学校法人へ不動産を売却する際の税金特例とは?マイホーム売却とは異なるポイントを解説

「学校法人への不動産売却は、マイホームと違って何か特別な手順や許可が必要?」
「学校法人へ不動産売却すると、税金面で何か優遇を受けられるの?」
「学校法人へ不動産売却した際の税金の計算方法を知りたい!」

学校法人へ土地や建物を売却する場合、マイホーム売却と異なる点がいくつかあります。
この記事は、学校法人への不動産売却にフォーカスをあてて解説します。

目次

そもそも学校法人って何?

不動産のいろはオリジナル図版「学校法人とは」

学校法人とは、私立学校(幼稚園から大学)を設立・運営することを目的とした法人のこと。(※文部科学省:学校法人制度の概要

各校の創育工夫によってより良い教育を行う「自主性」と教育を行うことによる「公共性」の両方を兼ね備えています。

学校法人は文部科学省の管理下にあり、国からお金がおりるため経営が安定しています。そのため、不動産の売却先としては申し分ないでしょう。

【どっち?】学校法人は一般法人 or 公益法人?

学校法人は「公益法人」に分類されます。公益法人とは、公益の増進を図ることを目的として法人の設立理念に則って活動する民間の法人のことです。
ちなみに公益法人は、医療法人や宗教法人、社会福祉法人が含まれています。

学校法人へ不動産売却をする場合、特別な許可は必要なし

学校法人への不動産売却は、特別な許可が必要なのでしょうか。答えは「NO」です。

売主である所有者が明確であれば、通常のマイホーム売却と大差なく許可を取る必要はありません。

学校法人とマイホーム売却の大きな違いは、譲渡所得(税制面)です。次に、学校法人ならではの譲渡所得「特別控除」について解説します。

※通常の不動産売却の税制について知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

学校法人ならではの特例、譲渡所得の「特別控除」とは

譲渡所得とは、土地や建物、株式など資産を譲渡する際に生ずる所得のことを指します。

譲渡所得の「特別控除」とは、6種類の特例に該当した際に受けられる控除のこと。
具体的な額は特例によって異なります。

譲渡所得の特別控除(6種類の特例)
  • (1)公共事業などのために土地や建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
  • (2)マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例
    (被相続人の居住用財産(空き家)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例)
  • (3)特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
  • (4)特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
  • (5)平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
  • (6)農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
  • (7)低未利用土地等を売った場合の100万円の特別控除の特例

引用元:国税庁「譲渡所得の特別控除の種類

学校法人への不動産売却の場合、(1)の5,000万円の特別控除に該当します。

特別控除を受けられる条件は大きく分けて2つ

学校法人への不動産売却は、最大5,000万円の特別控除を受けられることが分かりました。
この特別控除を受けるためには、下記2つの条件をクリアする必要があります。

特別控除を受ける条件
  • 土地収用法(法律第219号)の手続きによって収用されていること
  • 買取の申し出から、6ヵ月以内に譲渡すること

詳しく見てみましょう。

条件1.土地収用法(法律第219号)の手続きによって収用されていること

土地収用法とは、公共事業に必要な土地を個人・法人から取得する「土地の収用」の手続きを定めている法律です。

「公共事業」に当てはまる具体的な事業内容は下記のとおりです。

公共事業の具体例(一部)
  • 学校教育法の第一条に規定する学校又はこれに準ずるその他の教育若しくは学術研究のための施設
  • 国が設置する航空保安施設(飛行場を含む。)
  • 放送法による放送事業の用に供する放送設備
  • 国又は地方公共団体が設置する公園、緑地、広場、運動場、墓地、市場など
  • 都道府県又は水防法による水防管理団体が水防の用に供する施設

最大5,000万円の特別控除を受ける場合、あなたの土地(不動産)を買う「学校法人側」が、上記のような公共事業に不動産を活用することが条件です。

学校法人の区分に入る幼稚園や大学・中学校とかの建設に使わなくていいの

その通りです。

不動産の買主である学校法人側には、「学校を建ててください」といった決まりはありません。
土地収用法(第三条)が定める公共事業にしていれば、5,000万円の特別控除を受けることができるのです。

条件2.買取の申し出から、6ヵ月以内に譲渡すること

最大5,000万円の特別控除を受けるためには、不動産の譲渡の期間も要チェック。
学校法人から買取の申し出があった日から6ヵ月以内に不動産を売却しなければいけません。

買取の申し出を証明する書面とか必要なの?はじめの連絡は電話越しだから、証明しづらいかも・・・。

少し曖昧な表現ですよね。国税庁は「不動産の買取価格が確定し、その買取価格を見て買う意思を表した日」を「買取の申し出があった日」としています。

後々のトラブルにならないように、買取価格を提示している書類にはしっかり日付を記載しておきましょう。

譲渡所得の特別控除を受けられる条件は2つあるんだね!
ところで、譲渡所得の計算式って何だっけ?本で見たことある気がするよ…!

アザラシ先生

不動産周りの税金は計算式が沢山あるぞ!覚えてない人も多いんじゃないか〜?
そういう人のために、次は譲渡所得や譲渡税の求め方について見てみよう!

【マイホーム売却の場合】譲渡所得の求め方

マイホームの不動産売却をした際の譲渡所得(利益)の計算方法を簡単に解説します。

譲渡所得の計算式(譲渡所得=譲渡価格-取得費-譲渡費用)

譲渡所得=譲渡価格ー取得費ー譲渡費用
※譲渡価格・・・土地や建物を売ったときの値段。
取得費・・・土地や建物の取得に要した金額に設備費や改良費を加えた金額。
※譲渡費用・・・土地や建物を売るときにかかった費用。(仲介手数料や登記費用など)

売却先が個人・学校法人に関係なく、譲渡所得(利益)が出た場合は、所得税と住民税が課税されます。

ちなみに、譲渡所得(利益)を計算した後に税率をかけると税金が算出できます。

譲渡税(所得税・住民税)=譲渡所得×税率

【学校法人への売却の場合】譲渡所得の求め方

本来、譲渡所得がプラスであれば、税金が発生します。
しかし学校法人に不動産を売却した際は、譲渡所得から5,000万円を限度として控除することができます。

つまり、譲渡所得(利益)が5,000万円以内なら税金が0円となります。

具体的な計算式は下記のとおりです。

課税譲渡所得の計算式

学校法人が私立学校を建設する場合、ある程度まとまった土地が必要となり、地権者の協力が欠かせません。
やむを得ず買取や収用に協力したにも関わらず、税金の負担が増えるのは不公平です。

さらに税金負担を少なくしないと、公共事業に協力する人がいなくなりますよね。

そこで、公共事業のために土地を売却した場合に限り、税金面での優遇を設けました。

不動産売却の譲渡所得について、もっと詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

ここまで、学校法人への不動産売却の条件や譲渡所得について解説しました。次に、特別控除を受ける際の注意点を見てみましょう。

譲渡所得の特別控除を受けるための2つの注意点

他の特別控除とは併用できない

どんなに高く売れても5000万円までが限度

居住用財産(マイホーム)を売却して譲渡所得が5,000万円を超える場合でも特別控除の限度額は5,000万円となります。3,000万円特別控除を適用することはできません。

複数回に分けて売却した場合、最初の年に限り特例が適用される

5,000万円特別控除を利用するにあたっては注意点があります。

複数の土地を2回以上に分けて売却した場合は、最初の年の資産譲渡に限ってこの特例が適用されます。

■5,000万円特別控除

収用された年5,000万円控除
1年目
2年目×

さらに、5,000万円特別控除は、最初に買取の申し出があった日から6ヶ月以内に譲渡しない場合は適用を受けることができません。

実際に、収用交換等の5,000万円特別控除の適用を受けようとする場合は、売却する土地の最寄りの税務署に事前確認することが必要です。

適用を受けることができるかを確認しながら手続きを進めましょう。

まとめ

学校法人への不動産売却では、大きな金額の特例を受けることができますが、実際に適用を受けることができるか?事前に税務署へ確認されることをお勧めします。

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