不動産の所有には、2つの形態があります。1つは、個人が同一の不動産に対し、すべての権利を有する状態の『単独名義による所有(以下、単独所有)』と、もう1つは、複数の人間が同一の不動産を共有する状態の『共有名義による所有(以下、共有所有)』です。
単独所有の不動産であれば、抵当権を設定していない限り、個人は自由に不動産を売却できます。
しかし、共有名義の不動産は、共有者の許可や同意が必要になります。
そこで、個人が共有名義の不動産(以下、共有不動産)や持分を売却するにはどうしたら良いのか、ここではお伝えします。
不動産の所有における共有状態とは、一つの不動産に対し、複数の名義人が存在するケースです。
例えば、一つの戸建てに対し、3人がそれぞれ33%ずつ権利を有していれば、共有状態であると言えます。
また、不動産を売却しようとする場合、全員の同意が必要になりますので、個人で勝手に売却することができません。売却した場合、上記の例では、代金の1/3ずつを公平に分けることになります。
『共有所有』以外に、不動産に対する共有名義人の所有権の割合を指す『共有持分』にも気をつけなければいけません。
名義人一人の意思で不動産の状態を変えること、何らかの用途で使用することには、いくつかの制限が設けられます。
たとえば、共有不動産全体にリノベーションを行ったり、他人に貸し出したりする場合、過半数に当たる他の名義人の許可が必要になります。
また、売却したり、抵当権を設定したりする場合、同様に名義人全員の同意が必要になります。一人でも反対すれば、不動産を売却することができません。
また、共有持分については、同一の不動産を所有する名義人の権利が等しくないことがあります。たとえば、Aさんの所有権が20%、Bさんも20%、Cさんだけが60%というケースです。
瑕疵(かし)の大規模な改修工事の際、20%しか共有持分を持たないAさんとBさんの同意では、過半数の同意を得たことにはなりません。
しかし、60%と過半数の持分を有しているCさんの同意があれば、単独でも改修や貸出が可能になります。
持分に該当する部分の居住や使用については、他の名義人の許可は要りません。部分的な改修や軽微なリフォームを行うのも、他の名義人の許可は不要です。
一般的に、兄弟が親から不動産を相続したとき、不動産が共有状態になることが多くなります。
それぞれが権利を有する以上、名義人の間で様々な思惑が絡んできます。
たとえば、他に自宅を持たない名義人が、共有状態の不動産に住み続けることは考えられますし、他にも、自宅を別に購入した名義人が、共有状態の家を賃貸に出そうと考えることもあるでしょう。
利用目的がそれぞれ異なると、共有不動産の有効活用が容易ではなくなります。
むしろ、共有状態の不動産を売却し、現金に換えた方がスムーズに事が運ぶことがあります。各名義人が持分に応じて代価を受け取り、必要とする不動産を新しく買えば、共有名義の不動産の有効活用につながります。
では、共有名義状態の不動産(以下、共有不動産)を売却するには、どのような方法を取ると良いのでしょうか。
先に書いたように、共有名義の不動産を売却したり、抵当権などを設定したりする場合、名義人全員の同意が必要になります。
過半数の同意があったとしても、個人の判断で勝手に処分することはできません。必ず、名義人全員で協議の上、方針を決定しましょう。
もし、同意が得られない場合、他の名義人の所有権を買い取ることで、単独名義の不動産にすることができます。
不動産の売却を行うとき、基本的に共有名義人全員の同意が得られたことを証明する必要があります。しかし、売却に際し、共有名義人の中の一人が、
などの理由がある場合、委任状を用意して売却を行いましょう。
委任状には立ち会いが不可能な理由や、代理人に意思決定を一任するなど、個人の意思をきちんと記載しておきます。
そして、委任状には、
なども添付しておく必要があります。
法務局で登記簿謄本を取得し、その内容を正確に書写しておきます。
委任状については、詳しくは以下のページを参照ください。
所有者本人に事情があって自分で不動産売却ができない場合があります。そんな時は、本人以外の第三者に委任して代理で取引する必要があります。
確実に全員の合意が得られれば、共有持分の不動産であっても、土地全体を販売することはできます。購入側にとっても、購入後の不安がありません。
もし、合意が不明確な状態で売却してしまったとしたら、どのようなトラブルが想定されるでしょうか。購入後に共有名義人から、「俺は売る気がなかった」「勝手に使うな」などのクレームが入る可能性があるのです。
委任状だけでは、疑いの目を向ける買主が出てくる場合があります。
どうしてもやむを得ない場合を除いて、委任状による売却は行わない方が良いです。
少なくとも、委任状をしたためた共有名義人たちと、電話などで確実に連絡が取れる態勢を維持しておきましょう。
共有不動産を売却するとき、全員の合意が得られるとは限りません。その場合、個人の持分だけを処分することは可能です。個人の持分を処分するには、どのような方法があるのでしょうか。
個人の持分を売却する場合、他の所有者の同意は不要です。
ただ、不動産が戸建住宅である場合、権利を1/3だけ買う人はまず、いないでしょう。有用性があまりにも乏しく、購入者が現れる可能性は非常に低いです。
もし、6部屋あるマンションの2部屋分の持分を売却するというのであれば、どのように変わるでしょうか。
権利の区分がわかりやすく、活用が容易な不動産であれば、個人の持分でも売れる可能性があります。ケースバイケースで売却方法を決めていきましょう。
次に、自分の持分を他の共有者に買い取ってもらう方法です。他の共有名義人が売却を考えているとき、もしくは、共有不動産そのものを単独で使いたいとき、多くみられる方法です。
しかし、買い取るほどの現金がない場合や、他の共有名義人が購入を考えていない場合、買い取りは難しいでしょう。
更地の状態であれば、不動産を分筆することで、非常に売却しやすくなります。
分筆とは、一つの不動産を2つ、3つの土地に分けることです。不動産登記簿上で一つの番地として処理された不動産を分筆することで、名義人のそれぞれが自分だけの土地を持つことができます。
かりに6-24の番地に建つ不動産を3人が共有していたとします。
その土地を分筆で、
6-24-1
6-24-2
6-24-3
という風に分けます。
分筆することで、新しい住所の不動産が出来上がります。6-24-3の土地と建物に関しては、権利を主張することができるのです。
売却に他の共有名義人の同意を得る必要がありません。分筆に関しては、土地家屋調査士の測量の上、法務局で変更の手続きを行います。
そのため、土地家屋調査士や司法書士の依頼費用がかかりますし、登録免許税や不動産取得税なども支払わなければいけません。数々のコストが発生するのが問題と言えます。
第三者に共有持分のみを買い取らせること、実際は困難であると言わざるを得ません。
そういった場合、専門の不動産会社に相談してみると良いでしょう。
共有不動産の買取実績が豊富な不動産会社は、他の共有名義人から土地を買い取ったり、自分たちで分筆したりする、などのノウハウを持っています。
このようにして、不動産を活用しやすい状態に、売りやすい状態に変えていくのです。
そのため、共有不動産であっても、どんどん買い取るのです。
価格面は普通の相場よりもどうしても安くなってしまいますが、確実に現金化できるのは大きなメリットです。
自由に使えない状態の不動産を所有するだけで、固定資産税や都市計画税が必ず課税されます。つまり、使わない不動産の所有は資産ではなく、負債に過ぎないのです。
相談もなかなかできない、そんな宙ぶらりんの状態では辛いばかりです。不動産を塩漬けにするよりも、現金化した方が良いでしょう。他の不動産の購入費用や、他の投資を行う資金に充てるなど、資産の有効活用につながります。
共有不動産の処理に悩んでいる方は、ぜひ、専門の業者に買い取りを依頼してみると良いでしょう。
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