PR
認知症になっていると、自分1人では有効に不動産を売却できないケースがあります。判断能力が低下しているため「成年後見人」を選任しなければならないのです。
今回は、認知症の方が不動産を売却するために知っておくべき9つのポイントをご紹介していきます。
【執筆・監修】元弁護士 ライター
福谷陽子
認知症になっていると、自分一人では家などの不動産を売却できない可能性があります。
ただすべてのケースではありません。
売却が可能かどうかは「認知症の程度」によって異なります。認知症が軽度で「事理弁識能力」があると、一人でも不動産を売却できる可能性が高くなります。
事理弁識能力とは「物事を判断する能力」で、だいたい6歳の子どもくらいの知能です。
もしも6歳程度の知能も失われた重度な認知症の方に、不動産の売買契約書にサインさせたらどうなるのでしょうか?
その場合、売買契約は無効になります。すると、契約相手からは売った不動産を返してもらわねばなりませんし、こちらからは返金の必要があります。
また不動産会社の媒介契約も一人ではできず無効になるので、仲介手数料の返金なども発生して大きなトラブルが発生します。
認知症で判断能力が失われているなら、無理矢理本人に契約をさせてはいけません。
認知症が進行すると、もはや不動産を売ることはできないのでしょうか?
そのようなことはありません。「成年後見人」を選任すれば、認知症でも売買契約を進められます。
成年後見人とは、判断能力の低下した本人のために財産管理をしたり、本人の入所する介護施設を決定したりする人のことです。成年後見人にはいくつかの種類がありますが、代表的な「成年後見人」は、本人のほとんどすべての法律行為を代理できますし、本人が勝手にした行為を取り消せます。
不動産売却の代理権も認められるので、成年後見人がいれば本人の代わりに売却を進められます。
成年後見人には以下の3種類があります。
身内の方が認知症になっていたら、上記の後見人制度を状況によって使い分ける必要があります。
認知症になった親の不動産を売りたいとき、どのような流れになるのかみてみましょう。
不動産売却の流れは、居住用の家の場合とそうでない不動産(投資用物件など)によって異なるので、分けてご紹介します。
居住用の家の場合、成年後見人が選任された後、家売却のためにあらためて家庭裁判所で「許可」をもらう必要があります。一方家以外の投資用物件などの場合には、許可なしに成年後見人が自分の判断で不動産を売却することが可能です。
成年後見人を選任する方法を詳しくみていきましょう。
まず、家庭裁判所で成年後見人を選任してもらうための「資料」を集めます。以下のような書類が必要となります。
必要書類 | 取得先 |
---|---|
申立書 | 家庭裁判所のウェブサイトから書式をダウンロードできます。 |
事情説明書 | 家庭裁判所のウェブサイトから書式をダウンロードできます。 |
親族関係図 | 本人や申立人、その他の親族の関係を図にまとめます。 |
財産目録 | 本人の不動産や預貯金などの財産についての一覧表を作成しましょう。 |
収支目録 | 年金などの収入や介護保険、健康保険料などの支出を表にします。 |
候補者の事情説明書 | 後見人の候補者を立てる際、本人との関係などを説明する書類です。 |
親族の同意書 | 候補者を立てる場合、他の親族から同意書をもらっておくとスムーズに選任手続が進みます。 |
診断書・診断書付票 | 家庭裁判所の診断書書式があるので、医師に渡して作成してもらいます。 |
本人と候補者の戸籍謄本・住民票(発行から3か月以内) | 戸籍謄本はそれぞれの本籍地の役場で取得可能です。住民票は住民登録されている役所で取得しましょう。 |
本人と候補者の登記されていないことの証明書 | 東京法務局に申請して、現在まだ成年後見人がついていないことを証明するための「登記されていないことの証明書」という書類を取得します。 |
財産関係の資料 | 預貯金通帳の写しや不動産登記簿(全部事項証明書)などを用意しましょう。 |
書類が全部そろったら、本人の住所地の管轄の家庭裁判所にまとめて提出します。
成年後見人の場合には800円の収入印紙(申立印紙代)と3000~5000円程度の郵便切手、2600円の登記費用(収入印紙)が必要です。
保佐人や補助人の場合も基本的に同じですが、追加で同意権や代理権を認めると、申立印紙代が1600円(どちらか一方追加の場合)または2400円(両方追加の場合)に上がります。
成年後見審判開始の申立をすると、家庭裁判所で申立人や候補者との面談が行われます。ここではどうして申立をしたのか、他の親族とはどのような話になっているのかなどを聞かれます。
成年後見人を選任することや候補者が立っていることなどについて、家庭裁判所から他の親族に意見照会が行われます。
面談や親族紹介の結果を踏まえて家庭裁判所が成年後見開始の審判を下します。審判では、候補者がそのまま後見人になるケースもありますが、親族間に争いがあったり財産額が多額であったりすると、弁護士などの専門家が選任されることが多くなります。
認知症の人の成年後見人になるのは、どういう人なのでしょうか?子どもなどがなることができるのか、みてみましょう。
成年後見人には、基本的に誰でもなることができます。特に資格などはなく子どもや孫などの親族が就任することも可能です。ただし未成年者や被後見人、破産者は成年後見人になれません。
親族が後見人になるためには、成年後見申立の際に「候補者」として家庭裁判所に知らせる必要があります。申立書に「候補者」を記入する欄があるので、氏名や本籍地、住所などの必要事項を記入しましょう。そうすれば家庭裁判所がその人を候補として手続きを進めてくれます。ただし他の親族が反対しているケースでは、候補者が後見人になれるとは限らず弁護士などが選任される可能性が高まります。
成年後見の申立が済んで後見人が選任されても、本人の居住用の「家」を売るときには注意が必要です。この場合、成年後見人の判断1つで家を売ることができないからです。
家は本人の生活の本拠となる重要な資産なので、別途家庭裁判所による許可がないと売却できません。
売却を認めてもらうためには、家を売る必要性と家を売る条件の妥当性が必要です。
売却が認められるのは、以下のようなケースです。
本人が住んでいて生活費も足りている状態では、家の売却は認められません。
また買手との売買契約において、代金などの売却条件が適正であることも必要です。買手が親族で不当に安い価格で売却しようとしても認めてもらえないでしょう。
一方、家以外の投資用マンションなどの場合、家庭裁判所の許可は不要で後見人の判断で売却を進められます。
ただし不当に低い条件で売却したら「職務遂行方法が不適切」として、後から責任追及される可能性はあるでしょう。
親などが認知症になってあなたが成年後見人になったときの注意点を解説します。
1つは家庭裁判所への報告義務です。だいたい年に1回は、本人の財産状況や収支状況を報告しなければなりません。日頃からきちんと本人の財産を管理して、家計簿のように収支をつけておきましょう。親の財産だからと言って、自分のお金を混ぜてしまってはいけません。
認知症の親の成年後見人となった場合、財産管理の目的は「本人の利益」です。親本人が「子どもの幸せ」を望んでいたとしても、自分のためにお金を使ってはいけません。使い込んだら横領罪が成立しますし、他の相続人とももめてしまいます。もちろん成年後見人は解任されるでしょう。
また、他の子どもや孫からお金を無心されても渡してはなりません。
成年後見人となったからには、本人のために適切な財産管理が義務となります。
自分が認知症の親の成年後見人になると大変なので、弁護士などの専門家が後見人になった方が良いと思うかもしれません。しかしその場合、以下のようなことに注意が必要です。
まずは「費用」の問題です。専門家が成年後見人になった場合には、後見人としての在職中ずっと「毎月2~6万円」程度の費用がかかり続けます。
費用は被後見人の預貯金などから差し引かれるので申立人が支払う必要はありません。ただ、将来相続できる遺産が減ってしまうことが問題です。
認知症の親の不動産を売るために専門家を後見人にした場合、売却が済んだら後見人をやめてほしいと思う方も多数おられます。
しかし1回後見人が選任されると、特定の手続きが終わったからといって後見人をやめてもらえません。
基本的に本人が亡くなるまで後見業務が続き、費用もかかり続けます。後見人による業務執行が不適切な場合には解任請求もできますが、別の人と入れ替わるだけで結局後見自体は続いてしまうのです。
生きている間に後見が終了するのは本人の判断能力が回復したときだけです。認知症の高齢者の場合には期待しにくいので基本的に一生続くと考えましょう。
後見制度を利用して不動産を売却するときには、親族が仲良く話し合って信頼できる候補者を立てて進めるのが一番です。今後の参考にしてみて下さい。
これから日本は超高齢化社会を迎えるにあたって、親名義の不動産や相続した不動産を売却せざるを得ない人が激増すると思います。・・・
不動産を売却したいと思っても、さまざまな事情で自分ではできない場合もあるのではないでしょうか。そんな場合はどうしたら良いのか、不安に思っている方もいらっしゃるかと思います。・・・
不動産を高く、しかも早く売りたいなら、不動産会社に仲介を依頼する必要があります。しかし、不動産会社なら、どこに頼んでもいいわけではありません。
あなたが売却しようとしている不動産を得意とする不動産会社に依頼することが重要です。
そのような不動産会社は、不動産一括査定サイトを使えば効率的に探すことができます。
不動産の一括査定サイトは、自分の不動産情報と個人情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社に完全無料で査定を依頼することができます。
一括査定サイトを使えば、自分が売ろうとしている不動産売却に強い会社を効率よく探すことができます。
納得のいく査定根拠を示してくれる不動産会社なら、不動産売却が得意な業者であると言ってもいいでしょう。
また、具体的な売却時期が決まっていなくても査定だけでもOKです。査定結果を見て、売却するか?しないか?を検討しても問題ありません。
一括査定サイトは、30サイト以上もあります。まともに稼働していないのを除いたとしても、どれを使えばいいか迷ってしまいますよね。
そこで、不動産いろは編集部では、運営歴や利用者の評判などを加味して、信頼できる10サイトを厳選してお勧めしています。
サイト名 | メリット | デメリット | 対応地域 | サービス 開始年 |
---|---|---|---|---|
★★★★★![]() 公式 サイトへ |
・日本初の不動産一括査定サイト ・大手NTTデータグループの運営だから安心 ・売却ノウハウ本を無料ダウンロードできる |
・提携社数は多くない | 全国 | 2001年 |
★★★★★![]() 公式 サイトへ |
・超大手だけに査定依頼できる | ・中小の不動産会社との提携はない ・大都市に偏っている |
全国(大都市) | 2016年 |
★★★★★![]() 公式 サイトへ |
・東証プライム上場企業が運営する ・売主の味方としてのエージェント制 |
・大都市に偏っている | 全国(大都市) | 2015年 |
★★★★★![]() 公式 サイトへ |
・提携社数が多い ・不動産会社ごとの専用ページがあり、特徴やアクセス、スタッフ紹介まで詳しく見ることができる。 ・農地査定ができる |
・運営歴が浅い | 全国 | 2014年 |
★★★★★![]() 公式 サイトへ |
・提携社数が多い ・売却相談をメールor対面で可能 ・不動産会社に代わりに断る「お断り代行サービス」がある ・査定後フォローをしてもらえる ・農地査定ができる |
・運営会社が非上場 | 全国 | 2007年 |
不動産一括査定サイトの賢い使い方として、お住まいの地域に合わせて組み合わせて利用するのが一番です。
1つだけ不動産一括査定サイトを利用しても、地域によってベストな不動産会社が見つかるとは限りません。
複数の不動産一括査定サイトを組み合わせて利用することで、ご自身の不動産売却にぴったりの不動産会社が必ず見つかります。
当サイトでは、以下の組み合わせがベストな選択だと考えてますので、ぜひ複数の不動産一括査定サイトをご利用ください。
3大都市圏・札幌市・福岡市 | それ以外の地域 |
---|---|
![]() 公式 サイトへ + ![]() 公式 サイトへ + ![]() 公式 サイトへ |
![]() 公式 サイトへ + ![]() 公式 サイトへ + ![]() 公式 サイトへ |
ポイント | ポイント |
大都市に強い「すまいValue」「おうちクラベル」で売却に強い有名大手を網羅。「HOME4U」を加えることで中堅や地元の実力企業も候補に入れる。 | 地域によっては、提携不動産会社が少ない場合もあるため、提提会社数の多い3サイトを組み合わせたのがポイント。 |
日本初の一括査定「HOME4U」悪質業者は徹底排除!
査定依頼数は累計35万件。年間700万人が利用
業界を代表する大手6社の査定だから安心安全「すまいValu」
提携不動産会社数1,700社以上!
利用者数は1,000万人を突破!