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東京が直面している住宅問題その1<マンションの「2つの老い」>

東京が直面している住宅問題その1<マンションの「2つの老い」>のイメージ

2つの意味で老いるマンション

東京都の資料によると都内における分譲マンションの戸数は、2018年時点で全住宅の約4分の1を占めています(766.7万戸の内184.1万戸)。一方で着工から40年以上の高経年マンション戸数は2018年時点で24.6万戸であり、15年後の2033年には65万戸にまで増加する見込みとなっています。

(出典:東京都マンションポータルサイト>第2回マンションの管理の適正化に関する指針に関する検討会>参考資料1マンションストックの状況)

さらに、2018年マンション総合調査によるとマンション所有者(世帯主)の割合は30歳代以下が減少している一方で70歳代以上が増加しています。つまり、マンションの老朽化とその所有者の高齢化という「2つの老い」が進行中であり、今後ますます先鋭化することが懸念されている現状があります。

(出典:マンション総合調査の調査結果からみたマンション居住と管理の状況P.1)

不動産市場に出ていない「埋もれた空室」

築年数が古いマンションほど空室がある割合は高くなります。2019年5月30日放送のクローズアップ現代プラスでは、誰も住んでおらず賃貸や販売にも出ていない「埋もれた空室」が東京23区のマンションに広がっていることやマンション管理費、修繕積立金の滞納に悩むマンション管理組合の実情などが放送されていました。

放送の中で紹介されていた空き家活用株式会社の調査によると東京23区の「埋もれた空室」は5,000戸に及ぶそうですが、実際の数字はもっと多そうです。というのも、2018年住宅・土地統計調査によると都内の空き家総数は約81万戸。その内、約70万戸がマンションやアパートなどの共同住宅。そして約70万戸の共同住宅の内、個人住宅は約11万戸だからです。

さらに、東京都の空き家数の推移を見てみると2013年から2018年にかけて賃貸用は約2万戸減少していますが、個人住宅(長期不在・取壊し予定)は約3万戸増加しており、不動産市場に出ていない「埋もれた空室」が増加している傾向が見て取れます。

(出典:東京都住宅政策本部>空き家施策>東京都の取組

マンション管理費や修繕積立金の滞納

空室同様、築年数が古いマンションほどマンション管理費や修繕積立金の滞納戸数の割合も高くなります。管理費の滞納は共有部分の清掃やゴミ出し、メンテナンスなどの停滞に、修繕積立金の滞納はマンション全体の資産価値低下の大きな原因となります。

なお、2018年マンション総合調査によると2018年の月/戸当たり管理費の平均15,956円、修繕積立金は12,268円です。仮に管理費と修繕積立金を1年間滞納した場合、合計金額は30万円超にもなってしまいます。

(出典:マンション総合調査の調査結果からみたマンション居住と管理の状況P.8)

持続可能なマンション管理をどうやって作り上げていくか

マンションの「2つの老い」の結果として発生している「埋もれた空室」や管理費、修繕積立金の滞納戸数の増加という問題に対し、どのように対策し持続可能なマンション管理を作り上げていくのかが今後における重要な課題です。

不動産コンサルタントの長嶋修さんは、修繕積立金がたまっているマンションとそうではないマンションとでは持続可能性や将来の資産性が違ってくると指摘した上で、この差を評価する仕組みを国や金融機関で整備していくことが課題とおっしゃっています。

(出典:“都会のマンション”に異変!あなたはどうする?

東京都「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」を制定

国や自治体は住宅をどこにどれくらい建てるという全体の住宅総量のコントロールを行なってきませんでした。事業者もマンション供給を続けてきた結果、マンション維持管理は所有者や住民に事実上、丸投げにされているのが実際です。

しかし、修繕積立金の値上げの合意形成などマンション所有者だけでは意見調整が困難な問題もあります。そこで、マンションの老朽化のチェックやマンション管理組合に修繕の必要性を助言したり、住民の合意形成を支援するといった行政の政策が必要になってきます。

そこで東京都では「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」を制定し、マンション管理組合による管理状況届出制度や管理状況に応じた助言・支援などを実施していくとしています。

(出典:東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例

【著者】空き家グッド
「空き家の活用で社会的課題を解決するブログ」を運営。東京都吉祥寺周辺であまり使われていなさそうな住宅の所有者へ、子どもや若者、子育て世帯など未来の世代のための住宅活用を提案中。
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