土地を決め、住宅会社と契約も済み、いよいよ着工!
その前に、地鎮祭というのをやったほうがいいと言われたけれど、そもそも地鎮祭ってなに?
費用もかかるようだし、本当にやらなくてはならないもの…?
- 地鎮祭って、そもそもどういうもの?
- 地鎮祭の費用、日取り、服装その他のマナーを知りたい!
- 家がキリスト教だけど、地鎮祭はどうすればいいの?
このページは、そのような疑問をもっているかたを対象として、地鎮祭の目的や流れ、費用などマナーについて、そして実際にやったほうがよいのかどうかを解説しています。
地鎮祭とは
そもそも、地鎮祭とはどういった目的で行われる儀式なのでしょうか。
地鎮祭の意味
日本には八百万の神を祀る信仰があります。土地にもその土地の氏神様がいらっしゃるという考え方です。
地鎮祭とは、工事が始まる前にその土地の神様をお祀りすることによって神様を鎮め、
新しく住宅を建てることをご報告して土地を利用するお許しをもらうために行われる宗教儀式です。
また、工事中の安全と、住宅が完成した後にそこに住む人々の安寧を祈るものでもあります。
なお、お祀り物は以下のようなものを準備します。
最近では地鎮祭を行わない人も
地鎮祭は、慣習的、宗教的意味合いが強く、当然費用もかかるため、
最近では地鎮祭を行わない人も増えています。
ちなみに、家を建てた人が地鎮祭を行わなかった理由としてよく挙げるのが以下です。
・資金不足
・建築現場から現住所が遠い
・両親や子供、親戚との兼ね合い
・宗教に関心がなく、神様に祈願する必要を感じない
・やらなかったからといって現場に支障はないから
宗教は信じるも信じないもその人の自由ですから、宗教に縁遠い人はこのような儀式は無駄だと考えるのも無理はないでしょう。そういう方は地鎮祭を行わなくてもまったく問題はありません。
本格的な地鎮祭はちょっと…そんな方には略式地鎮祭がおすすめ
略式地鎮祭をする人も増えています。
略式地鎮祭とは、家族だけでその土地の氏神様に参拝をし、玉串料を納めて新築の挨拶と今後の安寧を祈るものです。
玉串料を納めるとお札や鎮め物を頂けるので、それを土地や完成した家に祀ったりします。
玉串料は、神社にもよりますが、5,000円~1万円程です。
本格的な地鎮祭をするには抵抗がある、でも何もしないのも不安…
そんな方には略式地鎮祭がおすすめです。
地鎮祭を行うメリット
しかし、地鎮祭には宗教面だけではなく、現実的なメリットも存在します。
・施主、家族、設計者や現場監督、基礎工事の職人などの工事関係者が一堂に揃い、顔見知りになることができる
・家族の思い出になる
・後々なにか起こったときに、地鎮祭をしなかったからと悩まずにすむ
など
施主と職人さんたちが顔見知りになっておくことは、工事を円滑に行い、希望通りの家を建てるにあたって非常に重要なことです。現場の職人さんも、人柄の知れた施主であればコミュニケーションがとりやすく、工事の変更や疑問点の解消などがやりやすくなり、最終的に欠陥住宅を防ぐことにもなります。
また、家族の思い出となるという点ですが、施主と家族にとって家を建てるという大事業は一生に一度、あるかないかの出来事です。
地鎮祭は神主さんがお祓いをするのに参加できることもあり、家族にとっては他で経験できないよい思い出になります。家を建てるのに参加したという気持ちも芽生えることでしょう。
実際の手続きは、昔はいろいろと面倒な手間がかかりましたが、現在では施主が行うことはほとんどなく、
日程調整くらいです。
もし今迷っていて、余裕があるのでしたら、家族のためにも地鎮祭を行ってみてはいかがでしょうか。
では次に、地鎮祭がどのような流れで行われるのかを見てみましょう。
地鎮祭の流れ
以下のような流れで進んでいきます。所要時間は約30分です。
水で手を清めます。
神饌、使用する祭具、参加者をお祓いします。
神饌、使用する祭具、参加者をお祓いします。
神様を神籬(ひもろぎ)にお迎えします。
神主が祝辞を奏上します。
敷地の四隅を清めます。
盛砂にて、設計者、施主、神主が草を刈り取ったり土を掘ったりする動作を繰り返します。
二拝二拍手一拝の作法で神主、施主、参列者の順に拝礼します。
神主が容器のふたを閉め、お供え物を下げます。
神様にお帰りいただきます。
神様にお供えしたお酒をいただき、施主があいさつします。
地鎮祭の後に、お供え物のお下がりを食事として頂きます
難しい言葉がならんでいますが、実際の手順については神主さんがちゃんと指示してくれますので、 特に身構える必要はなく、気軽に行って大丈夫です。写真なども随時撮りましょう。
教えて!地鎮祭のマナーあれこれ
実際に地鎮祭を行うことになった場合、費用などさまざまな疑問点があると思います。
次からは、実際にサイトに寄せられたご質問に従ってQ&A形式でそれらの疑問点にお答えしていきます。
地鎮祭の費用はどのくらいを考えておけばいいですか?
おおよそ3~10万円を目途に考えておけばよいでしょう。内訳は、玉串料(初穂料)が2~5万円、祭壇などが1~5万円ほどです。
昔はテントを張るなどの費用を賄わねばなりませんでしたが、現在では祭壇の設営なども住宅会社がやってくれることがほとんどです。 ただし、費用に関しては地域や神社、住宅会社にもよりますので、必ず確認しておいてください。
ご近所への挨拶まわりをするのは、地鎮祭の前?それとも後?
ご近所への挨拶は「これから工事で騒音などご迷惑をおかけします」という意味ですから、前がいいでしょう。なんの挨拶もなしにいきなり工事が始まっていた、という事態は避けるのが好ましいです。
地鎮祭を予定している日がお彼岸に重なっているのですが、大丈夫でしょうか。
はい、問題ありません。お彼岸は仏教の行事ですが、それと神道の地鎮祭が重なっても大丈夫です。
土用の期間には地鎮祭をしないほうがいいのでしょうか?
土用の期間中でも地鎮祭は行って大丈夫です。日本には三百六十五日さまざまな言い伝えがありますが、大事なのは施工主と家族にとっての一番良い日取りですので、気にしなくてもよいですよ。
土地に木や雑草があり、整地作業をしてそれらを綺麗にしてから地鎮祭をするべきか、それともその作業の前にするべきかで悩んでいます。
整地作業の後、これから基礎工事をするという前でいいでしょう。
地鎮祭を行う予定でいたのですが、最近、親戚で不幸がありました。予定を変更して忌引き明けまで待ったほうがよいのでしょうか?
宗教上は特に問題はないのですが、気持ちの問題として、家族や親戚の感情を考慮してある程度予定をずらすことがいいかと思います。
地鎮祭にはどういう服装で行ったらいいですか? スーツでないとNG?
堅苦しい格好をする必要はありませんが、神主さんは正装であることを考えると、あまりラフな服装ではなく、きちんと感があるものにしましょう。男性はスーツ(ネクタイはなくても可)やパンツとジャケット、女性はブラウスとスカートなどにするのが無難です。
地鎮祭で行う儀式が、どうにも可笑しくて笑ってしまいました。厳粛な場なのだから笑いをこらえようと思っていたのですが、どうしても我慢ができず…。失礼ですよね? なにかお詫びをしたほうがいいでしょうか?
真面目な儀式ではありますが、現代のわたしたちから見れば可笑しみを感じてしまうところがあるのも事実。それは別に悪いことではありません。よほど進行を邪魔したのではない限り、神主さんも慣れています。真面目な気持ちがあるのでしたら大丈夫。特にお詫びをする必要もありません。
住宅会社に依頼せず、自分たちで地鎮祭を行うことはできますか?その場合、どんな準備をしたらよいでしょうか。初穂料なども教えてください。
神社に連絡して、初穂料や準備するものを聞いてください。初穂料は1万円~3万円程度です。神社に聞けば、米、酒1升、鯛、海菜、野菜を用意しておくように言われるでしょう。さらに四方の竹と注連縄なども準備が必要です。お茶やお菓子なども用意しておくといいでしょう。
地鎮祭の時にお祝いとして両親に多額の現金をいただきました。地鎮祭のお祝いのお返しをしなくていいでしょうか?
ご両親の性格にもよると思いますが、お祝いというよりは援助として受け取っておいて問題ないでしょう。マナーとしては、お返しは新築の内祝いと一緒にすれば十分です。
地鎮祭では神主さんにだけお金を包めばよいのですか?
基本的には神主さんだけで構いませんが、人によってはご祝儀として施工者に渡す場合もあります。施工者との関係と、全体の予算で決めるのがいいでしょう。
地鎮祭にあたって近所への挨拶まわりをしようと思いますが、四方に家がなく、道路をはさんだところにあるのみです。そういう場合はどうしたらいいですか?
もっとも近い住宅に挨拶にいくといいです。
お隣は地鎮祭の後、近所へのご挨拶まわりをしないようなのですが…?
最近では、そのような近所付き合いを嫌う人もいます。こちらは気にせずに挨拶回りを行ったらよいでしょう。
神道とは違う宗教と地鎮祭
地鎮祭はその土地の神様に工事の無事と新居に住む人の安寧を祈念するものですので、基本的に神式で行いますが、施主がキリスト教や仏教、その他の宗教の場合はどうしたらよいのでしょうか。
キリスト教の場合は「起工式」の祈文がある
施主がキリスト教の場合、無理に神道の地鎮祭を行う必要はありません。
ただ、基礎工事の前に住宅会社との関係を良くする意味も含めてなんらかの儀式をやりたい、けじめをつけたいという場合には、牧師さんまたは神父さんにお願いして起工式という儀式を行ってもらいます。これはカトリックでもプロテスタントでも同様です。
内容は地鎮祭と同じようにすればよいですが、牧師さんや神父さんがご存じであればそれに従い、そうでなければ自分で式次第を考えます。
キリスト教で起工式を行った人は、賛美歌の詠唱、聖書からの祈祷文を読む、聖水をまく、お供えするなどの事柄を取り入れて実施しています。
形式が決まっているわけではないので、堅苦しく考えずに工事中の安全を祈願するという目的にそった内容で行うとよいでしょう。
日本のカトリックでは、「起工式の祝別」に加えて「棟上げ式の祝別」「落成式の祝別」も存在するようです。
プロテスタントでも起工式の祝文がある流派があるとのことですので、教会の牧師さんや神父さんに尋ねてみてください。
仏式の起工式(地鎮祭)
神式ではなく、仏式で地鎮祭を行うこともできます。
この場合、土地の神様にではなく、ご先祖様にお祈りするという形になります。
また、人々の縁あって家を建てることができたという感謝の気持ちと、工事にあたって気を引き締め仏さまに安全を祈願するという意味もあります。
仏式の場合は、自分の家の菩提寺に依頼するのが基本ですが、起工式をとり行っていないお寺もありますので、問い合わせてくださいね。お礼は初穂料ではなく御布施と呼び、一般的には神式と同じ程度の額を包めばよいでしょう。
祭壇も神式とは当然異なり、ご本尊が祀られます。玉串奉奠はなく、焼香台での焼香ということになります。
まとめ
地鎮祭を行う意味、地鎮祭に関するマナー、他の宗教での地鎮祭について、おわかりいただけたでしょうか。
地鎮祭は宗教的な行事であり、いわば気持ちの問題が大きい事柄です。上に見たように、さまざまな理由で行わないという人も約半分はいると言われます。
ですが、一生に一度、あるかどうかの家づくり。
それならば、万全の準備でもって工事を始めてもいいですよね。
どんどん効率化が進んでいく世の中ですが、自分の家を建てるという事業であればなおさら効率だけではすまされない部分に目を向けてみるのもよいことかもしれません。
自分と家族、それに工事関係者が一堂に会して神様にお祈りする、そこから生まれる連帯感こそが地鎮祭の最大のメリットなのではないでしょうか。
一級建築士、インテリアコーディネーター監修者コメント
【監修者】中村 らん
家づくりは一生に一度あるかないかのイベントです。これまで積み重ねてきた準備や打ち合わせがいよいよ現実の形を伴っていく区切りの時期でもあります。家族でする・しないをよく話し合ってみましょう。
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