アパート経営に宅建資格は必要?宅建は不動産業界には必要だが投資家には不要な理由

アパート経営をするために、宅建資格は不要です。

これから不動産投資をしようと考えている投資家の中には「不動産の知識を身につけたい、最初に宅建資格を」と考えて資格取得を目指している方もいるでしょう。

宅地建物取引士の資格は取得するまで300時間以上は必要とされている、国家試験です。
かなりの時間をかけて取得する不動産資格ですが、アパート経営を目指す投資家には必要ありません。

この記事はアパート経営を目指す投資家の方へ宅建資格が不要な理由と、投資家にとってアパート経営に必要な知識についてもお伝えしていきます。

目次

宅地建物取引士資格はどんなもの

宅地建物取引士とは?

不動産になじみの方でも宅建という言葉を聞いたことがあるでしょう。
不動産関連の資格ということは知っていてもこの宅建は、具体的にどんな資格なのでしょうか?

宅地建物取引士の説明

5人に1人の割合で宅地建物取引士が在籍していなければならない

不動産の売買・賃貸などの不動産取引を行う場合、仲介する不動産会社は取引当事者に対して不動産取引の重要事項の説明を義務づけています。

そして不動産事務所を営む為には、5人に1人の割合で宅地建物取引士を置くことを義務づけています。

この宅地建物取引士の試験は年1回のみ10月の第3週の日曜日に認定試験が行われます。

試験内容は、「権利関係」「法令上の制限」「宅建業法」「税金その他」からなる4択50問の試験で毎年20万人が受験し平均合格率は15%という不動産の国家資格です。

受験内容の概要について

内容
権利関係66,土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令
民法、借地借家法、不動産登記法、建物区分所有法
宅地建物取引業法宅地建物取引業法及び同法の関係法令
宅地建物取引業法(履行確保法を含む)
法令上の制限土地及び建物についての法令上の制限
都市計画法、建築基準法、国土利用計画法、農地法、宅地造成等規制法、土地区画整理法、その他法令上の制限
税・価格宅地及び建物についての税や宅地及び建物の価格の評定
所得税、印紙法、不動産取得税、固定資産税、鑑定評価

このような不動産や土地取引に関するエキスパートが宅地建物取引士なのです。

アパート経営に宅建の資格は必要か?

最初にお伝えしたとおり、アパート経営には宅地建物取引士の資格は不要です。
なぜ不要なのでしょうか?その理由を解説しますね。

宅建は不動産業界には必要だが投資家やオーナーには不要

オーナーは経営者・投資家であって不動産取引のプロである必要がない

宅地建物取引士は不動産取引に必要な法務知識を身につける為の試験であり、不動産取引において宅地建物取引士の仲介を通さない不動産取引は認められません。

それに対してアパート経営は資金を投入して利益を得る経営者であり、投資家です。
取引法務の詳細について知識を知っていても投資に有利に働くことはないでしょう。
投資家に必要なセンスは立地条件からその土地をどう活かすか見分ける視点。

アパート経営においても、立地条件からターゲット層を絞り込み資金繰りをして建物を建てて投資をする。

これがアパート経営を行う投資家やオーナーの仕事です、法務知識のプロになる必要はありません。
法務知識を得ても投資家として多少参考にはなりますが、宅地建物取引士の資格がなくてもアパート 経営は可能です。

宅建が必要になるのはどんな場合?

アパート経営には宅地建物取引士の資格は不要とお伝えしましたが、将来的に宅地建物取引士の資格が必要になる場合もあります、それはどんな投資家なのでしょうか?

アパート経営を大規模に行う

アパート経営として数棟所持して経営しているという方

アパート経営として数棟所持して経営しているという方は、宅地建物取引士の資格は不要です。
しかし、今後扱う不動産を増やし業務も拡大する予定がある方なら宅地建物取引士の資格を取得する方が有利といえます。

法人化してアパート経営と管理会社の設立を目指す

宅地建物取引士としての知識があるとアパート経営に有利

アパート経営をはじめその他不動産を取得していく、または法人化して管理会社などを併設し不動産の管理運営まで行う視野があるなら宅地建物取引士の資格を取得するべきでしょう。

不動産業務を主とする法人では、かならず5人に1人は必ず宅地建物取引士の有資格者が必要となります。

最初はどんな会社も個人経営です、有資格者を雇うより自分で宅地建物取引士の有資格者になった方がスムーズにいくでしょう。

結論を言えば、個人事業主の規模なら宅地建物取引士は不要です。

しかし、今後拡大し法人化する予定があるなら宅地建物取引士の資格は必要となってきます。
個人事業主の経営だけでなく、不動産業界において会社を興す必要があるかどうかをお考えください。

ここまでお伝えした内容のまとめ

・宅地建物取引士は不動産取引の専門家

・アパート経営が個人事業主規模であれば宅地建物取引士は不要

・法人化を目指すなら宅地建物取引士の取得は有利になる

アパート経営に有利な資格とは?

アパートに宅地建物取引士の資格が不要であることをお伝えしましたが、アパート経営をするにあたり有利な資格はあるのでしょうか?

私は不動産資格よりは、会計の資格の方が有利になると考えています。
具体的にはファイナンシャルプランナーがお勧めです、どんな資格なのかご紹介します。

FPなど資金管理の資格が有利

決算と減価償却

アパート経営や投資家にとって会計についての知識が必要になってきます。
毎年の決算や減価償却について知識があるとないとでは、資金回収に大きな差が出ます。

これは大規模法人だけでなく、個人事業主においても同じです。

不動産の取引は宅地建物取引士の有資格者に任せることが出来ても、銀行の交渉や資金繰りの手当などは誰にも任せることは出来ません。

そのため会計について全般的な知識を得ることが出来るFP ファイナンシャルプランナーを勉強する事をお勧めします。

ネットやテレビなどでもよく登場するこのファイナンシャルプランナーとはどんな資格なのでしょうか?

ファイナンシャルプランナーはどんな資格?

ファイナンシャルプランナーはお金に関するエキスパートになるための資格です。
このファイナンシャルプランナーの勉強内容は、様々な資格の基礎となるべき知識を得ることもできるのです。

現在、会社員をしている人が家計管理を行い貯蓄や投資を円滑に行う。
また投資を行う際のキャッシュフローやリスク管理などを自分で行うことができるのは大きな強みでしょう。

ファイナンシャルプランナーの業務内容と関連資格をご覧下さい。

・税金・・・一般的な税金知識や事業についての税金対策

 税理士・公認会計士

・ライフプランニング・・・保険についての知識

 保険募集人・社会保険労務士・DCプランナー

・不動産など資産運用・・・投資とその資金の回収やャッシュフローやリスク管理

 保険募集人・社会保険労務士・DCプランナー 

・相続・資産継承

 税理士・行政書士・中小企業診断士

このような内容について広く浅く全般的な知識を学ぶことが出来ます。

ファイナンシャルプランナーは国家資格である、FP技能士1級から3級までの認定試験があります。 詳細は日本FP協会によりご確認ください。

ここまでお伝えした内容のまとめ

・会計や税務知識を広く学ぶファイナンシャルプランナーの勉強はどんな立場の方にも有利に働く

・投資家にとってキャッシュフローやリスク管理ができるのは大きな強み、銀行との借り入れ交渉にも 自信を持って挑めます。

・税金知識があれば、個人事業主レベルなら自分で申告も可能。

アパート経営に必要な知識について

アパート経営を成功させるには、いろんな知識が必要になってきます。
私は、親から引き継ぎ10年余りアパート経営をしてきました。
その経験から投資を回収し利益を得るための知識とはどんなものかをご紹介しますね。

数多くの物件を見る

数多くの物件を見る人

これから、アパート経営をする方や現在アパートを所有している方もどれだけの物件を見ていますか?
今後建てるつもりはないという方もいろんなお部屋をみることをお勧めします。

大手アパートメーカーの部屋や自主管理されている部屋など、HPで見るより実際に部屋を訪れた方がわかることがあります。

例えば、退去してもすぐ入居するのはどんなアパートなのか?
料金的な差もあるのに、なぜこのアパートには入居者が絶えないのか?
逆に、立地もよく部屋も特に難があるとは思えないがなぜか入居しないアパートもあります。

実際に訪れてみると、HPでみるよりゆったりと広い印象の部屋であったり、周りの環境がよかったりまた、入居者が集まらないアパートは共有部分が汚れていて全体に劣化が目立つなど画像だけではわからない部分が見えてきます。

自分の所有するアパートと比較してどうか?

同じ広さや同レベルの賃貸料の部屋を数多くみることで賃料設定の参考にする、またはリフォームをする際にも参考にすることができます。

リフォーム会社の施工内容に精通する

リフォーム会社の施工内容に精通する

アパート経営をする上でリフォームに関する知識は大変重要です。
私は、自分のアパートで行った原状復帰の見積もりは全部保管しております。

同じような工事を依頼しても、会社により驚くほど金額が違ってきます。

他社では、このような工事をして金額はいくらだったとすぐ言えるオーナーであればリフォーム会社もそうそうふっかけてくることは出来ません。

この記事を読んでいる方の中には、大手アパートメーカーにすべてお任せというオーナーもいることでしょう。

一般的に、普通のリフォーム会社より大手アパートメーカーの施工の方が高額になります。
この点はよく報道されているので、ご存じの方も多いでしょう。

最終的には契約している大手アパートメーカーに依頼することになるにしても、他社の金額に関して熟知していれば提示金額に対して交渉する余地はおおいにあります。

地元のリフォーム会社やリフォーム会社のフェアに訪れてみることをお勧めします。

資金繰りについて必要な知識

アパート経営するにあたり、事業なので資金繰りは重要です。
どんな知識が必要なのでしょうか?いくつかご紹介しますね。

① 建物の構造について

建物の構造について

瀟洒(しょうしゃ)な大手アパートメーカーのデザインとてもステキですよね。
これらの建物多くは木造モルタル造りで耐用年数は20年になっています。
20年以上持つ場合もありますが、それまでにあちこち補修が必要なるものです。

建てるアパートの構造により耐用年数が異なり、その耐用年数を元に返済計画を立てます。
銀行もこの耐用年数を元にアパートローンの年数を決めているのです。

構造と耐用年数は国税庁のホームページに掲載されているのでぜひご覧ください。

② 資金援助の団体とコンタクトを取る、資金繰りのシュミュレーションを作る

資金援助の団体とコンタクトを取る、資金繰りのシュミュレーションを作る

アパート建築資金はどの銀行から借り入れされてますか?
この資金繰りについては、銀行の担当者と気軽に相談できるまで通ってみることです。

銀行も土地という担保のあり、毎月賃料が定期的に入る投資家やオーナーは優良な顧客です。

また、最近は創業支援として地域の商工会でも記帳の指導や経営相談をしているので、こんな ところへ通ってみるのも参考になるでしょう。

また、毎月の資金繰りはシュミュレーションなどを作成することで見える化できます。
参考までに下記のシュミュレーションをご紹介しますね。
収益・不動産物件簡易収支シュミュレーション

資金に余裕を持つ、修繕費を多く見込んでおく事が必要となってきます。
先にご紹介したファイナンシャルプランナーの勉強はこんなところでも役にたつはずです。

3ヶ月先の資金繰りや1部屋空いたら返済は大丈夫かなど把握することができるようになれば資金繰りもずっと楽になるでしょう。

ここまでのまとめ

・アパートの耐用年数から借入金額や返済期間を決める

・資金援助をする団体をさがす、銀行・創業支援・商工会などに行き相談する

・自分のライフプランニングと併せて、事業であるアパート経営のシュミュレーションを作る

まとめ

アパート経営と資格、また必要な知識についてお伝えして参りました。
個人事業主としてのアパート経営をしていると多くの方と接することが出来、また部屋のリフォームなど実際楽しいものです。

銀行や税理士さんとの連携でいつも気軽に相談できる、関係を作っておくのも重要ですね。
個人の体験や知識は限られていても専門家を自分の周りに多く集め、アパート経営を皆様から支えてもらう事業として捉えてみてください。

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