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築40年を超える老朽化マンションの建替え問題がいよいよ差し迫ってきた。
国は、単体マンションの建替えに加え、これまで実施が困難だった団地型マンションの建替えに本腰を入れ始めた。都民の2人に1人が当事者となるこの問題。その実態、制度の最新情報、そして課題解決に向けて第一歩を踏み出したい方へ、具体的な相談窓口をご紹介する。
国土交通省の推計によれば、全国のマンション644万戸のうちH30年度末で築40年を超える分譲マンションは81.4万戸。
10年後には2.5倍の200万戸となる見通しで、都内人口の半数が集合住宅に居住しているという。つまり、都民は50%の確率で、建替え問題の当事者だ。
実施に至っている建替えは、計画を含めH31年4月時点でわずか278件である。殆どの集合住宅は手つかずのまま経年を重ね続けている。さらに、事業が実現した多くは単体マンションである。
全戸数の1/3にあたる団地型マンションの再生は、複雑な関係主体や関連制度のために、より実現が困難と言われている。
老朽化したマンションが、住人や所有者にとってのみならず、社会問題に発展するのはなぜだろうか。
旧耐震基準で建てられた大量のストック。首都直下型地震も現実味を帯びてきた現在、耐震化は喫緊の課題とされる。
老朽化により修繕費の負担が増し、資産価値が低下する。退去者が増え、売却も賃貸も難しいデッドストックとなる。所有者や入居者の高齢化が進み、孤独死や相続による権利関係の複雑化がさらなる障害になっていく。
空き家や入居者の低所得化、高齢化による人手不足で管理放棄された老朽化マンションは、容易に都市部にスラムを発生させる。スラム化した建物では、犯罪の誘発、廃棄物の不法投棄、ねずみや害虫の発生、倒壊や外壁剥落、火災などの発災が想定される。
人口減少により立ち行かなくなった村落を「限界集落」というように、機能を失った「限界マンション」が急増する。こうなると、権利問題やボリューム、様々なコストから、公の力をもってしても解体、解消することは非常に困難になる。
これらの事象が急激に増加することで、経済性が損なわれ、都市機能の低下を招くことが危惧されている。
一言に老朽化と言うが、大規模修繕や建替えを余技なくされる状況は、次の3種類の劣化に整理することができる。築20年を超える建物に住む人なら、誰もが身近に感じることばかりだ。築30年を超える頃から、その不便さは切実に感じられてくるだろう。
給排水設備や防水などが限界に達し、漏水や漏電が頻発。修繕では事足りなくなる。
天井の高さ、専有部の面積、間取り、デザインなどが物足りなくなる。
耐震・防火・バリアフリーといった面が旧基準で建設され、現行の基準を満たさない。平成7年以前に建設された5階建てはエレベーターがないことが多い。
これらの劣化が顕在化し、いよいよ大規模改修か、建替えか、それとも解体かという逼迫した状況に陥ってからでは実現のハードルは高くなる。なぜなら、数少ない建替え事例では、事業の検討から完了まで、おおむね10年という期間を要しているからだ。
事業が行き詰まる例も多い。成功例と失敗例の比較分析により、成功の可能性を高めているのは、検討に至る以前に醸成されたコミュニティ、実効性のある長期修繕計画、適切な修繕積立金であることが分かっている。
さらに、容積率の緩和による余剰床の捻出や、発展的な用途変換が可能であるかどうかといった都市計画的、経済的な見通しも影響する。10年先を見越して動き始める必要があるのだ。
国では、H37(令和6年)まで10年間の住宅政策として、
H27住生活基本計画において次の成果指標を掲げて各種制度を拡充してきている。
なかなか進まない建替えを、国はどのように推進しようとしているのだろうか。
集合住宅の区分所有形態は、1962年に制定された「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)による。建替え等を行うには、これらの権利をまとめて意思決定する必要がある。
令和元年現在、建替え等の手法として、大きく4つの制度が用意されている。
デベロッパーと区分所有者が任意の売買契約を結ぶ。行政認可は不要だが、過分の費用要件という開発事業者のインセンティブがないと実施できない。
建替組合を設立し、権利変換計画の行政認可を受けて行う。
H14年度に法制度化され、H26年度に「容積率の緩和特例」が創設された。
耐震性不足を特定行政庁が認定。敷地売却組合を設立し、組合が敷地建物をデベロッパーに売却。区分所有者は組合から分配金を得る。 H26年度に創設された。
地方公共団体が都市計画事業として行う。再開発組合の設立認可の要件は全体の2/3の合意でよい。
この他に被災マンションの建替えを円滑化するための法制度が創設されている。
これらの制度は、建替え・あるいは解体を促進するため、増床が難しいといった実態に合わせて緩和、拡大の方向に動いている。これを受けて、各自治体で「マンション再生まちづくり制度(H29.4~東京都)」など、独自の緩和策や補助金の制度化を行っている。
都ではさらに税制優遇等の支援策を国に要望している。
こういった流れは、今後景気が後退したとしても、いわば住宅ローンの税制優遇のように、さらに手厚くなる見通しが高いだろう。
その時が来たら、あなたのマンションは恙なく建替えの道を歩むことができるだろうか。
次の4つの準備が整っていることが実現性を高めると言えそうだ。
管理組合は、区分所有者が必ず加入するよう法律で定められている。 形態と活動状況は、全部委託や部分委託、法人化しているかどうかなど差が大きい。
待ったなしの状況が分かったところで、いざ情報を収集しようと思っても、業者の選定に迷うだろう。まずは国土交通省の事業で設置されているサポートダイヤル等、公共性の高い相談窓口を利用してみてはどうだろうか。
国土交通省ではモデル事業の公募なども行っており、補助金や支援制度を上手に利用することで、所有者のコストを抑えることができるかもしれない。ぜひ最新の情報を手に入れてほしい。
電話相談、弁護士・建築士等による無料の対面相談(専門家相談)、相談会を実施。
地方公共団体の相談窓口を調べることができるほか、セミナーや建替え事例、関連制度の最新情報が入手できる。
https://www.tokyo-machidukuri.or.jp/machi/kanri-adviser.html
講習会や個別相談を実施。料金表が示されているため、具体的な費用を把握できる。