東京再開発・長引くゼロ金利・副業解禁など、サラリーマンが不動産投資を考えるには今がチャンスです。しかし、不動産投資を始めると言っても、いったいいくら用意すれば良いのでしょうか?不動産投資に失敗しないためには、初期費用を具体的に把握しておくことが重要です。
そこで、今回は不動産投資にかかる自己資金・諸費用・税金などについて具体的に考えてみました。
これらを少しでもお考えなられたことがあるなら、当ページがお役に立つと思います。
また、不動産投資初心者の方にもおすすめです。
新築マンションの価格から見ていきましょう。
以下の表は首都圏新築分譲マンション平均価格を示しています。
年 | 平均価格 | 前年同期比 |
---|---|---|
2014年 | 5,010万円 | +5.8% |
2015年 | 5,256万円 | +4.9% |
2016年 | 5,686万円 | +8.2% |
2017年 | 5,884万円 | +3.5% |
2018年 | 5,962万円 | +1.3% |
これは首都圏で売り出された新築マンションのデータであるため、広さは平均的な60㎡から70㎡程度と考えてください。この表からわかるように、首都圏で一般的な新築マンションを買うなら5,000万円以上のお金が必要となります。
ワンルームマンションや中古マンションであればもっと割安な価格のマンションを選ぶことはできますが、他形態の物件の基準価格となるのが新築分譲マンション平均価格となるため、この新築分譲マンションの平均価格を把握しておくと役立ちます。
次に一戸建ての価格を見ていきましょう。
2019年2月の新築一戸建て平均価格は以下の通りです。
東京都 | 5,470万円 |
---|---|
神奈川県 | 4,075万円 |
千葉県 | 3,838万円 |
埼玉県 | 3,756万円 |
大阪府 | 3,219万円 |
愛知県 | 3,798万円 |
土地50㎡以上100㎡未満の新築一戸建ての平均価格は、都内では5,470万円と相当高額となっています。
一方、神奈川県の4,075万円を除くと、千葉県・埼玉県・大阪府・愛知県などでは、比較的検討しやすい価格となっています。
このように、都心部と地方では、一戸建て価格に大きな差があることがわかります。
では、不動産投資を始めるには、自己資金はどれくらい必要なのでしょうか。
もちろん、全額自己資金で買うとすれば前項の金額が参考になりますが、やはり3,000万円~5,000万円ものの金額を投資のために個人が用意するというのは現実的ではありません。
一般的には、物件価格の2割~3割の自己資金を用意してローンを組む人が多いと言われています。
つまり、3,000万円の物件を購入するとなると、600~900万円の資金が必要になります。さらに、税金や各種手数料がかかってくるため、実際にはけっこうな出費が予想されます。
では、手元に資金を準備できない人には、不動産投資は不可能なのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
最近では、自己資金が少ない人でも条件によっては銀行が融資してくれるケースが多くなっており、自己資金なしの「フルローン」で不動産投資を始める人も少なくありません。
しかし、フルローンを利用する場合、自己資金がわずかで済む分、長期にわたって確実に返済することが課せられます。将来の返済のことも考えて、検討することが必要です。
やはり現時点である程度の額を用意できる方が安心でしょう。
でも実際には、投資家の年収は必ずしも高いわけではなく、年収500万円以下で不動産投資を始める人は全体の48.4%、20代では65.8%に上ります。
引用:GA technologies「2015年 不動産投資動向に関する意識調査」より
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ローンを組むには事務手数料がかかるということも押さえておきましょう。事務手数料とは、ローン手続きをしてもらう代わりに銀行に支払う報酬のようなものです。事務手数料はローンに組み入れることはできず、最初に現金で支払う必要があるため、事前に金額を把握しておくようにしましょう。
各銀行の事務手数料は以下の通りです。
三菱UFJ銀行 | 32,400円 |
---|---|
新生銀行 | 108,000円 |
楽天銀行 | 借入金額×1.08% |
住信SBIネット銀行 | 借入金額×2.16% |
じぶん銀行 | 借入金額×2.16% |
ローンの事務手数料は意外に高いことがわかりますね。
長引くゼロ金利政策の影響で銀行の預貸金利差は限りなくゼロに近くなっており、現在、銀行の業績を支えているのは住宅ローンとカードローンです。その中でも住宅ローンの事務手数料は、キャッシュで入る手数料として銀行にとっては重要な収入源なのです。
もったいないと思ってしまいますが、ローンを借りるためには避けては通れない費用であり、申込者=投資家が負担する費用であることに変わりはありません。銀行によって金額が異なるため、事前によく調べ、融資条件が同じであればローン事務手数料が低い銀行を選ぶことをおすすめします。
実際には、火災保険料は住宅ローンに含まれます(銀行の住宅ローンの審査項目に必ず火災保険に加入という条件が盛り込まれているため)が、ローンを組む際には火災保険料をしっかり把握しておきましょう。
ちなみに火災保険料は、建物の構造・床面積・建築年月・建築費用等によって異なり、契約する建物ごとに保険料が設定されます。そのため、具体的にいくらという目安は出せません。目安を知りたい場合は、保険会社に問い合わせましょう。
また、補償範囲によっても料金は変わってきます。
補償範囲 | 建物 | 建物の基礎部分(マンションの場合は共用部の保険) |
---|---|---|
屋上のTVアンテナ(マンションの場合は共用部の保険) | ||
付属のエレベーター(マンションの場合は共用部の保険) | ||
物置や車庫(マンションの場合は共用部の保険) | ||
門・塀(マンションの場合は共用部の保険) | ||
畳・ふすまなどの建具 | ||
備え付けのエアコン | ||
バスタブや流し台・ガスコンロなどの設備 | ||
家財 | 建物内の家具 | |
衣服等 | ||
貴金属 | ||
通貨・切手・印紙・証書など | ||
動物・植物 |
住宅のタイプや構造・耐震性・地盤・地域の特性などを考慮し、適切な補償の付いた火災保険を選ぶようにしましょう。加えて、地震などの災害が懸念される地域においては地震保険や家財保険も必要不可欠です。
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不動産仲介手数料とは、不動産会社を使って中古住宅を購入した場合に発生する費用で、
以下のように設定されています。
■仲介手数料の上限額
取引価格(税別) | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下の金額 | 5%以内の額(+消費税) |
200~400万円以下の金額 | 4%以内の額(+消費税) |
400万円を超える金額 | 3%以内の額(+消費税) |
たとえば、2,000万円の物件の場合、
A | 200万円以下の金額(200万円×5%) | 10万円 |
B | 200~400万円以下の金額(200万円×4%) | 8万円 |
C | 400万円を超える金額(1,600万円×3%) | 48万円 |
仲介手数料は、A+B+C=66万円となります。(税別)
中古住宅を購入する場合は、この仲介手数料と税金も初期費用として発生することを覚えておいてください。以下に、物件金額ごとの不動産仲介手数料と税金を示しましたのでチェックしておきましょう。
金額 | 不動産売買仲介手数料 | 税金 |
---|---|---|
2,000万円 | 660,000円 | 52,800円 |
2,500万円 | 810,000円 | 64,800円 |
3,000万円 | 960,000円 | 76,800円 |
4,000万円 | 1,260,000円 | 100,800円 |
5,000万円 | 1,560,000円 | 124,800円 |
ちなみに、デベロッパーから新築物件を購入する場合には、仲介手数料はかかりません。
また、司法書士費用の実費は以下の通りとなっており、3,000万円の物件の所有権保存登記 (新築建物等)の計算は以下の通りです。
3,000万円の物件の場合
項目 | 報酬額 | |
---|---|---|
所有権保存登記 (新築建物等) |
30,000円(課税標準額500万円以内、以後、500万円増える毎に5,000円加算) | 別途、登録免許税がかかる |
所有権移転登記 (売買・贈与) |
35,000円(課税標準額1000万円以内、以後、1000万円増える毎に5,000円加算) | 別途、登録免許税がかかる |
所有権登記名義人変更 (住所変更・氏名変更等) |
10,000円(不動産が一筆増える毎に5,000円加算) | 一筆につき1,000円 |
その他の不動産投資初期費用で考えられるのは会社設立費用です。
サラリーマンが副業でアパート・マンション経営を行う場合、会社を設立して法人化した方が有利になる場合が多いため、しっかり把握しておきましょう。
会社設立にかかる必要な費用の内訳は以下の通りです。
定款に貼る収入印紙代 | 4万円(電子定款の場合は不要) |
---|---|
定款の認証手数料 | 5万円 |
定款の謄本手数料 | 約2,000円 |
登記の際の登録免許税 | 15万円(資本金額×0.7%) |
合同会社の設立費用も以下に記します。
比較してみましょう。
合同会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
収入印紙代 ※電子定款の場合不要 |
4万円 | 4万円 |
公証人手数料 | – | 5万円 |
定款の謄本手数料 | 2,000円程度(1ページ250円) | 2,000円程度(1ページ250円) |
登録免許税 | 6万円 | 15万円 |
合計最適金額 | 6万円 | 約20万円〜 |
会社設立費用は、税理士法人などが会計や決算の契約を条件にサービスしている場合があります。また、ネットを利用した申込みなどで会社設立費用を大幅割引している行政書士も少なくありません。事前によく調べておきましょう。
不動産投資には多くの税金がかかります。
できれば少しでも節税したいものですが、実際には難しいです。
たとえば、不動産購入の売買契約書1通に対して課せられる印紙税・不動産登記にかかる登録免許税・家や土地を購入するか家屋を建築した際に課される不動産取得税・土地や建物など固定資産の価格から算定される固定資産税・都市計画税は必ず支払うべきもので、安くすることはできません。
以下、それぞれの税金の税率一覧です。
税の名称 | 税率 |
---|---|
印紙税 | 500万円超1,000万円以下→1万円・ 1,000万円超5,000万円以下→2万円など |
登録免許税 | 不動産登記 所有権保存0.4%・新築住宅0.15%・売買による所有権移転2%(土地は1.5%)・中古住宅0.3%・抵当権設定0.4%・新築住宅0.1%・中古住宅0.1% |
不動産取得税 | 住宅用・非住宅用の土地3%・建物住宅用3%・非住宅用4% |
固定資産税・ 都市計画税 |
不動産の所有 1.4%(標準税率) 不動産の所有 0.3%(制限税率) |
一方で、不動産の家賃・地代・権利金などにかかる不動産所得税と、不動産を売却した譲渡所得に課される譲渡所得税は節税することができます。
とくに、家賃・地代・権利金などにかかる不動産所得税は、経費や減価償却を増やして不動産所得を減らすことで減税が可能です。多くの場合、法人化してアパート・マンション経営を始めたサラリーマン不動産投資家は、多くの項目で経費計上が認められることに驚くはずです。
また、譲渡所得税は短期譲渡所得(5年以下)が39.63%(所得税30.63%・住民税9%)に対して、5年超の長期譲渡所得は20.315%(所得税15.315%・住民59%)、10年超の長期譲渡所得は14.21%~20.315%となっています。
つまり、売却時期を選ぶことで39.63%→20.315%→14.21%への節税が可能です。
不動産投資の初期費用には、投資のための自己資金に加えて様々な手数料や税金がかかります。おおよその計算で手数料や税金は新築の不動産購入額の4%~5%程度、中古の購入額の7%~8%程度の諸費用を用意する必要があります。
つまり、4,000万円の新築物件の場合は160万円程度・3,000万円の中古物件の場合は200万円程度の諸費用が想定されます。しかも、投資のための自己資金を加えると、4,000万円の新築物件の場合は少なくとも800万円程度の初期費用が、3,000万円の中古物件の場合は600万円程度の初期費用が必要です。
現在、銀行の不動産投資に対する融資は徐々に厳しくなっており、投資金額に対して20%~30%程度の初期費用を求める銀行も多くなっています。
やはり可能な限りは、自己資金は準備しておく方が安心でしょう。