確定申告とは、所得税と復興特別所得税を計算し、税金を支払うための手続きのことです。現代ではサラリーマンが副業を行なうチャンスが増えているため、不動産所得や配当所得・事業所得があった場合の確定申告の知識は必須。
そこで今回は、正しい確定申告の手続方法について具体的に解説していきます。
これらを少しでもお考えなられたことがあるなら、当ページがお役に立つと思います。
不動産投資を成功させるためにも、ぜひ、最後までご覧いただけましたら幸いです。
もともと、一般のサラリーマンは確定申告とは余り関係がありません。
会社の人事部が全ての手続を行なってくれるからです。
しかし、管理職や役員に昇格し年収が2,000万円を超えてくると、サラリーマンでも所得にかかる税金の額を計算し税金を支払う確定申告が必要になります。
また、一般のサラリーマンの場合でも、給与以外に以下の収入があった場合は確定申告が必要です。とくに、不動産投資などからの副収入があった場合は確定申告が必須。注意しましょう。
なお、
個人の所得の計算期間は1月1日から12月31日までの1年間です。
翌年の3月15日までに税務署に申告・納税しなければなりません。
不動産所得があった人 | |
配当所得があった人 | |
事業所得があった人 | 個人事業主 |
給与所得があった人 | サラリーマンでも確定申告が必要な場合がある |
退職所得があった人 | |
譲渡所得があった人 | |
山林所得があった人 | |
一時所得・雑所得があった人 | 年金・事業的規模でない副業による所得などがある場合 |
・給与収入が2,000万円を超えている場合
・2ヵ所以上の会社から給与を受け取っている場合
・配当所得や不動産所得などの副業所得が20万円を超える場合
・医療費控除・雑損控除などを受ける場合
・住宅ローン控除を初めて受ける場合(2年目以降は年末調整で行う)
・その年の途中で退職し、再就職しておらず、年末調整を受けられない場合
・ふるさと納税の納付先自治体が6ヵ所以上の場合
納税は国民の義務であり、確定申告そのものにメリットがあるわけではありませんが、
確定申告しなければ受けられないメリットがあります。それが以下の場合です。
確定申告には「白色申告」と「青色申告」という2つの申告方法があります。
2つの申告方法の違いをよく理解しておきましょう。
まず「白色申告」とは、
簡単に確定申告ができる方法で、貸借対照表の提出が不要であるほか帳簿も日々の合計金額を一括で記載する方法で申告できます。比較的、小規模な事業者が選択する申告方法とされています。
一方「青色申告」は、
税金の特別控除や赤字の繰越などで、翌年度の税金を節税できる様々な優遇特典のついた確定申告です。ただ、優遇措置がある一方で年間の取引を複式簿記にする必要があります。
以前は、「青色申告」は面倒だからという理由で「白色申告」を選ぶ人もいましたが、
2014年の法改正により「白色申告」にも帳簿作成が義務付けられたため、
メリットが大きい「青色申告」を選ぶ人が増えています。
青色申告特別控除 | 65万円または10万円が所得金額から控除できる |
青色事業専従者給与の必要経費算入 | 専従者給与が必要経費として算入できる |
純損失の繰越し | 事業から生じた純損失の金額を翌年以後3年間、順次各年分の所得金額から差し引くことができる |
副業や個人事業の売上が200万円で経費50万円使っていた場合
通常の課税所得=200万円-50万円=150万円
↓
青色申告特別控除の課税所得=200万円-50万円-特別控除65万円=85万円
↓
青色申告特別控除で85万円に対してのみ所得税が課税される
確定申告の手順と流れは以下の通りです。
日々の取引や領収書の管理
↓
必要な書類のチェック
領収書やレシート・明細書・各種控除の証明書・家計簿・金銭出納帳・源泉徴収票・支払調書
↓
確定申告書を作成する
↓
国民健康保険料や医療費など控除になるものを計算する
↓
税務署に確定申告書を提出する
↓
税務署に税金を納める
上記の確定申告の手順と流れを助けてくれるのが会計ソフトですが、
会計ソフトには「インストール型」と「クラウド型」があります。
従来の会計ソフトの多くは「インストール型」で、ソフトを購入してパソコンにインストールして使うタイプのものを指します。
最近では、ネットからアカウント登録し、利用契約(購入)をすればログインして使用できる「クラウド型」タイプが増えています。
価格は製品によりさまざまですが、「インストール型」の大手ブランドソフトが1万円程度するのに対して、「クラウド型」は月額換算にすれば800円程度で始められるものもありお手頃です。
「クラウド型」会計ソフトのメリットは以下の通りです。
クラウド型会計ソフトのメリット | |
---|---|
いつでもどこでも利用できる | 会計データはクラウド上に保管され、パソコン・スマホ等からいつでもどこでも利用可能 |
インストール不要で手軽にスタート | 法令改正や新製品が発売された時もバージョンアップが不要 |
低コスト | 利用料が安く無料もある |
連携アプリが豊富 | 自動取込・自動仕訳サービスなどクラウド型連携アプリを利用できる |
これから会計ソフトを導入するなら、便利で安価なクラウド型がおすすめです。
中小企業の経営者にとり税務署は怖い存在ですが、それは追徴課税が怖いことに他なりません。追徴課税は申告書の法人税等の税額が正しくないか未提出であるなどで、本来納付されるべき税額が納付されていない場合に追加で課される税金を意味します。
しかも、「期限内に納付されない」「税法に適さない税務処理」などの場合は、罰金としての追加の税金も課されます。つまり、追徴課税は税の不足分を徴収しペナルティーを課す意味で徴収される税金なのです。
種類 | 説明 |
---|---|
延滞税 | 税金の法定納付期限までに納付しなかった場合に課される税金(年7.3%~14.6%の延滞税が課される) |
過少申告加算税 | 税務調査で誤りが指摘されたことで修正申告を行い税額が増える場合に課される罰金 |
無申告加算税 | 正当な理由なく期限後に申告したり所得金額の決定を受けたりする場合に課される罰金 |
重加算税 | 二重帳簿・帳簿書類の隠匿・虚偽記載などによる隠蔽や仮装等が実施された場合に課せられる罰金 |
確定申告書の作成方法には、最寄りの税務署から申告書を貰い手書で作成する方法、
会計ソフトや確定申告ソフトを使って申告書類を作成する方法、国税庁公式サイトの「e-Tax確定申告書作成コーナー」から直接入力して申告書を作成する方法などがあります。
「e-Tax」で確定申告するメリットは以下の通りです。
申告書の作成で不明な点がある場合には、税務署の電話相談サービスを使うと便利です。
親切に作成方法を教えてくれます。
減価償却とは、建物や機械・車など購入から長い間使うものは購入してすぐには費用にせず、何年かに分けて費用として計上していく償却方法のことです。
何年かけて減価償却しなければならないかは法定耐用年数として決められています。
主な法定耐用年数は以下の通りです。
種類 | 法定耐用年数 |
---|---|
軽自動車 | 4年 |
乗用車 | 6年 |
飲食店用設備(厨房など) | 8年 |
給排水・ガス設備 | 15年 |
木造や軽量鉄骨建物 | 22年 |
重量鉄骨建物 | 34年 |
RC造SRC造建物 | 47年 |
次に減価償却の計算方法には定額法と定率法があることを理解する必要があります。
以下に具体的に計算方法を示しています。
問題になるのは定額法と定率法のどちらを選ぶかということです。
定率法は費用を早く計上できるため税金対策として有効で、大企業の場合は8割以上が定率法を採用しています。しかし定率法での減価償却資産の管理は複雑であるため、中小企業や個人事業主にとっては定率法での減価償却資産の管理はとても負担になります。
建物は必ず定額法で計算しなければならないため、不動産投資における減価償却では定額法を選びます。
確定申告の計算に用いられる公式は以下の通りですが、
ここで大事なのは経費と青色申告特別控除です。
とくに、経費を適切に計上することと青色申告特別控除が大事なポイントになってきます。
事業所得 = 売上 − 仕入 − 経費 − 青色申告特別控除額
課税総所得金額 = 事業所得 − 所得控除額の合計 − 前年からの繰り越し赤字
所得控除の意味を理解するために簡単な計算例として1,000円の所得で税率が10%のときと、所得控除が100円ある場合を比べると以下の通りとなります。
つまり、経費や様々な控除を用いて所得控除を10%増やすことで税額も10%減ることがわかります。
さまざまなネットメディアを使うことで、確定申告を学ぶことができます。
以下におすすめのネットメディアをピックアップしてみましたので、
ぜひ参考にしてみてください。
慣れない経営者にとっては日々の会計や決算・確定申告などの業務はなかなか大変です。
それなら、最初から税理士に依頼するのも一つの方法です。
以下は小規模な会社の会計・決算の場合の税理士報酬の一例です。
最初はこの程度のリーズナブルな料金の税理士事務所を見つけ、
会社の成長とともに確定申告などの会計・決算の知識も身に付けていくのが良いでしょう。
事業規模 | 月顧問料 | 記帳代行料 | 決算料 |
---|---|---|---|
売上300万円未満 | 10,000円 | 5,000円 | 100,000円 |
売上300万円以上1,000万円未満 | 10,000円 | 5,000円 | 100,000円 |
売上1,000万円以上2,000万円未満 | 15,000円 | 10,000円 | 150,000円 |
売上2,000万円以上3,000万円未満 | 20,000円 | 15,000円 | 150,000円 |
売上3,000万円以上5,000万円未満 | 30,000円 | 20,000円 | 150,000円 |
不動産投資においては、適切な経費計上による確定申告が成功のポイントとなります。 そのためにも、確定申告の意義と仕組みを熟知し適切な申告をすることは必須。 スムーズにストレスなく手続きできるように、早めに確定申告のセミナーやネット・解説本などで情報を集め、少しでも知識を付けておくと安心です。