ローコスト住宅と大手ハウスメーカーの違いは!?合計15社を徹底比較!

ローコスト住宅が気になるけれど、大手の高級住宅とあまりにも価格が違いすぎて何がそんなに違うのか?と不安になりませんか?

今のローコスト住宅は見た目も性能も申し分ない良い家を建てることができます。

でも「じゃあ、なぜあんなに高い家を買う人がいるんだろう?やっぱり何かが違うのかな?」と感じてしまいますよね。

そこでこの記事では、

・ローコストハウスメーカーと大手の価格があんなに違うのはなぜ?

・やっぱり大手の方が良いの?

・2×4工法と在来工法のコストの違いは何?

・工務店にもローコスト住宅向き・不向きがあるの?

このような「ローコスト住宅と大手の高級住宅の違い」をメインに、そのほかのギモンについても解説しています。

「予算的には大手の家は無理をしないと買えないけれど、でもその違いに納得してからじゃないとローコスト住宅に決められない」という人にむけて、ローコスト住宅に偏ることなく、あくまで中立的に解説するように心がけました。

家づくりに対する気持ちを少しでも前に進められるためにお役に立てれば幸いです。

ではまず、大手との違いを5つのテーマでみていきます。

1.工法や耐震性の違い

2.老朽化する時期

3.メンテナンス費

4.下請け工務店・大工の腕前

5.長期優良住宅

大手との違いで気になるポイントをこのように5つにまとめて解説していきます。

目次

大手との違い① 工法や耐震性

一番気になる工法や耐震性などの安全面を比較してみよう

ではまず、工法や耐震性についてローコスト住宅と大手との違いを比較していきたいと思います。

この点が一番気になるという方が多いのではないでしょうか?

価格の違いが安全性にかかわってくるとなると、ローコスト住宅を選んでも大丈夫か心配になりますよね。

比較するポイント

比較するポイント

ローコスト住宅の有名メーカーを7社、大手の有名なハウスメーカー8社を選びました。
合計15社をしっかり比較していきます。

比較するポイントは、

・構造…木造/鉄骨

・構法名…自社オリジナルの構法を採用しているか

・構法の特長…公式サイトに記載があるものを簡潔にまとめています

・耐震(制震)実験を実施しているか

・実験の画像を公開しているか

・実験の説明の中に「ガル」や「カイン」(このあと解説します)の記載があるか

・実験回数や結果などの詳しい説明があるか

このようなポイントに注目して、各社の公式サイトを調べました。

構造が鉄骨、実験動画がある、実験条件にカインの記載があるものは黄色でチェックしていますので、比較の参考にしてください。

なお、複数の構法の家シリーズをあつかっている会社については一番グレードの高い、つまり一番コストの高いシリーズを選んでいます。
(例:鉄骨と木造の両方をあつかっている場合は、鉄骨を選択しています。)

公式サイトに記載のない項目は「―」と表示しています。
耐震(制震)実験の実施については、実施している場合は「〇」していない場合は「×」と表示しています。

(2020年1月時点での公式サイトの情報をもとにまとめています。)

“ガル”と“カイン”とは?

“ガル”と“カイン”とは?

先にガルとカインという用語について解説しておきます。

ガルとカインは地震に関連する単位です。

一般的によく使われるのは「震度」や「マグニチュード」ですが、耐震(制震)実験ではガルやカインといった単位で地震の規模を表すことが多いので、少し理解しておくと良いかなと思います。

まずガルについて。
ガルとは、加速度の単位です。

加速度とは、時間あたりの速度の変化率のことです。
全然ピンと来ないですよね。

わかりやすい例で解説します。
停止している車が、アクセルをゆっくりと踏み込んで発進し徐々にスピードをあげていく時、同乗している人の体には特に不快な力はかからず乗り心地が良いと感じます。

でもアクセルを一気に踏み込んで急発進させて猛スピードで走行する場合はどうでしょう?
運転手以外の同乗者には体に強い力がかかって座席に押し付けられ不快に感じますよね。

この瞬間的にかかる力の違いが、ガルの違いです。

地震において、震度やマグニチュードとあわせてガルの観測も行われています。
ガルは、震度と同様に測定地点によって数値が違います。

では次にカインについて解説します。

カインとは、地震の揺れを速度で表すもので、1秒間にどれだけ動いたかを測定したものです。
(1カインは1秒間に1cm動いたということになります。)

ガルとどう違うかを簡単に言うと、ガルはあくまで瞬間的な加速度の単位であるのに対して、カインはガルに時間を掛けて算出します。

お気づきかもしれませんが、ガルとカインのどちらがより地震による建物の被害に関係してくるかというと、カインの方です。

建物の被害が大きくなる原因は、瞬間的な速度よりも、どれだけその速度が継続したかということです。

実際の地震でみると、阪神淡路大震災が最大900ガル、東日本大震災が最大2,933ガルと観測されていますが、建物の倒壊などによる圧死した人は阪神淡路大震災の方が多かったのです。
東日本大震災は100カイン、阪神淡路大震災は200~300カインでした。

耐震実験では実験条件のデータに“ガル”のみ記載されていることが多いですが、“カイン”の記載もあるとより現実の地震に近い実験と言えるでしょう。

ローコスト住宅メーカー7社

有名なローコストメーカー7社を集めました

ではローコスト住宅メーカーからみていきましょう。

アイダ設計

アイダ設計
構造木造
オリジナル構法
構法の特長
構造公式ページ
耐震(制震)実験
実験の画像写真
「ガル・カイン」の記載
実験回数や結果実際に建てた家で、震度7クラスの耐震実験を実施しクリアしている。
実験公式ページhttps://www.aidagroup.co.jp/identity/#anc_qualit

アイダ設計は在来工法を採用しています。構造についても解説は公式サイトにはありません。

耐震実験は行われたようですが、映像はなく写真のみの公開となっています。

実験内容についての説明は詳細なものではなく、“震度7クラス”や“クリアしている”といった曖昧な表現をされているので、やや実験に対して安心感がもちにくいという印象を受けます。

せっかく実験を行ったのであればもう少し客観的なデータを詳しく載せてほしいところです。

アイフルホーム

アイフルホーム
構造木造
オリジナル構法グランドスラム構法
構法の特長木材の接合部に強度のある「テクスター金物」を使用し、梁と床を一体化する「剛床構法」によって、大空間や大開口と耐震等級3相当という強さを両立させている。
構造公式ページhttp://www.eyefulhome.jp/house/technology/safety/
耐震(制震)実験
実験の画像
「ガル・カイン」の記載
実験回数や結果「実物大実験映像はお近くの展示場へ」というコメントのみ。
実験公式ページ

アイフルホームの構法については、耐震等級3相当という耐震性への自信がうかがえる内容となっています。

耐震実験は実施されているようですが、実験映像は展示場に行かないと見ることができないようです。実験内容や結果についても何も記載がありません。

お客様にとって会社選びの大事なポイントとなる耐震性の情報を展示場でしか提供しないというのは、少し良心的ではないようにも感じてしまいます。

アキュラホーム

アキュラホーム
構造木造
オリジナル構法―(木造軸組工法)
構法の特長在来工法についての一般的な内容の説明文
構造公式ページhttp://www.aqura.co.jp/about/technology/tech_01.html
耐震(制震)実験
実験の画像写真
「ガル・カイン」の記載最大2,933ガル 最大202カイン
実験回数や結果2018年3月26~28日の3日間に合計10回の地震実験を実施。日本や世界で起きた実際の地震の震度・ガル・カインを再現した実験を同じ家を対象に行い、構造体と内装に損傷はなかった。(クロスに亀裂あり)
実験公式ページhttp://www.aqura.co.jp/about/technology/tech_02.html

アキュラホームは在来工法を採用しています。
特に独自の構造についての説明はありません。

実験映像があればなお安心感がありますが、残念ながら写真のみの公開となっています。

実験の日程やどの地震を再現したかなどが詳細に記載されているので、実験内容に対する信頼性は感じられます。

タマホーム

タマホーム
構造木造
オリジナル構法―(木造軸組工法)
構法の特長在来工法をベースに面材も使用して壁で家を支える構造になっています。
構造公式ページhttps://www.tamahome.jp/products/lineup/daianshin/daianshin/structure.html
耐震(制震)実験
実験の画像写真
「ガル・カイン」の記載
実験回数や結果人気シリーズ「大安心の家」を対象に、数百年に一度の大地震を想定して実験を実施。結果、建物の変形は建築基準法の限界値の1/3以下。
実験公式ページhttps://www.tamahome.jp/products/lineup/daianshin/daianshin/structure.html

タマホームの工法は在来工法ですが、2×4工法の特徴である“面”で支える手法も取り入れた工法を採用しています。

実験は実施されているようですが、映像はなく写真のみの公開となっています。

内容については“数百年に一度の大地震”という主観的な説明で、結果についても“建築基準法の限界値の1/3以下の変形”という大丈夫なのか素人にはよくわからない説明となっています。

クレバリーホーム

クレバリーホーム
構造木造
オリジナル構法プレミアム・ハイブリッド構法
構法の特長SPG構造とモノコック構造を組み合わせた「プレミアム・ハイブリッド構法」を採用。建物にかかる力をバランス良く受け止めることができます。※SPG構造とは、ストロング・ポスト・グリッド構造の略で、1階と2階に通し柱をより多く使用することで、外部からの力や屋根にかかる荷重をバランスよく逃がしてくれる。
構造公式ページhttps://www.cleverlyhome.com/technology/taishin/
耐震(制震)実験
実験の画像動画
「ガル・カイン」の記載1,791ガル
実験回数や結果899ガル~1,791ガルの揺れを合計6回実験主要構造部材の損傷…全くなしタイルの割れ・剥離…なし内装…クロスの一部に切れ、石膏ボードの一部に割れ
実験公式ページhttps://www.cleverlyhome.com/technology/report/taishin-kekka/#movie

クレバリーホームの構造には、プレミアム・ハイブリッド構法という独自の構法を採用しています。在来工法と2×4工法を組み合わせた構法です。

構造についての説明がしっかりされていて自信がうかがえます。

実験についても、実験映像を公開しており実験の揺れのガルの記載もあるので耐震性にも安心できる印象です。

ユニバーサルホーム

ユニバーサルホーム
構造木造
オリジナル構法ハイパワードフレーム構法
構法の特長ハイパワードフレーム構法とは、エンジニアリングウッド・金物工法・剛性床を組み合わせて高い耐震性能をもつ構法。在来工法なので日本の気候に合った工法。
構造公式ページhttps://www.universalhome.co.jp/technology/hyperframe/
耐震(制震)実験
実験の画像動画(※)
「ガル・カイン」の記載
実験回数や結果記載なし(骨組みだけの実験)
※「この実験はMGEO-Nの性能を調べるための実験であり構造の強度を測るものではありません」と映像中に表示される。
実験公式ページhttps://www.universalhome.co.jp/technology/hyperframe/

ユニバーサルホームの構造は、在来工法です。
ハイパワードフレーム構法で耐震性能が高く安心です。

実験は実施しているようですが、実際の家を対象としたものではなく骨組みの状態に揺れを与えています。

映像中に上記のようなメッセージが表示され、実際に建つ家の耐震性能を測るものではないようです。

レオハウス

レオハウス
構造木造
オリジナル構法―(工法がセレクトできると記載されています)
構法の特長基本は在来工法。軸組工法・耐力面材・構造用金物によって強固な6面体構造を採用。オリジナル制震システムの“L-SAV”も使用し、地震の揺れから建物の変形を軽減し、家の中の人や家財を守る。
構造公式ページhttps://www.leohouse.jp/product/asset/
耐震(制震)実験×
実験の画像
「ガル・カイン」の記載
実験回数や結果
実験公式ページ

レオハウスの工法は在来工法に面材を組み合わせた強度の高い工法です。
制震システムも標準で付いてくるのでさらに地震に対して安心です。

耐震実験は実施されていないようです。

レオハウスはローコスト住宅のハウスメーカーの一つでした。
2021年2月ヤマダホームズと合併し、現在はレオハウス事業本部として完全自由設計の注文住宅を展開しています。
引き続き、レオハウスブランドとして耐震に強い「6面体構造」も提供しています。
参考:ヤマダホームズ

ここまではローコスト住宅メーカー7社についてみてきました。

次に大手をみてみましょう。

大手8社

大手の有名ハウスメーカー8社

では大手の有名ハウスメーカー8社をみていきましょう。

積水ハウス

積水ハウス
構造鉄骨
オリジナル構法ダイナミックフレーム・システム
構法の特長鉄骨造ならではの大空間を可能にするダイナミックフレーム・システムを採用。1階部分は、天井高2,740mm、最大スパン7,000mmという開放的な空間を実現している。
構造公式ページhttps://www.sekisuihouse.co.jp/kodate/spec/
耐震(制震)実験
実験の画像動画
「ガル・カイン」の記載160カイン
実験回数や結果実大の家を対象に合計245回の実験を実施。最大速度160カイン(兵庫県南部地震が90カイン、阪神淡路大震災が200~300カイン)の揺れに対して、倒壊することなく外壁の割れや脱落もなかった。
実験公式ページhttps://www.sekisuihouse.co.jp/kodate/spec/technology/earthquake-resistance/

積水ハウスは鉄骨造のダイナミックフレーム・システムという構法を採用しています。
鉄骨造のメリットの一つは、木造では実現できない大空間を作ることができることです。

耐震実験を実施しており、実験映像も公開されています。
実験回数や揺れのデータの記載もあり、安心感がもてます。

セキスイハイム

セキスイハイム
構造鉄骨
オリジナル構法―(ボックスラーメン構造)
構法の特長ラーメン構造とは、柱と梁の接合部を強く接合させることで強固な骨組みを造る構造のこと。鉄骨造のラーメン構造の場合は鉄筋の接合部を溶接などで一体化させる。セキスイハイムでは、工場で柱と梁を強く接合させユニットとして完成させ、それをボックス型に形成し単体でもシェルターのような耐久性をもたせ、さらにボックス同士を連結させて一つの構造体に作りあげるので、非常に地震に強い家になる。
構造公式ページhttps://www.sekisuiheim.com/appeal/quakeproof.html
耐震(制震)実験
実験の画像写真
「ガル・カイン」の記載2,112ガル(2階建てに対して)1,862ガル(3階建てに対して)
実験回数や結果2階建ての標準的なプランの家を対象に、最大加振2,112ガルを測定する揺れで実験を実施、結果構造体に有害なダメージはなかった。
実験公式ページhttps://www.sekisuiheim.com/appeal/quakeproof.html

セキスイハイムは工場で鉄骨のボックスを作ってから現場で仕上げていくのが特徴です。
ボックスラーメン構造は耐震性能が高く安心できる家になります。

実験は実施されていますが、実験映像はなく写真のみが公開されています。

トヨタホーム

トヨタホーム
構造鉄骨
オリジナル構法―(鉄骨ラーメン構造)
構法の特長高層ビルにも採用される鉄骨のラーメン構造を採用。柱の太さを業界トップクラスの125ミリ角という太さにして、梁と強固に接合することにより強靭な構造体を作る。
構造公式ページhttp://www.toyotahome.co.jp/tokutyo/skeleton/
耐震(制震)実験
実験の画像動画
「ガル・カイン」の記載1,054ガル
実験回数や結果震度6以上の揺れ17回を含む、計90回実施結果、構造体・大型サッシ・太陽光発電・外壁タイルに損傷はなし。内装クロスの一部にしわ・切れ。石膏ボードに割れ程度の軽い損傷。
実験公式ページhttp://www.toyotahome.co.jp/tokutyo/resistant/

トヨタホームは、鉄骨ラーメン構造を採用しています。

実験も実施しており、実験映像の公開もしています。

実験データはそこまで詳細に記載されていませんが、結果の写真もあり耐震性に安心できます。

大和ハウス

大和ハウス
構造鉄骨
オリジナル構法トリプルコンバインシステム
構法の特長トリプルコンバインシステムとは、鉄骨の柱を2つのパネルフレームで挟み込んで一体化した独自の構造。柱だけでも強度が高いが、このシステムにより耐力にさらなる余力が加わる。さらに筋交いも用いるのでより地震に強く、制振装置で地震の揺れから家を守ります。
構造公式ページhttps://www.daiwahouse.co.jp/jutaku/technology/steel/structure/daeqt.html
耐震(制震)実験
実験の画像動画
「ガル・カイン」の記載
実験回数や結果実大の家に対して77回以上の実験を実施。耐震住宅と制震住宅の比較をしている。結果、制震住宅は繰り返しの震動にも強く全く損傷がないレベルを維持した。
実験公式ページhttps://www.daiwahouse.co.jp/jutaku/technology/steel/structure/daeqt2.html

大和ハウスは、鉄骨造のオリジナル構法を採用しています。
強い耐震性を基本とし、制震にも対応することで“壊れない家”と“揺れにくい家”の両方を実現しています。

実験も実施していて、実験映像の公開もしています。

耐震住宅と制震住宅の比較をしているのは、今回リサーチした会社の中で大和ハウスだけです。

耐震だけではなく制震の重要性がよくわかる映像となっています。

パナソニックホームズ(パナホーム)

パナソニックホームズ(パナホーム)
構造鉄骨
オリジナル構法HS構法(制震鉄骨軸組構法)
構法の特長耐久性に優れた頑丈な鉄骨と、独自の構造技術(パワテック)でさまざまなタイプの地震に強い構造体を作っている。高層ビルでも採用されている制震技術を、住宅に向けて開発し強くありながら自由度の高い家を実現。
構造公式ページhttps://homes.panasonic.com/common/feature/technology/taishin_hs.html
耐震(制震)実験
実験の画像動画
「ガル・カイン」の記載
実験回数や結果大地震を57回、中地震を83回、計140回の過酷な条件で振動実験を実施。結果、構造体の交換が必要な損傷はなかった。
実験公式ページhttps://homes.panasonic.com/sumai/lifestyle/anshin/kouzou.html

パナソニックホームズは、商標登録した独自の技術「パワテック」で頑丈かつ間取りの柔軟性も兼ねそなえた構造を実現しています。

実験も実施しており、実験映像の公開もしています。

結果については、“構造体の損傷なし”と明確な表現ではなく“構造体の交換が必要な損傷はなかった”という曖昧な表現になっているところが少し気になります。

ヘーベルハウス

ヘーベルハウス
構造鉄骨
オリジナル構法ハイパワード制震ALC構造
構法の特長ハイパワード制震ALC構造は、制震技術から生まれたフレーム「ハイパワードクロス」と「剛床システム」という2つを融合させたもの。ヘーベルハウスの特徴であるALCは、気泡の入った超軽量のコンクリート外壁のことで、これにより構造と外壁の両方が建物を守る。
構造公式ページhttps://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/technology/01h.html/
耐震(制震)実験
実験の画像動画
「ガル・カイン」の記載
実験回数や結果3階建て住宅を対象に、10種類の地震波を連続加振。(地震波は、過去の地震と将来想定されている地震のどちらも含まれる)結果、大きな損傷は見られなかった。
実験公式ページhttps://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/technology/01s.html/?link_id=globalnavi_tech01s#

ヘーベルハウスは、鉄筋コンクリート造の家として有名ですよね。
優れた制震住宅が標準仕様となっています。

実験は、世界最大の実験施設である「E-ディフェンス」で実施されています。

実験映像の公開もされており、映像中に詳しい実験の解説が流れます。

ミサワホーム

ミサワホーム
構造木造
オリジナル構法センチュリーモノコック構法
構法の特長センチュリーモノコック構造は、厚さ120mmの木質パネルで作る強靭な構造体をベースに先進テクノロジーで耐震性と断熱性を高いまま、大空間や大開口を実現できる構法。
構造公式ページhttps://www.misawa.co.jp/kodate/technology/century_monocoque/
耐震(制震)実験
実験の画像写真
「ガル・カイン」の記載最大1,000ガル
実験回数や結果実大の家に家具もセットし2階建てと3階建ての両方を対象に、818ガルを基本に最大1,000ガルの地震波で実験を実施。結果、3階建ての2階床面の最大応答加速度が1,085ガルに抑えられ(最大地盤面加速度818ガルの場合)、1階2階の変形量も10.7mmと少なかった。構造の強度にかかわる損傷はなく、一部壁クロスにシワができた程度。
実験公式ページhttps://www.misawa.co.jp/kodate/technology/mokusitu/safety/taishin2/

ミサワホームの家は木造住宅です。
木質パネルを使うモノコック構造なので、家を“面”で支える構造です。

実験を1997年に実施していますが、映像ではなく写真のみの公開となっています。

結果については、“構造に全く損傷なし”ではなく、“構造強度にかかわる損傷はない”という表現がされています。

住友林業

住友林業
構造木造
オリジナル構法ビッグフレーム構法
構法の特長一般的な太さの約5倍の太い柱と梁をベースに、基礎を金物で接合して強靭な構造体を作る。
構造公式ページhttps://sfc.jp/ie/tech/taishin/
耐震(制震)実験
実験の画像動画
「ガル・カイン」の記載2,699ガル、3,406ガル
実験回数や結果3階建てを対象に、震度7クラスを22回、震度6弱~4を224回の実験を実施。結果、構造の耐震性が維持され続けた。
実験公式ページhttps://sfc.jp/ie/tech/taishin/

住友林業の家は、社名からもわかるように木造住宅です。
木造にこだわっているからこそ、木造でも充分な強度をもたせる技術があります。

実験も実施していて、今回リサーチした15社の中で木造住宅では唯一実験映像を公開しています。

大手との大きな違いは実験データ

ほとんどの大手は耐震実験を行い、動画公開までしている

ローコスト住宅メーカーと大手のハウスメーカーをざっとみてみると、大きな違いとして印象に残ったのは、耐震実験をしているかということと、その映像や実験データを公開しているかどうかという点です。

ローコスト住宅メーカーで耐震実験の動画を公開しているのは7社中クレバリーホーム1社のみです。

一方大手ハウスメーカーでは8社中6社が動画を公開しており、そのうち5社は鉄骨造です。

ただ、実験をしているから良い家だということは断言できません。

実験には億単位の多額の経費がかかるので、その経費はすべて家の価格に反映されてしまいます。

ローコスト住宅では高額な経費をかけて実験をすると、家の販売価格が上がるのでローコストを実現できなくなるというジレンマがあるとも言えるのです。

また、実験はあくまで実験です。
現実と全く同じとは言えません。

それでも実験で実証された確実な安全性がほしいのなら大手の高級な家を買うしかありませんが、本当に高額な買い物になります。

予算内に収めようとすると、理想とはかけ離れたとても小さな家になってしまうでしょう。

予算と希望の暮らしとをあわせて考えて会社選びをすることが大切だと思います。

大手との違い② 老朽化する時期

ローコスト住宅は大手の住宅に比べると劣化が早いのか?

ローコスト住宅か大手かどっちで家を建てようか悩むポイントとして、

・ローコスト住宅は安いけど、その分早く老朽化する?

・大手の家は高額なので悩むけどその分長持ちしてくれる?

ということもあると思います。

耐用年数は木造か鉄骨かによって違う

寄贈と鉄骨造りでは耐用年数が異なる

ローコスト住宅と大手の家の耐久性を比較するとき、まず両者の大きな違いとして“木造”か“鉄骨造”かということがあります。

ローコスト住宅は基本的に木造住宅です。
(鉄骨住宅はコストがかかるのでローコストを実現できません。)

法定耐用年数は木造住宅は22年、鉄骨造住宅は27~34年と定められています。

そこからわかるように、法律的には鉄骨造の家は木造の家の2倍以上長持ちするとされています。

あくまで法定耐用年数は資産価値を評価するためのものなので、実際の家の傷み具合とは全く関係ありませんが、ある程度は参考になる数字かと思います。

コストの高い鉄骨造の家はその分木造住宅に比べて長持ちしてくれると言えるでしょう。

木造に限るなら、大きな違いはない

木造の強度は、大手もローコスト住宅も基本的には大差がない

大手の家にも木造住宅はあります。
たとえば住友林業やミサワホームの家は木造です。

木造に限って比較するなら、ローコスト住宅でも大手の住宅でも大差なく長く住むことができると言えます。

ただし「ローコスト住宅」とひとくくりにされていても、実際にはさまざまな家があるのも事実です。

・木材に品質の悪い安価なものを使っている

・施工不良があり内部結露する

・必要な点検やメンテナンスをしていない

などに当てはまる場合は、ローコスト・大手に関係なく長持ちしません。

つまりローコスト住宅でも、高品質な木材を正しく施工し必要な点検とメンテナンスを行っていれば、大手の木造住宅と比べて長持ちしないということはありません。

売却する場合は査定額に差が出ることも

やはり大手の方が、高値が付きやすい

木造に限るならローコスト住宅でも大手の家でも長く住めるとお伝えしましたが、家を売却する場合は両者に差が出ることもあります。

鉄骨造の大手の住宅は売却する際の査定額が高くつくことが多いですが、木造住宅の場合でも大手の家の方がより高く査定されることが多いです。

やはり大手のブランド力や信用度もありますし、大手の中古戸建なら需要があるので高値がつきやすいのです。

その点は、ローコスト住宅の場合は不利といえるかもしれません。

ローコスト住宅は築20年を超えると、売却しようとしても値段がほとんどつかないこともあります。

ローコスト住宅でも、長期優良住宅仕様になっているなど客観的に性能がわかるものであれば、値段がつく場合もあるでしょう。

大手との違い③ メンテナンス費

安価な材料でつくっているローコスト住宅はメンテナンスにお金がかかりがち

メンテナンス費についても、ローコスト住宅と大手の住宅を比べると、ローコスト住宅には多額のメンテナンス費がかかるためトータルコストが高くなると言われることがあります。

大手でも高額なメンテナンス費がかかる

大手のメンテナンスフリーは「お金をかけずして長持ちする」という意味ではない

メンテナンス費に関しては、ローコスト住宅でも大手の住宅でも同じようにたくさんの費用がかかります。

家のメンテナンス費用というのは、どんな住宅であろうとどうしてもトータル的に高額になってしまうものです。

大手の住宅は初期費用が高い分メンテナンスフリーだという話も聞きますが、これは実は「メンテナンスフリーだから費用がかからない」というワケではありません。

大手には60年などの長期の保証が付いていることが多いですが、保証には条件が付いていて定期的な点検(これはほとんどの場合無料です)を受けて、その結果会社側が提案してくる補修を受けなければ長期保証はそこで打ち切りになってしまいます。

10年点検以降になるとその補修費用は100万円を超えることも多く、そしてその費用は無償ではありません。実費なのです。

ローコスト住宅の場合も長期保証が付いてくる会社はありますが、同じように点検後の補修を有償でしなければ保証期間は終了となることがほとんどなので、その点は同じです。

ただし、ローコストゆえにより早めにメンテナンス時期が来てしまうものもあります。

たとえば外壁に安価なサイディングを使用していると、早いと20年経たずに貼り替えになることもありますので、その費用は100万円以上になってしまいます。

なお、ローコスト住宅のメンテナンス費用についてもっと詳しくまとめた記事もありますので、よろしければご覧ください。

50年間のメンテナンスのトータルコストを具体的にまとめていますので、参考にしていただけると思います。

大手との違い④ 下請け工務店・大工の腕前

気になるのは、実際に家を建てる大工の腕前

「やっぱり大手の大工さんの方が腕は良いの?」
「ローコスト住宅を請け負う工務店の大工さんってどんな感じなんだろう?」

ということが気になる人もいらっしゃいますよね。

大きく違うわけではない

いろんな大工さんがいる大手だから腕が良い、ローコストだからダメ、というのではない

正直、この点についてはわかりません。

大手、ローコストそれぞれのハウスメーカーでどのような形で職人に仕事を依頼しているかはバラバラです。

自社施工という形をとっている会社であれば、自社で職人を雇っています。

工務店に依頼している場合、下請けという形や協力会社としてグループ化していることがあります。

大手だからといって優秀な職人がいるかというと、案外そうでもないこともあるようです。

大手になるほど、工法をユニット化(工場である程度作ってしまう、組み立てにも細かいマニュアルがあるなど)しているため、腕の良い職人というよりはマニュアルに忠実で淡々と手早く仕事をする人が好まれることもあります。

腕に自信がある職人さんはこだわりをもって一軒の家に取り組む人も多いと思いますので、大規模な会社よりも小規模な会社の仕事をされているかもしれません。

ローコスト住宅を腕の良い職人さんにお願いしたい場合は、工務店や建築設計事務所などの小規模な会社を選ぶ方が良い場合もあるでしょう。

契約前に職人さんに会うのがベスト

契約前に、現場の代表者や職人さんと会っておくと安心

腕の良い職人さんを見つけたい場合は、どんな会社であっても契約前に職人さんと実際に会うのがベストです。

おそらく大規模な会社になるほど、抱えている現場の数が多くなるので契約後に担当してくれる職人さんが契約前にはまだわからないこともあるでしょう。

その点小規模な会社なら契約前の段階でも担当の職人さんと会わせてもらえることが多いと思います。

「職人さんに会っておきたい」と伝えて怪訝そうな顔をされたら、その会社は慎重に検討する方がいいでしょう。

自信のある会社ならどんなことを聞いても真摯に対応してくれるはずです。

大手との違い⑤ 長期優良住宅

魅力的な長期優良住宅。やっぱり大手の方が良いとかある?

最後に比較するのは、ローコスト住宅を長期優良住宅仕様にした場合と、大手で長期優良住宅仕様の家を建てる場合、両者に違いはあるのか?ということです。

今はローコスト住宅でも坪単価50万円台で長期優良住宅仕様の家を建てられるようになりました。

でも大手で長期優良住宅を建てるとローコスト住宅より1,000万円以上も高くなることがよくあります。

そんなに価格が違うのに、本当に品質が同じなのか?と不安になりますよね。

鉄骨/木造という違いはある

鉄骨と木造は別物 優劣を付けられるものではない

鉄骨造か木造かで、性能に差が出てくるのは仕方ありません。

前述しましたが、法廷耐用年数を目安とすると木造住宅は22年、鉄骨造住宅は47年です。

それだけ鉄骨造の家は木造と比べて長持ちするということです。

ですので木造の長期優良住宅と鉄骨造の長期優良住宅では、構造自体が違うので全く同じ家ではありません。

しかしどちらが優れているというものではありません。

木造の家は、しっかり建てれば本当に長く住むことができます。

日本には何百年と残っている歴史的な木造建築物がたくさんありますよね。

ローコスト住宅であっても、長期優良住宅として認定を受けるためには国が定めた基準をクリアしていますので安心して長く住める高性能な家になります。

認定基準内にも性能に差がある

同じ長期優良住宅でも性能に違いがある

長期優良住宅は国が定めたさまざまな性能の基準をそれぞれクリアした家です。

基準というのは必要最低限の性能なので、よりコストをかければ基準の中でもより高い性能の家を建てることができます。

たとえば、耐震性については耐震等級2以上をとる必要がありますが、耐震等級3を取得すればより耐震性の高い家を建てることができます。

長期優良住宅だからと言って「良い家」が建つわけではない

建設中からホームインスペクションを依頼するのが得策

長期優良住宅を建てる際の最大の注意点は、設計と施工は全く別のものだということです。

実は長期優良住宅は設計段階までは審査が厳しいので安心なのですが、施工については国からのチェックは入りません。

図面通りに家が建つという保証がないということなのです。

極端な話、長期優良住宅の欠陥住宅というものがあり得るということです。

設計ももちろん大事ですが、施工にチェック体制をつけることをおすすめします。

第三者の住宅診断(ホームインスペクション)を建築中からお願いしておけば、施工ミスや手抜きを指摘してくれるので、きちんと図面通りの家が建ちます。

ホームインスペクションについてもう少し詳しく知りたい人には以下の記事もおすすめです。

建築後のローコスト住宅に実際にホームインスペクションを実施した実例も載っていますので、ぜひ参考にしてください。

大手とローコスト住宅の比較は以上になります。

次にローコスト住宅の中でも違いがあることについて、解説します。

耐震等級を取らないと耐震性に違いが出る?

「相当」って本当に大丈夫?耐震等級を取得するべき?

ローコスト住宅の中でも「耐震等級3相当」とされている耐震性の高い家があります。

耐震等級3レベルの設計をしてもらったが、耐震等級を取得するかどうかは悩みどころだという人もいらっしゃるかもしれません。

耐震等級は取るべきなのでしょうか?

耐震等級とは

耐震等級とは

耐震等級とは、品確法という法律に沿って定められた、建物の地震に対する強度を示す指標のうちのひとつです。

耐震等級は1~3の3段階があり、もっとも等級が高いのは“3”です。

耐震等級が表す耐震性とは、建物が地震で倒壊・損傷しない強度です。

この耐震等級を取得するためには、費用が必要となります。

そのため、コストを上げないように設計は耐震等級3と同レベルにしておいて、耐震等級は取得しないということを選択する人もいると思います。

でも「本当に耐震等級3を取得する場合と同じ設計になっているの?」と心配になりますよね。

構造計算が大事

構造計算をしたらこれだけのことがわかる

この問題について結論を言いますと、耐震等級を取得するかどうかよりも重要なことは、“構造計算”がされているかということです。

構造計算とは、建物などの構造物がさまざまな外部からの力に対してどのように変形し、どのような抵抗力が発生するのかを計算することです。

2階建て以下の一般的な広さの木造住宅には構造計算の義務がありません。
(鉄骨造の住宅は構造計算が義務付けられているので、そこがまた木造住宅との違いになっています。)

構造の計算がされていない家が建ってしまうなんて、考えてみるとなんだか恐ろしい気もしますが、それが今の日本の現状となっています。

「耐震等級3相当の設計」よりも「構造計算された設計」の方が確実に安心な家になります。

構造計算には50万円前後の高額な費用が必要なので、そこまで出来ない人も多いと思いますが、耐震性能について心配がある人はぜひ検討してみてください。

耐震等級2以上をとるためには構造計算が必須になります。

・耐震等級を取得するか

・耐震等級を取得せずに構造計算だけするか

・耐震等級3相当の設計にして、耐震等級は取得せず構造計算もしないか

どの方法が一番自分にとって安心か、予算とのかねあいも考えて決めましょう。

余談ですが、耐震性が高い=「家が揺れない」ということではありません。

耐震性とはあくまで揺れに対して建物が壊れない強度だということです。

大きな地震が起きれば耐震等級3の家でも相当揺れます。

揺れると家の中の家具が倒れたり人が怪我をしたりという被害は起こってしまいます。

家の中も安全にしたいということになると、「制震」や「免振」ができる家にする必要がありますので、その点も覚えておいてくださいね。

なお、ローコスト住宅の耐震性能についてもっと詳しくお知りになりたい人には以下の記事もおすすめです。

2×4工法の方がローコストなのに、なぜローコスト住宅は在来工法が多い?

ローコスト住宅でよく採用されるのが木造

ローコスト住宅は木造住宅です。

木造の工法は大きくわけて在来工法と2×4工法です。

ローコスト住宅会社の中には、「2×4工法の方がコストは安いから」という理由で2×4工法を薦めてくる会社があります。

工法のことを少し勉強した人ならご存じだと思いますが、家の強度は2×4工法の方が在来工法よりも高いとされていますよね。

なのに2×4工法の方がコストが安いのはなぜなのでしょうか?

この章では、工法のコストや特徴について解説します。

在来工法

「線」で構成される軸組工法

在来工法は、在来軸組工法ともよばれる日本の伝統的な木造住宅の工法です。

柱と梁を組み合わせて家の骨組みを造り、そこに壁を作っていく工法です。

メリットは

・間取りの自由度が高く、大開口部や将来のリフォームに対応しやすい

・日本の気候に合っている

などの点です。

2×4工法

「面」で構成される、ツーバイ工法

モノコック構造という用語がよくハウスメーカーの公式サイトに載っていますが、2×4工法はそのモノコック構造に分類されます。

在来工法が柱と梁で骨組みを造るのに対して、2×4工法では2×4材と合板(ベニヤ板)で壁や床を作りそれを組み合わせて家の構造を造るという違いがあります。

在来工法が“線と点”で家を支えるのに対して、2×4工法は“面”で家を支えます。

メリットは

・在来工法と比較すると強度が高い

・コストが安い

・施工が容易で工期が短い

という点です。

2×4工法のコストが安い理由

2×4工法は施工が簡単!だから安い!

なぜ2×4工法は在来工法よりも強いとされているのに、コストが安いのでしょうか?

その理由は、施工の容易さにあります。

2×4工法は、工場で部材を作りそれを標準化された手順で組み立てるので、比較的施工が簡単にできます。

そのため人件費が安くなるのでコストが安いというわけです。

また、工期も比較的短いためそのこともコストダウンになっています。

一方、在来工法は木材の接合部を現場で施工するため熟練の技術が必要なので、人件費が比較的高くなります。

なぜローコスト住宅は在来工法が多いの?

ローコスト住宅のほとんどは在来工法

2×4工法の方が在来工法よりも強度が高くコストが低いのなら、ローコスト住宅で採用されるのはほとんどが2×4工法になると思いませんか?

でも実際にローコスト住宅で採用されているのはほとんどが在来工法です。

なぜなのでしょうか?

在来工法の方が採用されているのに2×4工法を薦められても、ちょっと気が進まないという人もいるかもしれません。

理由がわかれば安心してどちらの工法も選べますよね。

多くのローコスト住宅会社で在来工法が採用されている理由は各社さまざまだと思いますが、2×4工法の特徴から推測してみます。

2×4工法の施工手順が日本の気候と合わない

2×4は雨に不向き

在来工法は、上棟の日に一気に柱と梁で骨組みを造り屋根までその日のうちに張ってしまいます。屋根が出来上がってから壁を作っていきます。

しかし2×4工法は床から作っていく工法です。
基礎に床の土台を作り、1階の壁→2階の床→2階の壁…、そしてやっと屋根を作ります。

屋根を作るのは構造の工程の本当に最後になります。

この方法の違いによって何が問題になるかというと、それは“雨”の日です。

日本は非常に雨が多い国です。
工期中に雨の日が全くないなんてことはありません。

在来工法は日本の工法なので雨のことも考えられた工法なのだと言えます。

一方2×4工法は北米の工法です。
北米は乾燥した気候で雨が非常に少ない地域なので問題ないのです。

工法の現場は屋根が完成するまではブルーシートを張るなどして雨対策をしますが、完全2×4に木材を雨から守るのは不可能です。

木材の天敵は水分です。
工期中に木材が濡れることは何の問題もないとは言い切れません。

2×4工法を採用したい場合は、梅雨など雨の多い時期は避けることをおすすめします。

間取りに制限がある

2×4は間取りの制限がある

2×4工法は“面=壁”で家を作っていきます。

ということは、壁が柱でもあるということです。

構造上必要な柱は絶対に省くことができないので、2×4工法では“省けない壁”が存在することになります。

ローコスト住宅の間取りは、間仕切りを少なくしてコストダウンをするために、LDKをひとつながりにしたオープンプランを採用することが多いです。

コストダウンのためにコンパクトな家にする場合、リビングに大きな窓をつけて庭のデッキとつなげることで広く感じられるプランにすることも多いです。

このような間取りが2×4工法では不可能なことが多いのです。

ローコスト住宅会社にとって、間取りに制限がある工法を標準仕様とするメリットはあまりありません。

ローコストハウスメーカーでは在来工法と2×4工法のハイブリッド工法を採用している

ローコストハウスメーカーでは在来工法と2×4工法のハイブリッド工法を採用している

有名なローコストハウスメーカーの多くは、在来工法をベースとしてはいますが、そこに2×4工法の手法を取り入れたハイブリッドな工法を採用しています。

“面”で家を支えるという特徴を取り入れているのです。

どっちの工法にしようか迷っている人は、各社の工法を詳しく調べてみてください。

面構造(モノコック構造)を取り入れた在来工法なら、両方のメリットを活かした家づくりができます。

工務店にもローコスト得意・不得意で違いが出る?

工務店の家づくりはどうなの?ローコスト住宅は得意?

ローコスト住宅を工務店で建てようかと検討している人も多いと思います。

工務店の中には、ローコスト住宅を得意として売りにしている会社もあれば、特にローコスト住宅ということにこだわらずに家を建てている会社もありますよね。

その違いについて少し解説します。

ローコスト住宅専門でないと施主が大変かも

安さを求めるなら、「ローコスト」に強い工務店を選んで!

結論から言うと、ローコスト住宅を工務店で建てるならはじめからローコスト住宅を得意としている工務店に行ってみる方が良いです。

「ローコスト住宅」という言葉を使っていなくても大丈夫です。

でも、“コストダウン”や“コストコントロール”など何かしら“コスト”と付いた言葉がカタログやなどの資料に載っているなど、コスト重視の家づくりをしている工務店にしましょう。

工務店でも注文住宅を坪単価60万円以上かけて建てる会社もあります。

「工務店なら安いだろう」と安易に考えていると、打合せを進めてから予算オーバーになることもあるので、それでは打合せをした時間がもったいないですよね。

ローコスト住宅を普段建てていない工務店だと、コストダウンする工夫やノウハウがないので、お客様が自分自身でコストダウンの方法を調べて提案するなどの努力が必要になりとても大変です。

施主支給(お客様が手配して材料や設備を支給すること)などにも対応してもらえないこともあります。

建築設計事務所も同じ

自由設計を主とする設計事務所も安いわけではない

また、建築設計事務所でローコスト住宅を建てたい場合も同じことが言えます。

建築設計事務所にもローコスト住宅に慣れているところと、そうでないところがあります。

オシャレな建築実例を見て「この会社で建てたい!」と思ったとしても、そこがローコスト住宅を普段建てていない会社の場合、「コストを抑えて建てたい」と言うだけで反応が悪いということもあります。

気持ちよく家づくりを進めるために、ローコスト住宅を建てたいのならローコスト住宅に積極的に取り組んでいる会社に依頼しましょう。

ローコスト住宅の坪単価の違いは?

坪単価によって建てられる家は違う

「ローコスト住宅」とよばれる家の中でも、その価格には大きな幅があります。

一般的に坪単価20万円台~50万円台前半くらいの家をローコスト住宅とよんでいます。

坪単価の違いは、実際建てる家にどのような違いが出るのでしょうか?

ローコスト住宅の中でも予算によってグレードが違う家になります。

以下の記事に予算別のローコスト住宅の仕様の違いについて書いていますので、よろしければぜひご覧ください。

ローコスト住宅の予算についてしっかりまとめてありますので、参考にしていただけると思います!

ローコスト住宅のメリットとデメリットは?

ローコスト住宅のメリットとデメリットは?

ローコスト住宅は低価格で素敵な家が建てられるのが大きな魅力ですよね。

でもやはり価格を抑えているのでデメリットが気になる人も多いのではないでしょうか?

ローコスト住宅のメリットとデメリットについては以下の記事に詳しくまとめていますので、気になる方はぜひご覧ください。

デメリットに対する注意点もまとめていますので、家づくりの参考にしていただけると思います。

ローコスト住宅はなぜ安いの?

ローコスト住宅の安さの理由はなに?

ローコスト住宅はどのようにして安さを実現しているのでしょうか?

ローコスト住宅が気になってはいるけれど、その仕組みについてまだよく知らないという人には以下の記事がおすすめです。

ローコスト住宅の仕組みについてローコストハウスメーカーのノウハウを中心にまとめています。

ローコスト住宅の家づくりに失敗しないためのポイントとは?

家づくりのポイントとはいったい?

「ローコスト住宅で家づくりをしよう」と決めたからには、絶対に失敗したくありませんよね!

「安かろう悪かろう」という結果に終わっては後悔してもしきれません。

ローコストで高品質な家を建てて大満足の家づくりにするためのアドバイスを、以下の記事にまとめています。

ぜひ参考にしていただいて、家族みんなが満足できる素敵な家づくりをしてくださいね。

まとめ

この記事では、ローコスト住宅と大手ハウスメーカーの家の違いを中心に解説しました。

大手のハウスメーカーは、カタログが豪華で、公式サイトがしっかり作りこまれていて、億単位の費用がかかる耐震実験を行い、豪邸のようなモデルハウスを展示場に出して、手厚い接客でお客様をもてなしてくれます。

でもこれには当然すべてに経費がかかっているんですよね。
その経費が家の価格としてお客様に請求されるので、大手の家はあんなに高いのです。
(もちろん鉄骨造は材料費がかなり高いです。)

しかし、高額な分本当に耐震性の高い安心安全な家が手に入ります。

だからといってローコスト住宅が安全性の低い家ということでもありません。

大事なのは、いろいろな住宅を一通りみて勉強し、その中で納得して自分に合った家を選ぶことです。

最初からひとつのジャンルに絞らずに、視野を広げて後悔のない家づくりをしてくださいね。

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