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個人が不動産を売却すると譲渡所得税や住民税がかかるので、できるだけ節税したいですよね。
実は一定以上の利益が出ている場合や多くの不動産取引をしている場合などには、法人化すると税金を安くして節税できるケースがあります。
以下では不動産売却にかかる税金を法人化によって節税できる場合とその方法、注意点について解説していきます。
【執筆・監修】元弁護士 ライター
福谷陽子
不動産を売却したときにかかる税金は、個人の場合と法人とで種類や税率が変わります。以下でそれぞれにかかる税金の内容をみてみます。
個人が不動産を売却すると「譲渡所得税」と「住民税」が発生します。
譲渡所得税は、不動産を売却して得られた「利益」にかかる税金です。不動産を売った代金額から買ったときの代金額と経費を引いた金額がプラスのときに税金がかかります。
住民税は、前年度の所得に応じてかかる費用です。
譲渡所得税と住民税のそれぞれの税率は、以下の通りです。
法人が不動産を売却した場合「不動産を売却したこと」に対する税金ではなく「年間の法人としての利益全体」に対して法人税(法人税、地方法人税、住民税の合計)がかかります。こうした法人税、地方法人税、住民税の合計税率を「実効税率」と言います。
法人税の実効税率は、以下の通りです。
このように、個人と法人とでは税金の仕組みが根本的に異なります。
不動産売却の際「法人化」によって節税できるケースがあります。
法人化とは、会社を作って現在個人として所有している不動産を「会社所有」にすることです。不動産売買や賃貸の個人事業はすべて「会社の事業」とします。
不動産事業によって得られた収益金も「会社」のものとなるので、どんなにもうけても個人の税金は上がりません。代わりに法人税を払うことになります。
以下では法人化がどのような仕組みで節税につながるのか、理由をまとめてご紹介します。
上記のように税金の種類と税額が異なるので、法人税の方が低い税率になる場合、利益が出ても払う税金が安くなって節税できます。
実は法人の場合、個人よりも「経費」として認められる範囲が広くなっています。
たとえば車のガソリン代や税金などの維持費、スマホなどの通信費用、光熱費など、法人なら全額経費にできますが、個人なら「私用部分」については経費算入できません。
生命保険料も法人なら全額や半額損金にできますが、個人の場合には「生命保険料控除」としてごく一部の控除しか認められません。
利益が出ても大きく経費で差し引くことができるので、法人の方が節税しやすくなっています。不動産売却の節税対策では「減価償却」が重要です。減価償却とは、長期間建物を所有していることによって建物の価値低下分を「費用」として経費にできる考え方です。
個人の場合には、毎年定額の経費算入となるので「利益が大きく上がったときに大きく経費にする」ことは不可能です。
一方法人の場合、経費算入する金額を自由に設定できるので利益が大きく出たときに大きく減価償却費を計上して、税額を減らせます。
個人の場合、不動産所得は基本的に他の所得と独立して計算されます。このことを「分離課税」と言います。「損益通算」をすれば不動産によって発生した赤字を他の所得から差し引くことも可能ですが、損益通算できる範囲が限定されています。特定の居住用財産(家など)を売却したときの損失についてのみ、他の所得から控除できます。
法人の場合にはこのような制限がなく、法人事業全般を通算して税金を計算するので、不動産で大きな赤字が出たときに他の事業の利益を差し引き、大きく節税できます。
不動産事業で赤字が出たら、赤字を翌年度以降に繰り越して税額を低くできます。これを繰越控除と言います。
個人の場合には繰越控除期間が3年ですが、法人の場合には10年間繰り越せるので、大きな損失が出たときに将来にわたって税額を下げやすいです。
不動産事業を法人化すると、相続税の節税にもなります。不動産が法人所有の場合、個人の相続財産が0になるからです。
不動産を個人所有していたら、土地建物全部に対して相続税が課税されますが、法人所有ならオーナーが死亡しても「相続財産」にならず、相続税の根拠になりません。
不動産売却の税金を法人化によって節税する具体的な方法をご紹介します。
不動産売却で大きな利益が出たら、他の部分で利益を減らしましょう。たとえば役員や経営者が退職する際、多額の退職金を支給すれば一気に法人の利益が減ります。見かけ上の利益は減っても現実には経営者などがお金を受けとるだけなのでマイナスにならず、税額だけを減らせます。
良い物件があれば、投資で購入しましょう。すると建物の減価償却費を計上できるので経費が増えて税額を減らせます。
過去10年以内に不動産を含む何らかの事業で大きな損失が発生しているならば、その損失を繰り越して本年度の不動産売却による利益を減らしましょう。
不動産以外の事業を行っている法人であれば、他の事業で発生した損失を通算して不動産売却による利益を減らし節税できます。
親族がいる方は、親族を役員にしたり雇用したりして所得を分散する方法もあります。配偶者や兄弟姉妹、親子などに「給与」を渡せば法人の利益が減り、所得が低いと所得税率が低くなるので1人1人の所得税も下がります。
親族全体で支払う税額を節税するパターンです。
法人の場合、不動産の売却日を「売買契約日」と「引き渡し日」のどちらかから選べます。そこで契約と引き渡しが年度をまたいでいる場合、利益が大きく出た年を避けて別の年度に売却日をずらすことにより、税額を下げることが可能です。
以下のようなケースでは、法人化によって不動産売却の際にかかる税金を節税しやすいです。
不動産の所有期間が5年以下の場合、個人では所得税と住民税の税率がかなり高くなり、譲渡所得税が30%、住民税が9%で合計39%となります。
一方法人の場合には、法人税の実効税率全体で高くとも33.8%です。
不動産を購入後、5年以内の早期に売却したいのであれば法人として売却した方が得になります。
多数の不動産を所有しており頻繁に売買を繰り返す方は、法人化した方が節税になる可能性が高くなります。法人の場合、個人よりも柔軟な対応ができるからです。
たとえば1つの不動産を売却して利益が出ても他の不動産を購入したり、すでに所有している不動産の減価償却費の計上を高くしたりして利益を減らせますし、他事業による損失を適用したり古い欠損金を繰り越したりできます。
このような対応は個人にはできないので、複雑な事業を行うなら法人のメリットが大きくなります。
多数の不動産や預貯金、株式を所有している場合など、将来の遺産相続が心配な方は不動産事業を法人化すると「相続税」を節税しやすいです。
不動産を法人所有にしていたら相続税の課税対象になりませんし、預貯金があるなら法人の資本金に入れて不動産を購入すれば、相続財産を減らせます。
個人として不動産を購入する方法でも一定の節税はできますが、法人としてフレキシブルな対応をした方が、より効果的に節税できます。
不動産事業を行う法人を設立する場合の流れは以下のとおりです。
会社の種類や商号(会社名)、事業内容を決めます。会社の種類は、株式会社が多数です。商号は他に重複、類似するものがないか調べる必要があるので、法務局のサイトから調査します。
事業内容は不動産売買や賃貸などとしておきましょう。
次に会社の定款を作成します。定款とは会社に適用される「ルール」です。記載しなければならない事項が法律で決まっています。
定款を作ったら、公証役場で「定款認証」を受けなければなりません。持参してもかまいませんがその場合4万円の費用がかかります。電子定款認証なら無料なので、そちらの方がお勧めです。
銀行で資本金を払い込み、払い込んだことを証明するための「払込証明書」を取得します。
以上が済んだら法務局で法人登記の申請をします。その際、法人の印鑑が必要となるので事前に用意しておく必要があります。その印鑑は会社の実印となります。
また登記申請した日が会社の設立日になります。
不動産売却の節税対策で法人化するとき、注意点もあります。
個人の場合、居住用の家を売却したら3000万円分の利益(譲渡所得)まで控除して0にしてもらえます。法人にはこうした特例がないので、居住用の家を売るなら法人化すると損になる可能性があります。
法人には消費税の納税義務があります。土地には消費税がかかりませんが建物には消費税がかかるので、個人よりもよけいな税金がかかります。
5年を超えて所有している不動産を売却する場合、個人の方が税率は下がります。
また個人の場合、譲渡によって損失が出たら税金がかかりません。このようなケースでは、手間をかけて法人化する意味はありません。
法人を設立するには時間も費用も手間もかかります。設立後も従業員の社会保険など、これまで不要だった経費がかかります。経理や申告が複雑になるために税理士への依頼が必須となりますが、税理士費用も高額です。
不必要に法人化すると費用ばかりがかかってマイナスになります。
個人の場合、所得がマイナスになったら税金はかかりませんが、法人の場合には赤字でも税金が発生します。最低7万円の地方税がかかり続けるので、赤字続きであれば法人化にはデメリットしかありません。
個人の場合、不動産を子どもなどに贈与したり安く売却したりしても、利益が出ない限り贈与側や売却側に税金が発生しません。
ところが法人の場合、寄付や低額な金額での売却でも「時価で売却した」とみなされてしまうので、相場価格で売却したのと同程度の税金がかかってしまいます。親族同士で柔軟に不動産のやり取りをしたい場合、法人化は向きません。
まとめ不動産売却の際、法人化によって節税できるのは、たくさんの不動産を取り扱っている場合や頻繁に不動産売買、賃貸管理などを行って多額の収益が上がっている場合です。
一方個人が家を売却する場合、損失が出ている場合には法人化する必要はありません。 状況に応じた判断を行い、賢く不動産投資を進めましょう。
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