのを除いたとしても、どれを使えばいいか迷ってしまいますよね。

そこで不動産いろは編集部は、運営歴や利用者の評判などを加味し、本当におすすめできる5サイトを厳選しました。

スクロールできます
サイト名メリットデメリット対応地域サービス
開始年
★★★★★
home4u
公式サイトへ
・日本初の不動産一括査定サイト
・大手NTTデータグループの運営だからセキュリティ万全
・売却ノウハウ本を無料ダウンロードできる
 ・ 同時依頼数は6社
・提携社数は多くない全国2001年9月
★★★★★
すまいvalue
公式サイトへ
・超大手の不動産会社だけに査定依頼できる ・中小の不動産会社との提携はない
 ・同時依頼数は6社
 ・仲介サポートやライフプランニングなどのサポートが充実
・中小の不動産会社とは提携していない ・大都市に偏っている全国(大都市)2016年10月
★★★★☆
おうちクラベル
公式サイトへ
・東証プライム上場企業が運営する
・売主の味方としてのエージェント制
・AIと不動産会社の査定結果を比較できる
・大都市に偏っている
・AIの査定結果は参考程度に留めておく必要あり
全国(大都市)2015年11月
★★★★☆
イエウール
公式サイトへ
・提携社数が多い
・不動産会社ごとの専用ページがあり、特徴やアクセス、スタッフ紹介の詳細を見ることができる
・農地査定ができる
・LINE感覚で入力するだけだから簡単
・運営歴が浅い全国2014年1月
★★★☆☆
イエイ
公式サイトへ
・提携社数が多い
・売却相談をメールor対面で可能
・運営10年以上の老舗
・査定後フォローをしてもらえる
・農地査定ができる
・運営会社が非上場全国2007年

不動産一括査定サイトの”かしこい使い方”は、お住まいの地域に合わせて組み合わせて利用するのが一番です。

不動産一括査定サイトを1つだけ利用しても、地域によってベストな不動産会社が見つかるとは限りません。

複数の不動産一括査定サイトを組み合わせて使うことで、ご自身の不動産売却にぴったりの不動産会社が必ず見つかります。

不動産のいろは編集部は、以下の組み合わせがベストな選択だと考えています。ぜひ複数の不動産一括査定サイトを利用してみてくださいね。

3大都市圏・札幌市・福岡市

この組み合わせのポイント

大都市の売却に強い「すまいValue」「おうちクラベル」で有名大手を網羅。「HOME4U」を加えることで、中堅や地元の実力企業も候補に入れられる!

それ以外の地域

この組み合わせのポイント

地域によっては、提携不動産会社が少ない場合もある。地方に住んでいる方は、提提会社数の多い3サイトを組み合わせるのがベスト!

HOME4U【日本初の一括査定サイト】

評価 ★★★★★

HOME4U(ホームフォーユー)のトップ画面

日本初の一括査定「HOME4U」悪質業者は徹底排除!

査定依頼数は累計35万件。年間700万人が利用

  • 最大6社の査定価格を1度で取り寄せ
  • 比較するから相場&適正価格が分かる
  • 利用料金は完全無料の0円で全国対応
  • たったの1分でカンタン一括査定

すまいValue【大手6社限定で一括査定】

評価 ★★★★☆

すまいValueのトップ画面

業界を代表する大手6社の査定だから安心安全な「すまいValue」

唯一、三井のリハウスにも査定依頼可能!

  • 大手不動産会社6社のみ
    ※業界No1の三井不動産リアリティ(三井のリハウス)、No2の住友不動産販売に唯一査定依頼ができる一括査定サービスです。
  • カンタン60秒の一括査定
  • 完全無料で全国OK
    ※支店の無いエリアは未対応
  • 査定依頼件数は77万件以上

おうちクラベル【売手特化の査定サイト

評価 ★★★★☆

おうちクラベルのトップ画面

【1都3県or大阪】売手に特化したソニーグループのSREホールディングスが運営する「おうちクラベル」

  • ソニー不動産が参加する唯一の不動産一括査定サイト
  • おうちクラベル経由の売却なら、巨大ネットワークを駆使した宣伝が可能
  • おうちクラベルならではの「セルフ売却」で最高手取り額を実現

    ※1都3県or大阪なら「おうちクラベル」1社と大手のみの一括査定「すまいValue」の併用がお勧めです。

イエウール【利用者数1,000万人突破】

評価 ★★★★☆

イエウールのトップ画面

提携不動産会社数1,700社以上!利用者数は1,000万人を突破!

  • 最大6社と一括比較ができる
  • 都会から田舎の物件まで査定可能
  • 店舗・工場・倉庫・農地にも対応
  • 利用は完全無料

    ※「まずは情報収集から」「見積もりが欲しい」とお考えの方にお勧めです。

イエイ【運営10年以上の老舗】

評価 ★★★☆☆

イエイのトップ画面

運営10年以上!安心の実績

主要大手から地域密着型まで網羅

  • 提携不動産会社数1,700社以上
  • 店舗・工場・倉庫・農地にも対応
  • 専門知識を持つ相談員が常駐
    難しい税金や相続のことも相談OK!

この記事を書いた人

目次