「理想の家を建てよう!」そう決めて家づくりをはじめたものの、やらなければいけないことは多いのに、わからないことだらけで途方にくれていませんか?
一生に一度の大きな買い物なのに、ほとんどの人にとっては馴染みのない言葉ばかりで困ってしまいますよね。わからないまま突き進んで、失敗するのだけは避けたいものです。家づくりの見通しを立てるなら、実際に家を建てた先輩に話を聞くのが一番手っ取り早いでしょう。
そこで、実際に家を建てた先輩100人に「もしいま家づくりをやり直せるなら…」というアンケートを実施しました。
このページでは、
- 失敗しない家づくりをしたい
- これから家づくりを始めるにあたって、先輩の失敗談や成功談を聞きたい
- 家を建てる心構えをしたい
こういった方々に向けて、家づくりにとりかかる前にぜひ心に留め置いてほしいポイントをまとめています。
先輩100人に聞きました!「建てた家に満足していますか?」失敗しない家を建てるには?
実際に家を建てたことのある先輩100 人に「もしいま、家づくりをやり直せるなら……?」というアンケートをとってみました。
調査方法 | インターネット |
調査対象 | 全国の家を建てた経験がある方100名 |
調査月 | 2019年9月 |
■以下が実際のアンケートの設問となります。
回答者の半数以上が、建てた家に「まあまあ満足している」という結果に
アンケートの結果では、先輩100人のうち約6割が「満足」「まあまあ満足」と回答。「どちらとも言えない」が約2割。「やや不満」「不満」と回答した人が約2割という結果に。家づくりは「三回建てないと満足する家はできない」などと言われていますが、その割には満足に感じている先輩が多いようですね。
最多だった「まあまあ満足」という回答では、こんな声が聞かれました。
特に大きな後悔はないのですが、実際に住んでみると、コンセントの位置や収納の場所といった細かいところで「こうしとけば良かったな」と思ってしまいます。(20代)
立地や素材、キッチンなどでこだわりを反映して建てたのでとても思い入れがあり満足です。ただ、費用がかなりかさんでしまったので。中古の家のリノベーションでもよかったかもなぁと思うときがあります……。(20代)
機能性、だいたいの間取りなどは満足していますが、打ち合わせの時は夫婦二人だけでした。住み始めてから子供ができ、生活スタイルが変わったのが盲点でした。
当時は、子供部屋ぐらいしか考えていませんでしたが、実際子供が生まれてからはリビングで過ごす時間が長かったです。今となってはもっと間取りや収納を考えればよかったと思います。(30代)
建物そのものに関してはあまり不満がないのですが、建てた土地に少々不満が残りました。(40代)
「まあまあ満足」と回答した人でも、不満のポイントがいくつかあるようですね。
どのような後悔が多いのか見てみましょう。
「もし家づくりをやり直すなら……?」設計段階からやり直したい…が多数!
「もし家づくりをやり直せるなら、どの段階をやり直したいですか?」という質問では、やはり間取り・デザインといった設計面での後悔が最多得票でした。
リビングとダイニングを一体にした間取りで大きな吹き抜け構造にしたのですが、エアコンが全然きかなくて後悔しています。(40代)
もっと貯金してからデザイナー住宅を建てれば良かったです。 建てるのが少し早すぎたような気がします。 個人的には地下が欲しかったのですが妻に却下されました。でも、今でもやはり欲しいものは欲しいです……。(30代)
コンセントや、吹き抜け、リビングの広さなどについて、特に多くの後悔が寄せられました。間取りについてはこのようなアドバイスが先輩から寄せられています。
自分自身、コンセントの数は多い方が良いと知人にアドバイスを受け多すぎるぐらい設置しましたが、とても便利だったので知り合いにもぜひお薦めしたいと思います。
やはり主婦目線で建築するのが1番だと思います。家族で過ごすスペースを優先しつつ、家事動線を考え無駄な動きが少なくなるような家づくりをした方がいいと思います。
好みと住みやすさは違うため、好みだけで家を建てるのではなく日々の生活イメージをして建てたほうがいい。
「本当にそれは必要か?」をよく考えた方がいいと思います。家を建てるときは興奮状態というか、あちこちのモデルルームを見ながらウキウキと憧れいっぱいで作ります。でも実際にはいらないスペースがあると思います。落ち着いて、しっかりと考えて行動するのが一番だと思います。
おすすめの間取り・失敗した間取りについては、こちらの記事に詳しくまとめています。
家を建てるタイミングに失敗「もっとあとで建てればよかった……」
家を建てるタイミングや時期については、子供の成長や予算面で「もっとあとで建てればよかった」という声が多く聞かれました。
子供が生まれる前に建ててしまったので、子供部屋の設計が甘かった気がします。もう少し子供が大きくなってから家を建てればよかったなあと思います。(40代)
予算が限られていたので、あまり理想通りには建てられませんでした。もっとお金を貯めてからにしてもよかった。(40代)
駅近で希望していたのですが、土地があまり大きくなかったため狭小住宅を建てることになりました。でも、時期を待てばもう少し大きな土地があったかも。(70代)
ただし、「もっと早く建てればよかった」という声も。
遅くに家を建てたが、ローン返済が苦しい。もっと早く家を建てれば、老後の計画が立てやすかったと思います。(30代)
増税や金利などのニュースや、自分自身の年齢に合わせてつい「早く家を建てないと」と思わされますが、実際には、家を建てるタイミングが早すぎるということもあるのですね。
家を建てるタイミングについて、先輩からこのようなアドバイスが寄せられました。
建てるタイミングは考えた方が良いです。賃貸の方が良い時期もあると思います。賃貸マンションの家賃は何も生みませんが、焦り過ぎても無駄になることもあるので、慎重さは重要です。
家を建てる計画と合わせて人生設計もしっかりと構築しましょう。どのタイミングが家を持つのにベストかをしっかり見極めて購入するのをオススメします。
家を建てたいと思ったら、早めに動いた方がいいと思います。そしてたくさんモデルハウスやオープンハウスを見に行った方がいいです。自分も勉強したほうが絶対良い。
タイミングを悩んでいると一生家なんか建てられないとは言われましたが、一生に一度の買い物ですし納得いくまで悩んだ方が良いと思います。
家族構成が決まったところで建てた方がいいかもです。でなければ、一部屋くらい余裕をもって設計した方がよいかもしれません。
家を建てるタイミングについて、詳しくは以下の記事にまとめています。
資金計画が甘くて失敗「あまり頭金を用意しない状態で購入した結果……」
資金計画については、「もっと貯金を貯めておけばよかった」といった意見が聞かれました。
あまり頭金を用意しない状態で購入の決断をしてしまったので、選ぶ段階での選択肢が少なかったです。外構や素材を諦めたり、ランクを下げなければならなくなったりもしました。いくらかは資金の貯蓄をしておくべきでした。
もう少し資金があればもっと広い土地に家を建てられたなあと思います。
一生に一度だからと欲しい設備を付けた結果、予算よりかなりオーバーしてしまいました。住み始めて実際にローンを払っていかないといけない段階になり後悔しています。やっぱりもう少し削れそうなところは削ればよかった。月々のローンの金額を減らしたいです。
共働きのときに家を建てました。そのときは、夫婦ともに正社員で子供もいない状態でしたので、金銭的にも余裕でした。ただその後、子供が二人産まれ、私自身も正社員からパートになりました。現在、育休中で収入がさらに少なくなっているため、毎月の資金繰りが大変です。ギリギリです。最初から主人だけの収入でやっていける、余裕のある資金計画にしておけばよかったです。
「もっと家づくりの額を下げればよかった」という意見が大半でしたが、「もっとお金をかけて作ればよかった」という意見もありました。
今思えば、もう少しお金をかけて作れば良かったと思います。例えば浴室乾燥機や床暖房、ソーラーパネルなどです。当時はなるべく資金をかけないように安上がりで作ったため、家には最低限の設備しかつけてないです。今からはなかなか思いきれないので、どうせならお金がいる最初に思いきってつければよかったなあ。(50代)
我が家は後からオール電化にしましたが、最初からそう設計しておけばよかったです。
設計図段階ではお金がかかると思って諦めていたのですが、後から変える方がお金はかかるので、やっぱりあのとき口にすれば良かったと思いました。
資金計画は家づくりの土台となる最重要部分。ローン返済は数十年にわたるだけに、しっかりとおさえておきたいですね。ただ設計段階で「予算が足りない」と諦めても、のちのち「つけたいものはつけたい」と思いが残るパターンもあります。
失敗のない家づくりのためには、こだわる部分と削ってもいい部分をしっかりと区別することが一番大事でしょう。
資金計画について、先輩からこのようなアドバイスが寄せられました。
「どうしても取り入れたいこと」は優先して取り入れましょう。「どちらでもいい」というものはよく考えて。余裕のあるローン返済になるようにした方が良いです。
自分の中で資金の計画をしっかりと考えて細かいところまで情報収集するといいです。人に任せた分だけ後悔が多くなるかも。
ローンの借入額など、勢いで決めずに、少しでも借入額を減らすほうがいいと言うことです。
ずっと住む家のことにお金をケチっても、長い目で見て良いことはあまりないと感じております。
資金計画の立て方については、こちらのページでくわしく解説しています。
家を建てる土地選びをやり直したい。「近所で有名な迷惑おばさんが近くに住んでいて……」
家を建てる土地については、さまざまな角度から悩みが寄せられました。
土地そのものへの後悔である、「地盤」「日当たり」「職場への距離」といった悩みは以下です。
土地を見に行ったときは更地ではなく古家が建っている状態だったので、地盤の状態が分からなかったのですが……。買ってから、実はそこがひどい粘土質の地域で、水はけが悪く湿気が多いせいで草木が育たない土地だったと知りました。デザインや資金は自分でなんとかなるが、土地柄・環境は自分だけではどうにもならないので後悔しています。
土地は何度も見に行ったのですが昼間の限られた時間だったので、日照時間が実際どうなるのか検証できていませんでした。日当たりが少ないので気持ちが落ち込みます。
会社から離れているので、もう少し近い所が良かったかなとは思います。
さらに、けっこうあるのが「近所づきあい」についての後悔です。
土地柄、町内会や子供会の行事が多いのが盲点でした。住んでいる土地に詳しい人に話をもっと聞けていたら…と思います。別の土地に住んでもよかったのかな、と思うこともあるので、土地選びからやり直したいです。
子供の成長などライフスタイルによって近くにあった方がよい施設が変わるのでよく考えて土地を選んだ方がいいと思います。近隣の方などは住んでみないと分からないが、近所で有名な迷惑おばさんが近くに住んでいて対応に困ったことも家選びでやり直したいなと思ったことです。
なんと、「道路」についてはこんな失敗談も聞かれました。
家の前の道路の破損がひどいです。でも私道なため市が修理をしません。
土地の前の道路がななめでコンクリートが入れにくいのか、汚くて見た目が悪い。
家を建てる土地そのものだけでなく、周辺環境までしっかり確認しなければ後悔につながりやすいのですね。実際に住んでいる人に勇気をもって聞いてみることは重要なポイントですね。
先輩からは土地選びについてこのようなアドバイスが寄せられました。
時間が許す限り、朝、昼、夜に土地周りがどのような感じになるのか何度もチェックに行った方がいいですよ。
家を建てる場所・環境について、長くそこで生活する事をイメージして検討するべき。子供の事なんてあまり考える必要はありません。ローンが25年も30年もあるのに子供は10数年で出て行ってしまうのですから。イメージし辛いとは思いますが、老後の自分の生活に重点を置いたプランにした方が良いと思います。
間取り・立地・デザイン・家族の交流・老後の暮らし方…全てうまくいくことは絶対にないので、優先順位をつけておいて、上位3つぐらいがOKならばいいのではないかと思う。ある程度の妥協は必要です。
自分の好きなように、好きな所に家を建てたほうが毎日楽しくなるよ、と一言言いたい。
土地選びについては、下の記事に詳しくまとめています。
土地選びのポイントをまとめたリストも掲載しているので、ぜひお役立てください。
家を建てる依頼先選びで失敗。「依頼した工務店が建築途中で倒産」
ハウスメーカー、工務店、設計事務所といった依頼先については、このような声が聞かれました。
不動産会社の担当に推されて、深夜まで手続き。疲労困憊の中での契約だったため、いろいろな後悔が……。慌てて選ばずに、もう一度冷静な状況で家選びするべきでした。
大手ハウスメーカーで建てました。アフターメンテナンスや補償に関しては安心できるのですが、設計面では融通が利きませんでした。小さくても信頼できる設計事務所などにお願いしても良かったと思います。
こんな恐ろしい失敗談も寄せられました。
依頼した工務店が建築途中で倒産してしまいある日もぬけの殻に。雨漏りや手付かずの二階部の施工も途中のままです。辛うじて一階部は住める状態だったのでアパートの家賃ももったいないからと無理やり暮らし始めました。
たしかに家族経営の工務店などは、大手ハウスメーカーに比べると倒産リスクがありますね。もし担当や見積り、経営に疑問があれば、経営状態も含めてチェックすることも必要になりそうです。
ハウスメーカーについて、先輩から多数のアドバイスが寄せられました。
予算や自分たちのこだわりや要望を考えてから、ハウスメーカーは選んだほうが良いですよ! 営業の勧誘がしつこかったり、高額で購入できない場合があります。
土地探しは自分で不動産屋等に通ってしたほうがいい。ハウスメーカーに探して来てもらったら、そのハウスメーカーで建てざるを得なくなるので……。二番手三番手のハウスメーカーで建てるとなるとやはり後悔することになると思います。
ハウスメーカー選びはとても大事だと思います。担当の人柄の良さ、アフターフォローまでしっかりしているところで建てた方がいいです!
住設機器はあまり細かいところは高級品にこだわらず節約した方がいいです。手抜きを恐れて見積もりの減額を頼みにくい方も、費用を抑えられるポイントを出来るだけ話し合った方がいいということです。
些細な事でも、少しでも気になったらきちんと自分の意見を出し、しっかり納得してから次に進んでいくほうがいいです。
まとめ
この記事では、先輩100人への「いま家づくりをやり直すなら」というアンケートをまとめました。
限られた予算や時間、労力のなかで、まったく不満のない家づくりをするのは本当に難しいのがよく分かります。それでも、6割以上の先輩が満足感のある家づくりをしているということはこれから家を建てるみなさんの大きな励みになりますね。
これらの先輩の後悔を、ぜひみなさんの家づくりに役立てていただければと思います。
一級建築士、インテリアコーディネーター監修者コメント
中村 らん
先輩の声から、要望とコストとのバランスや長期的な暮らしの変化を見通すことが大切なことが分かります。土地についての悩みはそのまま購入時のチェックポイントとして役立ちそうですね。 一級建築士、インテリアコーディネーター:中村 らんの詳細
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「3回建てないと理想の家はできない」と言われるほど、難しい家づくり。
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