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不動産を所有していることを証明する権利書(権利証)は、所有権者だけが所持している大切な書類です。権利書は不動産売却時に必ず必要になりますが、どのタイミングで渡せばいいのでしょうか。
このページでは、不動産売却時に使用する権利書に関する以下の疑問について回答します。
不動産売却で権利書はいつ渡せばいいのか、そして権利証トラブルを回避するために知っておくべきことについて知りたい売主は、本記事をぜひ参考にしてください。
目次
まずは、不動産売却において権利書はどんな書類なのか、そしてどれほど重要なのかについておさらいしていきましょう。
権利書がどんなものかを正しく知っておけば、イザというときに「権利書がない!」「盗まれた!」と慌てることもなくなります。また、権利書は所有権を記した非常に重要な書類です。不必要な場所に持っていかないように、権利書の役割もしっかり理解しておきましょう。
権利書と聞くと薄い冊子のようなものをイメージする人もいますが、デジタル化が進んだ近年では、権利書は冊子ではなく12桁パスワードが配布されるようになりました。このパスワードを登記識別情報と言います。
そして登記識別情報が記載されている紙は「登記識別情報通知書」と呼ばれ、いわゆる現代の権利書です。このように不動産の権利も、近代化されるようになりました。
ドラマや映画などで、「不動産の権利書を奪い勝手に土地を売却する…」なんてシーンがありますが、現実には「権利証」や「登記識別情報通知書」を紛失しても勝手に不動産を売られるようなことはありません。
これらは、不動産を所有していることを証明する情報ではありますが、単体で所有権者を変更することはできないからです。
では、権利書単体で所有権者を変更できないのであれば、不動産売却において権利書が必要になるのはなぜでしょうか。権利書単体では所有権者を変更できませんが、権利書が必要とされるのは以下の3つの理由からです。
それぞれの理由について詳しくみていきましょう。
権利証は、不動産売却時に所有権者を確認するために使用されます。権利書は土地や家を取得したときに所有権者の名前や不動産の住所などが記載されている法務局から交付された書類です。
現在では、上記の情報を引き出すために12桁のパスワードが記載されている紙になりました。パスワードの部分だけ目かくしシールが貼られています。
これらの書類は、所有権者しか持ちえないものです。
そのため不動産取引の際に、本人確認書類として使われます。
不動産売却した後は、「売主→買主」へ所有権を移転します。
この所有権移転登記をするために権利書が必要です。
しかし、権利書だけでは所有権移転登記はできません。
まず所有権移転登記は、売主と買主が共同申請しなければいけません。
さらに売買契約書や住民票など、権利書以外にも必要な書類があります。
不動産売却時の登記については下記ページにてわかりやすく解説しています。
実際に所有権を移転するときの流れや必要書類について知りたい人は、参考にしてください。
多くの方は、ふだんあまり馴染みがないですが、土地や建物等の不動産を売却すると登記手続きが発生します。
住宅ローンを組むときに、権利書や登記識別情報が必要です。
融資を受けるとき、担保のために抵当権を設定することがあります。抵当権を設定するために登記権利書を使用します。権利書がなければ住宅ローンが組めないというわけではありませんが、権利書代わりの書類を取り揃えなければいけないため、少し手続きが複雑化するので、権利書の取扱には十分に注意しましょう。
権利書は不動産を所有していることを証明する唯一無二の書類です。
もし紛失してしまっても同じものを再発行することはできません。
そのため権利書トラブルが起こらないように以下の3つの点に注意しながら権利書を大切に扱いましょう。
1.信頼のおける人でなければ権利証は手渡してはいけない
2.権利証を失くした場合の対処法
3.銀行には預けない
不動産売却時に売主が知っておくべきことをそれぞれ解説していきます。
権利書だけでは、勝手に所有権を移転させることはできませんが、
無意味に他人に手渡すことは絶対にやめましょう。
権利書は売却時以外に使用されることはありません。
不動産や融資以外の契約では、身分証代わりとしても使用されることはほぼないため、
意味もなく人に見せたりするのは避けてください。
しかし、手続きの関係上、司法書士に権利書を手渡すことがあります。
司法書士が権利書を悪用することは法律で禁止されています。
面識がある司法書士であれば、悪用されることはほぼありませんので、安心してお任せして大丈夫です。
権利書は再発行できない貴重なものです。
しかし、紛失してしまっても不動産を売却し登記手続きをとることは可能です。
権利書を紛失した場合は以下のいずれかの方法で登記を行います。
事前通知制度 | 法務局で権利証がない理由を記載して登記手続きを申請する方法。 後日、法務局から本人宛に通知書が郵送されるので、実印を押し返送することで本人確認をとる。 |
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本人確認情報 | 司法書士に所有権者であることを証明してもらう方法。 その場で証明書を発行できるため、ほとんどの売却手続きでこの方法が選択される。 |
再発行する手続きは取れないものの、それに代わる方法で所有権があることを証明できます。権利書が手元にないときは、これらの方法を選択してみてください。
融資の際に権利書が必要と紹介しましたが、一般的に金融機関が権利証をずっと預かっていることはありません。一時的に提出することはあっても、他の書類とともに返却されることがほとんどです。
もし金融機関で長期間権利書を預かるという話があれば、何らかの理由で融資の手続きが難航していることが考えられます。このような場合は、一度金融機関に相談してみましょう。
権利書トラブルを防ぐために、権利書は必要なときにだけ出すと解説してきました。
それでは、不動産売却で権利書が必要になるタイミングはいつなのでしょうか。
売主が権利書を提出するのは、「契約時」と「決済時」です。
売買契約時 | 所有権者や不動産の状況を確認するために権利書を使用する |
---|---|
決済時買主に所有権を移転するために使用する |
|
上記の2つの場面で権利書もしくはそれに代わる書類がない場合、手続きを進めることができません。権利書の確認を怠り、契約当日になって「やっぱりなかった!」ということがないように事前に準備しておくことが大切です。
また、複数の不動産がある場合、記載されている所在地を再確認し、違う不動産を売却しないよう注意しましょう。
売買契約や決済時に、不動産会社や司法書士が権利書のコピー(写し)とることがあります。不動産取引では写しをとることがあるため、コピー自体は違法ではありません。
法務局のオンラインサービスでは、本人ではなくてもPDFファイルや郵送で登記情報を取得することが可能です。つまり、登記の情報は誰でも取得可能であり、情報を他人に閲覧させることは違法行為には該当しません。
所有権移転登記は、いくつかの身分証明書とともに売主と買主が共同で申請しなければ行えないものであり、他人に情報を開示させても所有権をどうこうすることはできないのです。
権利書の原本や登記識別情報の原本を渡すことは控えた方がいいですが、写しを渡す程度であれば大きな問題にはならないでしょう。
不動産売却で権利書を渡すのは、売買契約時と決済時です。
また融資を受けるために抵当権を設定するときにも権利書の提出を求められます。
契約によっては権利書の提出とコピーをとられることもありますが、権利書はあくまでも所有権者を確認するために証明書であり、権利書単体では所有権を移転されることはできませんので安心してください。
しかしながら、権利書は再発行ができないとても大切な書類です。紛失したり無意味に持ち出したりしないよう、保管には十分に注意してください。
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