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マンション売却前後の補修要件及び補修を見据えた売却時期

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マンション売却前後の補修要件及び補修を見据えた売却時期のイメージ

マンションを売却する際、気になる点は「補修して売却した方がいいのか?補修しなくて売却した方がいいのか?補修する場合、いくらかかるのか?」ということです。また売却のタイミングも気になるところです。ここでは補修の有無と売却時期の目安を解説します。

まずはマンション売却前の補修要件について見ていきます。

マンション補修のメリット・デメリット

■用語解説
当段落に頻出するリフォーム、リノベーション、ハウスクリーニングの違いについて、
あらかじめ簡単に説明しておきます。

・リフォーム
リフォームは、経年劣化した設備や内装を取り換えて、新築の状態に戻すことをいいます。

・リノベーション
リノベーションは、間取りや水回りを大幅に変更して、新築の状態よりも上回る新たな価値を生み出す工事のことをいいます。

・ハウスクリーニング
ハウスクリーニングは、業者に清掃を依頼して、現状の水回りや壁・床・天井の汚れを取り、新築のような状態にすることをいいます。

かかる費用としては、ハウスクリーニング < リフォーム < リノベーションとなります。

マンション補修のメリット

補修することにより第一印象が良かったり、すぐに入居できるマンションは売却が早まったりする可能性が高まります。

①第一印象が良好

損傷・劣化がある場合と無い場合とでは、買主が内覧をした際の第一印象が違ってきます。築古マンションであっても手入れが行き届いた印象を買主に与えることができれば、価格交渉をされずに早く売却できる可能性が高まります。

②買主が即、入居可能

買主の中には、リフォームすることなく、すぐに入居可能なマンションを探している人も多くいます。際立った損傷・劣化もなく、「これならすぐに住める」と買主に感じていただければ、早く売却できます。

③広告に補修済と掲載可能

補修が済んでいれば、マンションを売却する広告に「補修済」と掲載することができます。補修済のマンションを探している買主も多くいますので、目に留まりやすくなり早く売却できます。

マンション補修のデメリット

補修することにより、売却価格が高値になることや、リノベーション志向の買主と合わず、補修費が無駄になることがあります。

①売却価格が高値

補修の程度にもよりますが、現状での売却価格に補修費を上乗せして販売すると、買主の母数が減り売却時期が遅れる可能性があります。結局、売却価格を下げざるを得ず、補修費が無駄になることもあります。中古マンションの買主は売却価格にシビアな方が多いので、価格設定には注意を要します。

②リノベーション志向の買主との不一致

中古マンションの買主の中には、できる限り安く購入してリノベーションをしたい方もいます。

中には、壁紙・フローリングのカタログや水回り(キッチン・洗面・トイレ)のカタログを持参する方もいます。さらにメジャーを持参し、床面・壁面の寸法を測り、水回りの正確な位置を測る人もいます。自身のライフスタイルにこだわった設備や器具の充実を、間取り変更により図るためです。

そうなりますと、補修した部分は全て無駄になります。そのような買主もいることを想定して、価格交渉に応じた方が買主に喜ばれます。その買主から見ると、補修費は無駄となります。

実は積極的に補修しなくても良い

上記データによりますと、中古マンション取得者が重視した1位は「価格」、2位は「新築にこだわらない」、3位は「リフォーム」であることがわかります。補修を行うならば、必要最低限にしておく方が良いということがわかります。

時間と手間がかかる
例えば、壁紙やフローリングの張替えには、費用がかかり時間と手間もかかります。

①先ず補修業者を探す手間がかかります。インターネットで見積もりを取ることが出来ますが、あくまでも概算・目安です。
②実際の補修費用を計算するためには、業者がマンションに来て補修する部分の箇所や壁面・床面の寸法を測定しなければなりません。
③壁紙やフローリングなどの色柄などの選択が必要です。
④入居中に補修を行うのであれば、作業の日までに家具などの移動が必要です。
⑤作業当日もマンションにいて作業を確認しなければなりません。

これだけの費用・時間・手間をかけたとしても、その分の費用を売却価格で取り戻せる可能性は、むしろ低くなります。

補修した方がよい場合もある

あまりにも酷い損傷・腐食箇所がある場合には、補修した方が良いです。買主が内覧した際、引いてしまうほどの損傷・劣化であれば、価格交渉にもならないです。柱や床スラブといった構造材(建物自体を支える部材)にも影響があるのではないかとの疑惑をもたれます。酷い損傷・腐食箇所の補修の有無の判断が自身で出来なければ、不動産会社(販売会社)に相談してみるのも一つの手です。

補修の相場

筆者は区分マンション、アパート経営を行っていますが、これまで十数社を利用して補修工事を行ってきました。その経験を基に補修工事(原状回復工事)の相場(目安)を下表にします。ただし、地域や施工会社により金額が前後することを前提とします。

補修工事ごとの単価(目安)

原状回復工事の種類 費用相場(地域・会社により異なります)
ハウスクリーニング代
(専有面積により費用は前後します)
約25,000円/  1K
約32,000円/ 2DK
約38,000円/2LDK
約44,000円/ 3DK
約48,000円/3LDK
天井・壁・床
(グレードにより費用は前後します)
天井・壁の穴補修 約20,000円~30,000円/箇所
フローリング汚れ除去 約10,000/箇所
壁紙の張替 約1,000円~2,000円/㎡
フローリング張替 約3,000円~10,000円/㎡
カーペット張替 約2,000円~3,000円/㎡
クッションフロア張替 約2,000円~3,000円/㎡
畳張替 約6,000円/畳
水回り設備
(グレードにより費用は前後します)
トイレ 簡易な水漏れ補修 約5,000円/箇所
フラッシュバルブ交換 約8,000円/箇所
トイレ新規取替 約100,000円~300,000円/箇所
バス 壁・床:部分補修 約20,000~50,000円/箇所
浴槽:部分補修 約50,000円/箇所
バス新規取替 約500,000円~1,500,000円/箇所
キッチン 詰まり・水漏れ補修 約5,000円/箇所
パッキン交換 約1,000円/箇所
蛇口交換 約12,000円/箇所
キッチン新規取替 約100,000円~700,000円/箇所
洗面台 洗面台新規取替 約100,000円~200,000円/箇所
機械設備 エアコン取替工事
(サイズ・グレードによる)
約50,000~100,000万円/箇所
給湯器取替工事
(サイズ・グレードによる)
約80,000~150,000万円/箇所

Δ原状回復工事の費用相場(目安)

■自身で概算を計算する場合
例えば、壁紙の張替概算費用を出したい場合には、自身でメジャーを使い、壁面積を以下の手順で測ります。

①壁の高さ(垂直方向)を測ります。
②壁の長さ(水平方向)を測ります。
③壁の面積を計算します。(高さ×長さ)
④窓やドアの面積を計算します。
⑤壁の面積から窓やドアの面積を差し引きます。
⑥求めた面積に壁紙の単価(上表参照)を掛けて補修費用を計算します。

床・天井面積も単純に部屋の辺の長さをメジャーで測定すれば計算できます。

【事例1】
分譲マンションを売却することになりました。間取りは3LDKです。売却するにあたり、ハウスクリーニングとLDK(リビング・ダイニング・キッチン)のフローリング部分の面積:35㎡(21畳)を張替えることにしました。フローリングの仕様は、単価が6,500円/㎡のものを選択しました。その際の補修費用は?

フローリング張替単価を6,500円/㎡とします。ハウスクリーニング:3LDKの費用は上表より48,000円です。

フローリング張替 : 35㎡ × 6,500円/㎡ = 227,500円
ハウスクリーニング : = 48,000円
合   計 : = 275,500円

となります。

不動産売却にハウスクリーニング強制ではない!実施のメリットとデメリット

不動産売却を考えているが、高値で売ったりトラブル防止したりするためにハウスクリーニングが必要かどうかお悩みではありませんか?ハウスクリーニング・・・

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補修を考える前にクリーニングを検討してみては?

マンション売却にあたり補修も大切ですが、掃除も同じくらい大切です。しかも、自身である程度のクリーニングが出来ますからお金をかけずに済みます。たとえ築古マンションであったとしても、清潔感があり手入れされていると買主に感じていただければ、必ず売却できます。

玄関

玄関は、買主が内覧する際最初に目にする箇所ですので最も重要視しないといけません。
第一印象は最初の5秒で決まるといわれています。ここで買主に悪い印象を持たれてしまいますと、中の部屋も同様にみられてしまいます。

特に気を配らないといけないのが匂いです。消臭剤などを使い準備しておきます。
買主の中には、シューズボックスの中を確認するために開ける人もいますので、特に配慮が必要です。

水回り(キッチン・洗面所・風呂・トイレ)

水回りが汚れていますと、買主の印象は一気にトーンダウンします。カビや水垢がついていると、手入れされていないと取られてしまいます。逆に水回りで清潔感を感じていただくと好印象を持たれます。

水回りに限っては業者に依頼してハウスクリーニングをしてもらってもいい位です。長年の汚れは業務用の洗剤でないとなかなか落ちませんので、検討してみてもいいと思われます。

あと同時に下記の点も確認しておきます。

水回り部分チェックポイント
  • 水漏れしていないか?
  • 蛇口が固くなり回りにくくなっていないか?
  • 給水栓の水量は適量か?調整できるか?
  • 排水は大丈夫か?きちんと流れるか?
  • 給湯器は作動するか?お湯は適温で出るか?
  • 換気扇は作動するか?匂い・湿気がこもらないか?

特に水回りは売却後にトラブルになりやすい箇所ですので、注意が必要です。

リビング

家族が一番集まる箇所ですので、買主にリビングを気に入っていただければ、売却の可能性は高まります。内覧の際には、事前にカーテンやサッシを開けて換気をしておくなどの配慮が必要です。ここでも匂いに気を付けます。不動産業者と相談して「ホームステージング」を取り入れてみるのも演出の方法の一つです。

※ホームステージング:部屋をレンタルした家具や小物類でコーディネート(演出)することです。
海外では一般的に行われており、マンション売却の成約率が上がります。

全ての部屋を見せる

買主が内覧に来た場合には、全ての部屋を見せるようにします。寝室、子供部屋、風呂場、押入など見せたくない部屋があるかもしれませんが、見せるようにします。買主にとってみれば、見ることができなければ瑕疵(欠陥)があるのではないかとの疑惑を持ちます。

国土交通省住宅局が発表した「平成30年度 住宅市場動向調査」の中古マンションを購入しなかった理由を下記にします。

Δ中古住宅にしなかった理由:分譲マンション取得世帯:国土交通省 ※1

このデータによりますと、「隠れた不具合が心配だった」:24.5%、「見た目が汚いなど不満だった」:12.8%となっています。

マンションを売却する場合に補修するべきか補修しないべきか

マンションを買い換えるとなると、今持っているマンションを売却する必要が出てきます。そんなときに気になるのが「補修するべきかどうか」。・・・

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ここまでが、マンション売却前の補修に関する記述となります。
以後は、マンション売却後について解説します。

瑕疵担保責任の概要

瑕疵担保責任とは、マンションを売却後に瑕疵(欠陥)が見つかった場合に売主が負う責任です。買主が気を付けても発見できないような瑕疵については、売主の責任とされます。売主は買主の請求に応じてマンションの補修や損害賠償請求に応じないといけません。瑕疵が重大で買主がそのマンションに住むことが困難な場合、売買契約の解除を求められ売買代金を返却しなければならなくなります。

瑕疵担保責任については、民法第570条と第566条が根拠となります。

民法第570条(売主の瑕疵担保責任) ※2
「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制売買の場合は、この限りでない。」

民法第566条1項(地上権がある場合等における売主の担保責任) ※2
「売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において買主がこれを知らず、かつ、そのために契約した目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。」

条文を簡易化しますと、
①買主はマンションに欠陥があることを知らなかった。
②損傷・劣化が酷く補修ができない。住む目的で買ったのに、住むことができない場合は契約を解除できる。
③補修できて住むことができる場合は、補修費用を請求できる
となります。

瑕疵担保責任は任意規定

瑕疵担保責任は売主と買主が話し合いで決める任意規定です。
その期間・範囲・免責を双方同意の上で決めることができます。

瑕疵担保責任の期間

民法上、瑕疵担保責任が適用される期間は、買主が瑕疵に気づいてから1年間です。しかし売買契約上、個人がマンションの売却を行う場合には瑕疵担保責任の適用期間を2~3か月にすることが慣例となっています。中には売主と買主が合意の上で「原状渡し」とし、「売主は瑕疵担保責任を負わない(免責)」とすることも規定されています。

民法第566条3項 ※2
「前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。」

【事例2】
買主が隠れた瑕疵を購入してから6年後に見つけたとき、損害賠償請求ができるか?

民法上ではできます。隠れた瑕疵を見つけて1年以内に請求すれば、売主は応じなければなりません。
ただし、いつまでも請求することはできません。民法第167条の「債権等の消滅時効」により、引渡しから10年までと規定されています。

民法第167条1項 ※2
「債権は、10年間行使しないときは、消滅する。」

しかし、これでは売主のリスクが大きいです。そこで、通常の売買契約では瑕疵担保責任の期間を引渡しから2~3か月と規定するのが慣例となっています。

瑕疵担保責任の範囲

マンションの場合は、瑕疵担保責任の範囲を4箇所に限定するのが一般的です。

① 雨漏り
② シロアリ被害
③ 給排水設備の故障(専有部分)
④ 建物の構造上、主要な部位の腐食

責任を負うのは専有部分だけです。共用部分は管理組合の責任となります。

瑕疵担保責任の免責

築年数が数十年のときは、瑕疵担保責任を負わない(免責)とすることもあります。免責する場合は、売却当初から「瑕疵担保責任免責」と条件を付けることになり、売主は安心して売却できます。注意点として、売却時に知っている欠陥については買主に対して説明責任があります。それをしないと売買契約違反や詐欺になる可能性があります。それについては、民法第572条に規定されています。

民法第572条(担保責任を負わない旨の特約) ※2
「売主は、第560条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることはできない。」

瑕疵担保責任をカバーする保険

既存住宅売買瑕疵保険は、売却されたマンションの瑕疵(欠陥)による不具合の修繕等を行う資金を確保するために、売主が利用する保険です。補修対象は、構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分などです。

既存住宅売買瑕疵保険のメリット

① 売主は、売却後の瑕疵担保責任のリスクヘッジができます。
② 買主は、マンション購入の瑕疵への不安を解消できます。

支払対象は、補修費用・調査費用・転居・仮住まい費用などで、支払限度額は500万円または1,000万円です。保険期間は1年間または5年間となります。

保険加入条件として、マンション引渡し前に建築士による検査を受け、問題が見つからなければ保険に加入できます。問題が見つかれば、問題箇所を補修すると加入できます。

補修を見据えたマンション売却時期・価格

マンションを売却する際、タイミングをいつと考えたらよいのかという悩みを持つ方は多くいます。
ここでは、大規模修繕工事の時期、築年帯別価格、住宅ローン控除の観点から考察します。

大規模修繕工事の時期

大規模修繕工事は、マンションの経年劣化などに合わせて行う、周期的・計画的で大規模な修繕工事です。管理組合が主体となり、長期修繕計画に基づいて修繕積立金を区分所有者から徴収します。

大規模修繕工事の考え方 ※3

大規模修繕工事の種類 内     容
修 繕 工 事 建物各部の性能・機能を新築時の状態に維持・回復を図る工事
改 良 工 事
(グレードアップ)
建物各部の性能・機能を新築時の状態よりもグレードアップする工事。建物 を構成する設備や材料を新規格のものに取り換えたり、新たな性能・機能を付加するなど。
改 修 工 事 修繕工事や改良工事により、社会や時代の変化により向上する住環境に合わ せて、新築時の状態よりも建物の性能・機能をより高いものに改善する工事

Δ大規模修繕工事の考え方:国土交通省 ※3

「リフォーム」が「修繕工事」に該当し、「リノベーション」が「改修工事」に該当します。

改修工事を定期的(築12年、24年、36年)に実施することで、建物の老朽化防止・陳腐化防止ができます。大規模修繕工事において修繕工事だけだと新築時の状態を維持するだけで、建築後十数年経過した建物としては、価値が相対的に下がります。改良工事(グレードアップ)を含めた改修工事を行い、建物の価値を時間経過とともに相対的に持続させることが重要です。

大規模修繕工事から見た売却時期

大方のマンションの長期修繕計画では、12年ごとに大規模修繕工事(改修工事)を行う計画となっています。その際、修繕積立金で不足する分は、区分所有者に対して工事の一時金を請求するか、管理組合がリフォームローンを組み工事資金の原資とします。何れにせよ区分所有者の負担となります。
一つの考え方として、大規模修繕工事の前に売却しますと工事の不足分の支払いや管理組合のリフォームローンの支払請求からは逃れられます。よって、築12年、24年、36年経過の大規模修繕工事前が売却時期と考えられます。

築年帯別価格 ※4

公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年)」の中に、「中古マンションの築年帯別平均価格」のデータがあります。それによりますと、中古マンションは年数経過と共に価格が下がりますが、築10年から20年の期間に限り、下がり方が緩やかになります。築20年を過ぎると価格の下がり方が大きくなり、築25年~30年辺りで底を打ち上昇に転じます。

築年帯別平均価格から見た売却時期を見ますと、価格の下がり方が緩やかな築10年から20年辺りが売却時期と考えられます。

住宅ローン控除 ※5

国税庁によりますと、「住宅借入金等特別控除(以下、住宅ローン控除)とは、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームを新築、取得(中古住宅)又は増改築等をし、令和3年12月31日までに自己の居住の用に供した場合で、一定の要件を満たす場合において、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基にして計算した結果を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除するものです。」とあります。要するに所得税の減税制度です。

住宅ローン控除を利用する際、「一定の要件」の中に中古マンション(耐火建築物)の場合は築25年までとあります。住宅ローン控除から見た売却時期を見ますと、買主側に立ってみれば住宅ローン控除を適用したいと考えますので、築25年までが売却時期と考えられます。

以上、大規模修繕工事の時期、築年帯別価格、住宅ローン控除を合わせて鑑みますと、売却時期は築10年~20年辺りが良いと思われます。

マンション売却にとって大切な共用部分の補修を支える管理費・修繕積立金

買主は内覧する際、真っ先に目にするのはマンション外観です。それからエントランス、エレベーター、共用廊下などの共用部分を通り、目的の住戸である専用部分に行きつきます。共用部分に損傷・劣化が無く清潔に保たれているかも大切な点です。それを支えるのが、管理費と修繕積立金ですが、その違いを説明します。

管理費

管理費は、日頃のマンション共用部分の管理・メンテナンスに要する費用です。通常は、管理組合が管理会社に業務委託し、管理費を区分所有者が管理組合を通して毎月支払います。管理費の主な内訳は下記の通りです。

① 共用部分の清掃・ゴミ処理
② 共用部分の水道光熱費:エレベーター・受水槽稼働の電気代、照明の電気代、清掃の水道代、など
③ 共用部分の火災保険料・損害保険料
④ 共用設備の保守点検・維持管理:エレベーター・受水槽の点検、照明電球交換、など
⑤ エントランス・外構部分(通路・駐車場・駐輪場)の植栽の維持管理(水やり、剪定)
⑥ 管理業務費:エントランス窓口業務、総会議事録作成、など

ここでの注意点は、管理会社が上記業務を確実にこなしているかどうかの管理組合のチェック体制です。設備の点検・確認、維持・管理を何もせず、さも業務したかのように報告をする管理会社もありますので、注意が必要です。

修繕積立金

修繕積立金は、定期的(築12年、24年、36年)な大規模修繕工事に備える費用です。通常は管理組合が管理会社を通して工事会社に業務委託し、その工事費用を入居者が管理組合に毎月積立します。
修繕積立金は、マンション分譲会社が分譲前に作成した「長期修繕計画」に基づき計算された金額です。
修繕積立金の主な内訳は下記の通りです。

① 外壁の修繕工事:タイル張替、吹付塗装、など
② 屋根・屋上の修繕・防水工事
③ 共用部分の廊下・階段の修繕・防水工事
④ 給排水管の修繕工事:受水槽、給水管、排水管、など
⑤ エレベーターの修繕・取替工事

ここでの注意点は、管理会社が工事会社に修繕工事を委託する際、その見返りとしてリベート料を請求していないかどうかです。中には4割ものリベート料を取る管理会社もありますので、ここでも管理組合のチェック体制が大切です。

修繕積立金が不足気味 ※6

Δ現在の修繕積立金の状況:国土交通省 ※6

現在の修繕積立金の積立額が、長期修繕計画に基づく修繕積立金の積立額と比較して、不足しているマンションは全体の34.8%になります。不明の割合が31.4%もあるため、不足している割合はもっと増えます。

その対策として、

① 区分所有者から一時金の徴収
② 管理組合がリフォームローンの借入:区分所有者が追加でローン返済

などが取られています。

まとめ

いかがでしたか?

日頃の小まめな維持・管理であり、気づけばすぐに補修・掃除をすることが清潔感を生み、結果としてマンションを高く売却できます。また、買主に対して知っていることは包み隠さず情報共有し、売買契約を結ぶことです。そうすることで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。マンション売却をしなければいけなくなった時に慌てて補修のことを考えるのではなく、日頃からマンション売却のことを想定して補修を心がけることをお勧めします。

出所
※1 「平成30年度住宅市場動向調査~調査結果の概要~」(平成31年3月) 国土交通省住宅局
※2 「民法」(令和元年6月14日公布改正) 電子政府の総合窓口
※3 「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」 国土交通省住宅局
※4 「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年)」 公益財団法人東日本不動産流通機構
※5 「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」 国税庁
※6 「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」 国土交通省

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