不動産売却のトラブル事例と回避するための必要知識

国土交通省の発表における、平成29年3月末において全国の不動産取引の苦情・紛争相談件数は1,734件となっています。

1日あたり約4.8件のトラブルが日本のどこかで発生していることになります。

参考元:宅地建物取引業法施行状況調査

このような現状を考えると、不動産売却をする上で

  • 不動産売却でよくあるトラブルを教えて欲しい。
  • トラブルに合わないための心構えを知りたい。
  • 万が一トラブルに遭った場合の対処法を知りたい。

とお思いの方も多いと思います。

そこで、このページでは不動産売却におけるよくあるトラブルとトラブルに遭った際の対処法などを詳しく解説します。

今日も日本のどこかで不動産売却におけるトラブルが発生しています。明日は、我が身かもしれません。

ぜひ、このページを最後までお読みいただけましたら幸いです。

目次

不動産売却でトラブル3つの相手方とよくあるトラブル

トラブルとなる相手方は3者となる

不動産売却において「売主」であるあなた以外の当事者としては、土地やマンションの買い手である「購入希望者」、売買契約締結後は「買主」となります。

そして、仲介業者である「不動産会社」の3者が売買における当事者となります。

売主が不動産売却においてトラブルになる相手方は、「購入希望者」「買主」「不動産会社」となります。

トラブルの相手方は、購入希望者・買主・不動産会社

トラブルに巻き込まれる人

では、トラブルの相手方である、購入希望者・買主・不動産会社の3社とのトラブルを避けるためには、よくある3つのトラブルを事前に知っておくことが重要です。

よくある3つのトラブル

よくある3つのトラブル

ほとんどの売主にとって、不動産売却における最大の関心が「どれくらいの期間でいくらで売れるのか?」だと思います。

不動産売却では大きな金額が動きます。そこで売却スケジュールや金銭面における認識の違いがあると、高い確率でトラブルへと発展する可能性が高くなります。

売却スケジュールや金銭面で巻き込まれる代表的なトラブルとして以下が挙げられます。

  • 思い通りの価格で売れない
  • 予想外の費用を請求される
  • 1年以上売れない

順番に解説していきます。

思い通りの価格で売れない

思い通りの価格で売れない

「売主が希望する価格で売却に出しても、数件の内覧希望者が現れるものの、思い通りの価格で売れない。」近年、こういった物件が非常に多いです。

思い通りの価格で売れない理由としては2つあります。

①相場価格以上の売出価格に設定している。

②仲介業者が両手仲介欲しさに他社からの照会を断っている。

対策:思い通りの価格で売れない

相場価格以上の売出価格に設定している

①の場合は、単純に価格が高いのが原因です。

売出し当初は、市場での反響を見つつ相場よりも強気の価格設定でも許容範囲ですが、期間はせいぜい1~2週間程度です。

なぜなら、市場は売主以上に価格に敏感だからです。
1~2週間経過しても反響が無い場合は、価格が原因です。
すぐに価格改定を行ってください。

②の場合は、少々やっかいです。

他社から照会があっても紹介させない

仲介業者が自社で売主、買主双方から仲介手数料を得るために、他業者から照会があっても「商談中です」や「申込が入りました」などと言って、他社に紹介させません。

あくまでも自社で買主を見つけようと活動します。

この場合、思い通りの価格で売れれば問題ありません。

しかし、仲介業者の中には、売主に価格改定させてでも、両手仲介欲しさに自社で買主を見つけようと躍起になる業者も中にはあります。

この場合は、媒介契約が満了すると同時に別の業者に切り替えるか?

媒介契約を締結する前に「営業開始の1ヶ月間のみ両手仲介を狙っていただいて構いません。その後は、他の業者が紹介できるようにお願いします。」と伝えましょう。

予想外の費用を請求される

仲介手数料以外の費用を支払う必要はない

想定外の代表例なのが、別途通信費や広告費などの名目で請求する業者がいまだに存在します。

売主が不動産会社に支払う費用は、仲介手数料のみです。その他の項目の費用は、一切支払う必要はありません。

売主として騙されないためにも、以下のページがとても参考になります。ぜひ、ご確認ください。

ない、売却後に買主から物件の瑕疵(かし)が見つかり、損害賠償を請求される場合もありますが、詳細は後述します。

対策:予想外の費用を請求される

予想外の費用を請求される

不動産売却に伴う費用は、仲介手数料に含まれるため、不動産会社側から打診され、売主として特別に承認した費用を除いては、一切支払う必要ありません。

特別な費用としては、以下が挙げられます。

  • 遠方への出張費用
  • 物件の露出を上げるための特別広告

不動産会社側から特別な打診もなく、身に覚えの無い費用を請求された際は、支払う必要ありません。

それでも、しつこい場合は、公的な窓口に相談すれば問題なく解決できます。

不動産会社側への苦情や相談なら、全国宅地建物取引業協会連合会や全日本不動産協会あたりが良いでしょう。

1年以上売れない

1年以上売れない

1年以上売れない場合の原因は以下と考えられます。

・価格が相場以上に高い。

・需要が見込めない。

・仲介業者の力量不足。

では、順番に対応策を見ていきましょう。

対策:1年以上売れない

1年以上売れない

まず、「価格が相場以上に高い。」場合は、先に解説した通り、価格改定するしかありません。

ただし、1年以上も相場以上に高い価格で売却し続けることは、極めて稀だと思います。おそらく、何度か価格改定しているはずです。

その場合は、以下の2つに該当している可能性があります。

・需要が見込めない。

・仲介業者の力量不足。

まず、需要が見込めない場合は、一般の方を売却先とした仲介ではなく、買取業者への売却を検討されることをお勧めします。

特に一般の方が購入しづらい物件に該当する方は、

・土地が広大すぎる

・事務所や商業用店舗物件

・事故物件

・その他、通常個人では購入しづらい物件

以下のページがとても参考になります。

最後の仲介会社の力量不足ですが、不動産会社側がまともな営業活動をしていないか?営業力が無いか?などが考えられますので、仲介業者を変更されることをお勧めします。

以下のページが大変参考なりますので、ぜひご覧ください。

以上がよくあるトラブル例でした。

不動産売却における購入希望者・買主とのトラブル

購入希望者・買主とのトラブル

売主として取引の相手方である、購入希望者・買主との代表的なトラブルと解決方法について解説します。

いろいろ考えたのですが契約できません

いわゆる「ドタキャン」というやつですね。

特に契約日の前日になって、「大変申し訳ないのですが・・・やっぱりやめます。」という方も少なからず存在しますので、購入希望者が正式な買主になるための施策を万全にすることが重要です。

ドタキャンにならないための施策としては

・手付金は売却代金の10%以上とする。

・購入申し込みから売買契約までの期間を短くする。

・営業マンが購入希望者との連絡を密にする。

これらが重要です。

特にドタキャンを防ぐためには、鉄は熱いうちに打てではありませんが、購入申し込みから売買契約までの期間を極力短くして、ローンの事前審査が通過した段階で、すぐに契約することで防ぐことができます。

また、売買契約締結後のキャンセルを防止するためにも、少なとも手付金は売却代金の10%以上として、買主に「手付放棄するのがもったいない。」と思える金額に設定することが重要です。

特にキャンセルされる場合は、不動産会側の詰めが甘いのが原因です。売主として業者選定に失敗している可能性があります。

購入希望者のローン審査が通らない

購入希望者のローン審査が通らない場合

売買契約を締結するにあたって買主側は、ローン特約を契約書に盛り込むのが一般的です。

ローン特約とは、ローン審査に落ちた場合、契約を白紙にすることができるのですが、中にはローン特約を悪用する買主がいます。

契約締結後、解約する際は、買主側が手付金を放棄する必要があるため、わざとローン審査に落とされる行為をする買主が少なからず存在します。

ローン本申込の前に、自動車ローンやリボ払いによるショッピングを行うことで、自分の信用情報を悪くすることで、審査に影響を与えることができます。

不動産売買に精通していれば、ローン審査の仕組みがある程度わかります。

対策:購入希望者のローン審査が通らない

ローン特約を悪用する購入希望者もいるので要注意

ではこのローン特約を逆手に取った、買主による不誠実な行為を防止する方法はあるのでしょうか?

契約前の事前審査が通過しているにも関わらず、売買契約後の契約を破棄する目的でローン審査にわざと落ちる行為にローン特約を認めるわけにはいきません。

仲介業者にしっかり間に入ってもらって、対処してもらいましょう。

引き渡し後、買主から損害賠償を請求された

引き渡し後に買主から損害賠償を請求された

物件を引き渡し後、買主から損害賠償を請求されるケースとして最も多いのが瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)です。

瑕疵担保責任とは、引き渡し後に隠れた欠陥などがあった場合、買主から賠償責任を追及されることを指します。

通常は、売主が個人の場合は、瑕疵担保責任を免責にする特約を付けることができるため、瑕疵担保責任を負担せずにすみます。

しかし、瑕疵があることを知っていたにも関わらず、告知しなかった場合は、特約は無効になります。

対策:引き渡し後、買主から損害賠償を請求された

どんな小さな不具合でも不動産会社に伝える

売主の思惑として、高く売りたいために資産価値を下げたくないなどの理由から、「不具合を告げたくない。」ことは心情的には理解できますが、買主を騙して売ったことには変わりありません。

どんな小さな不具合でも構わないので、不動産会社に必ず伝えましょう。

なお、物件の不具合だけでなく、近隣トラブルなどの心理的瑕疵も含まれます。既に解決済みの場合でも、念のため不動産会社に伝えておくことをお勧めします。

不動産会社の担当に「その程度でしたら大丈夫ですよ。」と言われたとしても、責任の所在を明確にするため、書面にして記録しておきましょう。

不動産売却における不動産会社とのトラブル

不動産会社とのトラブル

次は、仲介を担う不動産会社とのトラブルと解決方法について解説します。

隠れて売却したいのに近隣に知られた

隠れて売却したいのに近隣に知られた

不動産売却において意外と多いのが、「近所の人に知られたくない。」といった方が一定数いらっしゃいます。

不動産会社側としては、より多くの見込み客を集めるために、物件周辺にチラシをポスティングしたり、売り出し中と書かれた旗を物件の前に立てたりします。

これらの行為によって近隣に知られることとなります。

対策:隠れて売却したいのに近隣に知られた

買取業者であれば水面下で取引可能

本当に「知られたくない」なら買取業者に連絡して、問題無ければ水面下で取引ができますが、相場の60~70%で手放す必要あります。

相場通りで売却したければ、規模が大きく顧客を多数抱えている大手業者に依頼する。

また、取引センスのある営業に担当してもらわない限り、ちょっとしたことで知られてしまいます。

なぜなら、売り物件であることを、より多くの人に知らせないと売れるものも売れないからです。

従って、近隣には絶対バレたくない方は、水面下で買取業者と取引されることをお勧めします。

媒介契約を結んでないのに仲介手数料を請求された

媒介契約を結んでないのに仲介手数料を請求された

買主が見つかったものの媒介契約を結んでいないのに、仲介手数料を請求されたといったトラブルもあります。

契約書にサインをすることなく、口約束でも売却依頼であっても、仲介手数料を支払う必要があるのでしょうか?

結論から申し上げますと媒介契約書を交わしていない口約束は無効です。従って、仲介手数料を請求されても支払う必要はありません。

不動産会社側への苦情や相談なら、全国宅地建物取引業協会連合会や全日本不動産協会あたりが良いでしょう。

特約を付けなかったため買い替えができなかった

特約を付けなかったため買い替えができなかった

「ごく稀なのですが、元の自宅は売却できたものの、買い替え先の売主の都合によって、買い替えができなかった。」ケースがあります。

この場合、元の自宅を売却する意味が全くないため、「買い替えができない場合は契約を白紙にできる」といった特約を付けない限り、元の自宅を手放すことになります。

買い替えの場合は、万が一に備えて、必ず買い替え特約を付けるようにしましょう。

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