ふだん、「ふるさと納税」をされない方も、不動産売却における譲渡所得が発生すると大幅に所得が増えるため、ふるさと納税を活用すると非常に大きなメリットを得られます。
・特典(特産品)がもらえる。
・税金が控除される。
・地方が活性化される(災害からの復興も進む)。
「しかし、自分がふるさと納税できる寄付金の上限額っていったいいくらなの?市区町村に聞いても教えてくれないし・・・計算方法を知りたい!」とお悩みの方も多いと思います。
不動産売却による譲渡所得は、ふるさと納税の上限額にどんな影響を及ぼすの?
所得別にふるさと納税の目安を知りたいなー。
そこでこのページでは、ふるさと納税上限額を簡単に計算する方法にフォーカスして解説します。ぜひ、最後までご覧いただけましたら幸いです。
不動産売却によるふるさと納税限度額の計算方法
あなたもご存知の通り、ふるさと納税は実質2,000円の負担で特産品がもらえますが、寄付金額には上限があります。
ふるさと納税限度額は、自分が払っている住民税によって限度額が決まります。
譲渡所得による住民税を計算
不動産を売却して譲渡所得が発生すると住民税がかかります。まずは土地などの売却で得た所得に対する住民税を計算します。
所有期間によって税率が変わりますので、譲渡所得に以下の税率を掛けて住民税を計算します。
所有期間 | 税率 |
---|---|
短期譲渡所得(所有期間5年以内) | 9% |
長期譲渡所得(所有期間5年超) | 5% |
住民税=譲渡所得×税率
譲渡所得ってどうやって計算するの?
このページをご覧の方は、ご自身の譲渡所得額を把握されている方も多いと思いますが、念のため譲渡所得の計算方法を解説します。
譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
なお、譲渡所得がプラスの方は、住民税が課税されるため、ふるさと納税限度額が増えますが、マイナスの方は住民税が課税されませんのでふるさと納税限度額が増えることがありません。
譲渡所得は、「手元にいくら残ったか?」ではなく、「いくら儲かったか?」で判断します。
購入価格の方が売却価格を上回っている場合は、譲渡損となりますので譲渡所得が発生しません。
「譲渡所得=いくら儲かったか」ということが重要なんですね。
そうなんじゃよ!ちなみに建物の取得費に関しては減価償却費を除いた金額で計算することが重要じゃぞ!
また、マイホームの売却で3,000万円特別控除を利用される方で、課税譲渡所得が発生しない方で、住民税の支払いが無い場合もふるさと納税限度額が増えることはありません。
課税譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-3,000万円特別控除
譲渡所得が発生しなければ、ふるさと納税の上限額が増えないってことですね。
そうなんじゃよ。課税所得に対してじゃから注意が必要じゃな。では実際に住民税を計算してみよう!
給与所得による住民税を計算
給与所得の方は、源泉徴収票があると思います。
源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引くと「所得税の課税所得額」が出ます。
「所得税の課税所得額」に「住民税率」を掛けると、概算ではありますが、おおよその住民税がわかります。
所得税の課税所得額=給与所得控除後の金額-所得控除の額の合計額
おおよその住民税=所得税の課税所得額×住民税率10%
※給与所得の住民税は全国一律10%
※他に均等割あり
例えば、課税所得額が500万円であれば、おおよその住民税は以下となります。
50万円=500万円×10%
源泉徴収票には住民税額記載されてませんので、正確な住民税額を知りたいのであれば、年明けの5月頃に通知書が来てから判明することになります。
しかし、ざっくり計算したければ上記でおおよその額を把握することができます。
住民税を合計して上限額を算出
不動産売却の譲渡所得税と給与所得のそれぞれを合算します。
給与所得(総合課税)と不動産の譲渡所得(分離課税)の所得がある場合は、給与所得の税率を使用します。
■ふるさと納税限度額
所得税の課税所得額 | 所得税の税率 | 上限額を求める計算式 |
---|---|---|
~195万円以下 | 5% | 住民税額×23.558%+ 2千円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 住民税額×25.065%+ 2千円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 住民税額×28.743%+ 2千円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 住民税額×30.067%+ 2千円 |
900万円超~1800万円以下 | 33% | 住民税額×35.519%+ 2千円 |
1800万円超~4000万円以下 | 40% | 住民税額×40.683%+ 2千円 |
4000万円超~ | 45% | 住民税額×45.397%+ 2千円 |
例えば、不動産の譲渡所得が無い場合、先に解説しました課税所得額が500万円であれば、所得税率20%となります。
所得税率20%に該当する「ふるさと納税限度額」の計算式に当てはめます。
約14.5万円=約50万円×28.743%+2,000円
上記がふるさと納税のおおよその上限額目安となります。
源泉徴収票が手元にあれば、ふるさと納税の上限額もカンタンに計算できるんですね。
そうじゃの!ただし、くれぐれも目安であることを忘れずにな
源泉徴収票でふるさと納税の限度額を把握する方法は、以下の動画がとても参考になります。前半は前置きなので7分過ぎあたりから詳しく解説しています。
取得費不明な場合は限度額が大きく増える
バブル時代ならいざ知らず、多くの方が実際に不動産を売却しても譲渡所得が発生しないため、
寄付上限額の恩恵を受けることが難しいのですが、取得費が不明の場合は多額の譲渡所得が発生する可能性があります。
大昔に購入した物件などで購入当時の売買契約書を紛失した場合など取得費を証明することができない場合は、概算取得費として譲渡価格の5%で計算します。
譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
取得費を5%で計算すると譲渡所得がプラスになる可能性が高いため、寄付上限額が増えて高額な返礼品をもらえるチャンスがあります。
1.譲渡所得の住民税を計算します。
2.給与所得などの住民税を計算します。
3.合算してふるさと納税の上限額を計算します。
不動産売却によるふるさと納税限度額のQ&A
それでは、ふるさと納税を実行する前に知っておきたいいくつかの疑問にお答えします。
いつ申し込みすればいいですか?
いつでもOKです。注意点としては、確定申告の時期があります。
例えば、2021年に確定申告をして控除を受けようとする場合は、前年の2020年1月1日から12月31日までに寄付を行う必要があります。
多くの方は特産品をもらうだけでなく、税金の控除も考えているでしょうから、前年に寄付を行い、翌年に確定申告をして控除を受けると覚えておけばよいと思います。
納税限度額を超えるとどうなるの?
住民税の特別控除額が上限で張り付くことになります。結果的に自己負担額が2,000円では収まらなくなります。
確定申告をしないとどうなりますか?
何もしなければ控除額を受けることができません。寄付金が減税で返ってこなくなります。
住民税は寄付を行った次の年の1月1日に住んでいる自治体に住民税の申告を行えば住民税を軽減することができます。
年金受給者やサラリーマンであれば、自治体から交付される「寄付金税額控除申告書」を使えば簡単にできます。
税理士監修者コメント
【監修者】本村 健一郎
不動産を売却したときは、ふるさと納税ができるかどうか検討してみましょう。「さとふる」などのホームページ上でも簡単に上限額を計算できます。
税理士:本村健一郎の詳細
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