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アパート経営 利益は出るのか?一括借り上げはどうなのか?

アパート経営 利益は出るのか?一括借り上げはどうなのか?のイメージ

アパート経営は、様々な形での利益をもたらしてくれます。日頃からのアパート経営に関する情報やノウハウの蓄積、入居者・管理会社とのコミュニケーション、建物・設備の点検・確認・維持・管理がベースになります。手間暇を掛けた分、アパート経営は軌道に乗りやすくなります。それでは手間暇を掛けない丸投げシステムである「一括借り上げ」の場合はどうなのか?も含めて、利益について解説します。

アパート経営の利益とキャッシュフローの違い

「儲かるか」、「儲からないか」は、「会計上の利益」と「キャッシュフロー」の2つの見方があります。

利益

「会計上の利益」は、家賃・駐車場収入から諸経費(管理費、修繕費、固定資産税、借入金利息、減価償却費など)を差し引いた金額です。

キャッシュフロー

「キャッシュフロー」は、家賃・駐車場収入から諸経費(管理費、修繕費、固定資産税、借入金利息)と借入金元金、税金(所得税、住民税、事業税)を差し引いた金額です。

①収入 家賃・共益費
駐車料・太陽光発電量など
②支出 諸経費 管理費
修繕費・清掃費
固定資産税・都市計画税
水道光熱費
火災・損害保険料
減価償却費 借入金利息
借入金返済額 借入金利息 借入金元金
税金 所得税
住民税
事業税
合計(①―②) 会計上の利益 キャッシュフロー

Δ利益とキャッシュフローの比較

「会計上の利益」と「キャッシュフロー」の違いは、収入から「減価償却費」を差し引くか、「借入金元金や税金」を差し引くかの違いです。

経年と共に利益が上がり、節税効果は低下

借入金返済の利息部分は経年により減少しますので、節税効果は低下します。
また、減価償却費も経年と共に減少しますので、節税効果は低下します。

木造アパートであれば22年、軽量鉄骨造アパートであれば、19年で償却されます。
また設備部分は約15年で償却されます。よって、築15年を経過しますと設備部分の減価償却費が無くなり、築19年~22年経過すると、軽量鉄骨造や木造アパートの建物部分の減価償却費も無くなります。

アパート経営の利回りと利益率(キャッシュフロー率)の違い

利回りは、投資金額の何%が収益になったかの割合です。
利益率(キャッシュフロー率)は、売上の何%が収益になったかを表す割合です。

利回り

利回りは、アパート購入金額や購入時諸経費といった投資金額に対して、家賃収入から必要経費などを差し引いた収益の割合です。

利回り計算には3種類ある

利回りの計算式には、簡易式から上記項目を全て加味した計算式まであります。主な利回りとして、表面利回り、実質利回り、ROI(投資収益率)があります。それらの計算式を挙げますと下記の通りです。

表面利回り = 満室賃料 ÷ 物件購入価格 × 100
実質利回り =(満室賃料―必要経費)÷(物件購入価格+購入諸経費)×100
ROI=(満室賃料―必要経費―ローン返済額)÷(物件購入価格+購入諸経費)×100

となります。投資物件情報の大半は表面利回りです。
上記計算式は満室賃料で計算されていますが、実際には満室状態が続くことはあり得ません。
実質利回りとROIについては空室率を加味して計算します。

実質利回り=(満室賃料―必要経費)÷(物件購入価格+購入諸経費)×(100-空室率)
ROI=(満室賃料―必要経費―ローン返済額)÷(物件購入価格+購入諸経費)×(100-空室率)

【事例1】
下記物件の表面利回り・実質利回り・ROIをそれぞれ計算
アパート購入金額:5,000万円、購入時諸経費:350万円、満室賃料:500万円、
必要経費:100万円、ローン返済額:250万円(ローン返済率:50%)、空室率:10%

表面利回り=500万円÷5,000万円×100=10%
満室賃料 購入金額

実質利回り=(500万円―100万円)÷(5,000万円+350万円)×100=7.5%
満室賃料 必要経費 購入金額 購入時諸経費

実質利回り=(500万円―100万円)÷(5,000万円+350万円)×(100-10%)=6.7%
(空室率考慮) 空室率

ROI=(500万円―100万円―250万円)÷(5,000万円+350万円)×100=2.8%
ローン返済額

ROI=(500万円―100万円―250万円)÷(5,000万円+350万円)×(100-10%)=2.5%
(空室率考慮) 空室率

利回りの使い方

3つの「利回り」の使い方の一つを紹介します。
投資家は物件購入判断の一つとして、「利回り」を使います。実際に使われているのは「表面利回り」だけか、せいぜい「実質利回り」までです。しかし、それだけで判断を下すのは早計です。

「ROI」まで検討しての判断が必要です。表面利回りと実質利回りの違いは、必要経費と購入時諸経費の有無です。実質利回りとROIの違いは、ローン返済額の有無です。ここで大半のケースが「必要経費×2<ローン返済額」となっているため、ローン返済額の影響が一番大きくなり、ROIでの判断が必要になってきます。

表面利回り・実質利回りは目安に、ROIは決め手に使います。
物件購入判断に至る利回りの使い方は下記の通りです。

利回り 作   業 件数の目安 備   考
表面利回り 物件購入候補の収集 20件~50件 「楽待」、「健美家」などの
物件検索サイトより収集
実質利回り 物件購入候補の選択 3件~5件 「必要経費」、「購入時諸経費」
を算入して選択
ROI 物件購入候補の決定 1件 「ローン返済額」を金利・
借入期間・自己資金を調整
しながら算入し、決定

Δ利回りの使い方(目安)

購入判断に至る利回りの目安

購入判断に至る利回りの目安としては、下表の通りです。大都市と大都市以外とでは、購入価格が違うため、あえて分けました。将来の空室・家賃下落をある程度想定しての利回りです。

利 回 り 地  域 利回りの目安
表面利回り 大都市 9%以上
大都市以外 11%以上
実質利回り
(空室率10%加味)
大都市 6%以上
大都市以外 8%以上
ROI
(空室率10%加味)
大都市 2%以上
大都市以外 3%以上

Δ中古アパート購入判断に至る利回りの目安

【事例2】
【事例1】のアパートの利回りによる投資判断をします。計算結果は下表の通りです。

利回り 算出利回り 投資判断利回りの適合性
大都市内 大都市外
表面利回り 10% >9%
<11%
不可
実質利回り
(空室率10%加味)
6.7% >6%
<8%
不可
ROI
(空室率10%加味)
2.5% >2%
<3%
不可

Δ3つの利回りによる投資判断

利回りの観点で考察しますと、このアパートが大都市内にある物件であれば、3つの利回りの投資判断目安を上回りますので、購入可となります。このアパートが大都市外にあれば、3つの利回りの投資判断目安を下回りますので、購入不可となります。

ここで注意することは、利回りが最優先項目ではないということです。最優先項目は「立地環境」であり、2番目に「価格・築年数」であり、3番目に「利回り」です。それらを総合的に勘案してのアパート購入が必要です。

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利益率(キャッシュフロー率:手残り率)

利益率(キャッシュフロー率:手残り率)は、家賃・駐車場収入といった売上に対する必要経費(管理費・修繕費・固定資産税など)やローン返済額を差し引いた収益の割合です。不動産業界では、慣例により「利益率」よりも「キャッシュフロー率」を使用するケースが多いので、ここでも慣例に倣い「キャッシュフロー率」を以下に使用します。

家賃収入に対するキャッシュフロー率

キャッシュフロー率は満室家賃収入の約20%前後となります。
エレベーター施設があると、必要経費は約25%を見込みます。管理形態を一括借り上げにしますと、委託管理費だけで約20%前後必要になりますので、さらにキャッシュフロー率は下がります。空室率は最低でも10%を見込みます。それらを図示しますと下図のようになります。

満室家賃収入
100%
キャッシュフロー率
(手残り率)
約20%
必要経費
(管理費、修繕費など)
約20%
空室率 約10%
ローン返済額
(元金+利息)
ローン返済率
約50%未満
に抑える

Δ家賃収入に対するキャッシュフロー率

必要経費・ローン返済額・空室率を抑えた分、キャッシュフロー率は上がります。管理形態を自主管理にすると管理費5%分が浮きます。ローン返済率を40%にすると、10%浮きます。空室率を0(満室)にしますと、10%浮きます。計25%浮かすことができ、キャッシュフロー率は45%となり、家賃収入の約半分が手残りとなり、実質利回りやROIの向上にも寄与します。

キャッシュフロー率から逆算して、投資必要額の計算方法

キャッシュフロー(手残り)がいくら欲しいのか目標設定額を決めますと、それに対して投資額がいくら必要なのかを想定しなければなりません。投資必要額の計算方法を、事例を通して説明します。

【事例3】
キャッシュフロー毎月50万円を得るために、必要な投資額は?(キャッシュフロー率:20%、表面利回り:10%のアパートと設定します。)

キャッシュフロー率は20%なので、必要になる家賃収入を求めますと、

必要月間家賃収入 = 50万円 ÷ 20% = 250万円

必要年間家賃収入 = 250万円 × 12か月 = 3,000万円

アパートの表面利回りは10%なので、投資必要額を求めますと、

投資必要額 = 3,000万円 ÷ 10% = 3億円

となります。

【事例4】
【事例3】のケースでもう少し、投資額を抑えたいので、管理費(5%)を自主管理にして無くし、キャッシュフロー率を25%に設定します。キャッシュフロー毎月50万円を獲得するためには?

必要月間家賃収入 = 50万円 ÷ 25% = 200万円

必要年間家賃収入 = 200万円 × 12か月 = 2,400万円

投資必要額 = 2,400万円 ÷ 10% = 2億4,000万円

となります。自主管理をすることで投資必要額は、3億円から2億4,000万円になりました。

【事例5】
【事例4】のケースよりも、さらに投資額を抑えたいので、管理費(5%)を自主管理にして無くし、ローン返済率を、自己資金を増やして50%から40%に低下させ10%浮かします。計15%改善し、キャッシュフロー率を35%にします。キャッシュフロー毎月50万円を獲得するためには?

必要月間家賃収入 = 50万円 ÷ 35% = 143万円

必要年間家賃収入 = 143万円 × 12か月 = 1,716万円

投資必要額 = 1,716万円 ÷ 10% = 1億7,160万円

となります。自主管理をし、自己資金を増やしてローン返済率10%を下げると、
投資必要額が3億円から1億7,160万円になりました。
【事例3】、【事例4】、【事例5】をまとめますと、下表の通りです。

条   件 キャッシュフロー率
(手残り率)
必要家賃収入 投資必要額
(表面利回り10%)
月間 年間
管理費(5%)
空室率(10%)
ローン返済率(50%)
20% 250万円 3,000万円 3億円
管理費(0%):自主管理
空室率(10%)
ローン返済率(50%)
25% 200万円 2,400万円 2億4,000万円
管理費(0%):自主管理
空室率(10%)
ローン返済率(40%)
35% 143万円 1,716万円 1億7,160万円

Δキャッシュフロー(手残り)毎月50万円獲得に必要な投資必要額・家賃の目安

計算結果の投資必要額は1棟の金額ではなく、数棟合わせた投資額となります。手間暇を掛けて必要経費やローン返済額を減少させることによりキャッシュフロー率が上がり、目標とするキャッシュフロー(手取り)を獲得するための投資必要額は下がります。

アパート経営におけるキャッシュフローの解説

キャッシュフローは収入と支出の差額の手残りです。 アパート経営の成功の鍵は、キャッシュフローをいかに増やすかという点です。

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ROI(投資収益率)の計算式の分析

ここで、計算式に含まれる必要経費、ローン返済額、物件購入価格、購入時諸経費をそれぞれ分析します。
まず、必要経費、購入時諸経費は下表の通りです。

必要経費(毎年出費) 購入時諸経費(購入時出費)
管理費(管理業務委託費) 測量費・境界明示費(無い場合)
固定資産税・都市計画税 不動産取得税・登録免許税・印紙税
修繕費・清掃費
火災・損害保険料(毎年払いの場合) 火災・損害保険料(一括払いの場合)
広告宣伝費・賃貸仲介料
(通常家賃1~2か月分)
広告宣伝費・売買仲介料
(通常購入価格の3%)
税理士報酬(確認申請作成費) 司法書士報酬(登記手続き)
資料費・消耗品費 資料費・消耗品費
接待交際費・交通費 接待交際費・交通費
水道光熱費(共用部分)

Δ必要経費・購入時諸経費

実質利回り・ROIを良くするために、必要経費・購入時諸経費を抑えることが大切です。例えば自主管理を行なうことにより、管理費(約5%)を浮かすことが出来、利益を向上させることができます。

ローン返済額については、できるだけ少なくすることが、利益やキャッシュフロー、ROIの改善に寄与します。また、ローン返済率は、満室家賃収入に対するアパートローン返済額の割合です。自己資金投入による返済額の縮小は、キャッシュフロー率、ROIの改善に寄与します。

ローン返済率 安全度合
40%未満 優(安全)
40%以上~50%未満 良(注意)
50%以上~55%未満 可(警告)
55%以上 不可(危険)

ローン返済率と安全度合

ローン返済率の違いによるキャッシュフロー率の違いは下表の通りです。

ローン返済率40%50%60%40%50%60%
必要経費 管 理 費 一般管理委託 自主管理
5% 0%
修繕費・清掃費 15%
水道光熱費
火災保険料
固定資産税
都市計画税
空 室 率 10%
ローン返済率+
必要経費+空室率
70%80%90% 65% 75% 85%
キャッシュフロー率
(手残り率)
30% 20% 10% 35% 25% 15%

Δローン返済率とキャッシュフロー率の関係

ローン返済率、管理費を主とした必要経費、空室率を抑えた分がキャッシュフロー率(手残り)に上乗せされます。

物件購入価格・築年数

どのアパートを投資対象にするのか?購入価格・築年数は、2番目の優先項目となります。

優先順位 検討項目 影響事項
1位 立地・環境 家賃・入居率
2位 購入価格・築年数 利回り・金融機関融資
3位 利回り キャッシュフロー・金融機関融資

Δアパート購入時検討項目の優先順位

不動産価格の算出方法には、取引事例法、積算法、収益還元法の3方法があります。

算出方法 使用対象不動産
取引事例法 居住用不動産
積算法 居住用不動産
投資用不動産
収益還元法 直接還元法 投資用不動産
DCF法

Δ不動産価格の算出方法

金融機関がアパートの融資査定を行う際、価格算出方法に用いるのは、積算法と収益還元法です。

取引事例法

取引事例法は、検討するアパートと条件が近いアパートの過去の成約事例を選択し、平均坪単価を計算します。検討するアパートの面積に、計算した平均坪単価を掛けて価格を算出します。その価格を基に、立地、建物保全状態、周辺環境要因、方角などの補正を加えた価格を算出します。居住用不動産の査定方法に使用されます。

積算法

積算法は、不動産(土地・建物)の担保評価から不動産価格を計算します。土地は路線価を基にして、建物は再調達価格を基にして計算し、それぞれの評価価格を算出します。それらを合算し、不動産の評価価格とします。

① 土地の積算評価
土地の評価額を出す路線価は、住所がわかれば国税庁のWEBサイトから1㎡当たりの評価額を知ることができます。路線価の単位は千円/㎡です。 ※1

土地価格=土地面積(㎡)×路線価(㎡)

② 建物の積算価格
建物の評価額を出す再調達価格は、建物を建てる場合の1㎡当たりの建築費用で、国税庁のWEBサイトに記載されている数値を使います。 ※2

建物価格=再調達価格(円/㎡)×延床面積(㎡)×(法定耐用年数―経過年数)÷法定耐用年数

よって、アパート評価額は、

アパート評価額 = 土地価格 + 建物価格

となります。築年数の短い建物が評価され、築年数の長い建物は評価されにくくなります。

【事例6】
中古アパートの購入検討中であり、積算法により評価額を計算します。土地・建物の条件は下記の通りです。
土地面積:300㎡、路線価:200千円/㎡、建物延床面積:350㎡、建物構造:木造・築15年、
再調達価格:152.1千円/㎡(国税庁WEBサイトより ※2)

土地価格 = 300㎡ × 200千円/㎡ = 6,000万円

建物価格 = 350㎡ × 152.1千円/㎡ ×(22年―15年)÷ 22年 = 1,694万円

アパート評価額 = 6,000万円 + 1,694万円 = 7,694万円


収益還元法

収益還元法は、不動産の収益性に着目し、アパートが生み出す利益(家賃収入―必要経費)を還元利回りで割り、アパート価格を計算する方法です。直接還元法とDCF法の二種類があります。

① 直接還元法

直接還元法は、ある期間の純利益と還元利回り(想定利回り)からアパート価格を計算する方法です。

アパート価格 = 年間純利益 ÷ 還元利回り(想定利回り)(%) × 100

純利益は、年間家賃収入から必要経費(管理費、修繕費、固定資産税、火災保険料など)を差し引いて計算します。必要経費率は、年間家賃収入の約20%前後となります。還元利回りは、純利益から不動産価格を算出するときに使用する利回りで、キャップレートともいいます。還元利回りは2方法で算出され、一つは周辺の類似するアパートの利回りなど、取引事例を参考にして計算します。もう一つは、不動産会社が公表する利回りデータを参考にします。還元利回りを計算することは困難なため、通常は還元利回りを代用して想定利回りが使われます。大手不動産投資WEBサイトなどで地域ごとの想定利回りが公表されています。これを利用してアパート価格を計算します。 ※3

【事例7】
東京都新宿区の中古アパートの購入検討中であり、直接還元法により評価額を計算します。アパートの条件は下記の通りです。
年間家賃収入:500万円、必要経費率:20%、想定利回り:5.6%(※3より、2019年10月時点)

必要経費 = 500万円 × 20% = 100万円

純利益  = 500万円 - 100万円 = 400万円

アパート評価額 = 400万円 ÷ 5.6% × 100 = 7,143万円

となります。ちなみに東京都八王子市の想定利回りは、8.2%(※3より)です。
上記と同じ中古アパートにて計算しますと、アパート評価額は、4,878万円となります。

② DCF法

DCF法は、Discounted Cash Flowの略です。将来に得る利益と売却価格から現在価値に割引き、アパート価格を計算する方法です。アパートは所有期間が長いほど、様々なリスクにさらされます。将来手に入る金額を、現在手に入るとしたら、いくらの価値があるかを割引いて算出します。現在価値に割引いた後の金額を割引現在価値といい、価値を割引くときの利率を割引率といいます。
割引現在価値の計算式は下記の通りです。

V = Vn/(1+r)n

V:割引現在価値、r:割引率、n:所有期間、Vn:n年後の売却価格

例えば、今すぐに手に入る100万円と1年後に手に入る予定の100万円があるとします。同じ100万円ですが、今すぐに手に入る100万円は、1年後までに運用で増やすこともできます。1年後に手に入る予定の100万円は、未来に手に入るため不確定ですので、価値が低くその分割り引いて評価するという考え方が、DCF法です。DCF法の計算式は次のようになります。

C = a/(1+r)+a/(1+r)2+ … +a/(1+r)n+Cn/(1+r)n

C:不動産価格、a:初年度純利益、r:割引率、n:所有期間、Cn:n年後の売却価格

【事例8】でDCF法によるアパート評価額を計算します。

【事例8】
【事例7】で検討した東京都新宿区にある中古アパートを5年後に5,000万円で売却する計画を立てました。年間家賃収入:500万円、必要経費率:20%とすると、経費は100万円、純利益は400万円となります。銀行で5年間の定期預金をした場合、1%の金利が付くとしますと、割引率も1%と設定します。
  1年後の 純利益の割引現在価値は、  4,000,000 ÷ (1+0.01)1 =  3,960,396
  2年後の 純利益の割引現在価値は、  4,000,000 ÷ (1+0.01)2 =  3,921,184
  3年後の 純利益の割引現在価値は、  4,000,000 ÷ (1+0.01)3 =  3,882,360
  4年後の 純利益の割引現在価値は、  4,000,000 ÷ (1+0.01)4 =  3,843,921
  5年後の 純利益の割引現在価値は、  4,000,000 ÷ (1+0.01)5 =  3,805,862
  5年後の売却価格の割引現在価値は、 50,000,000 ÷ (1+0.01)5 = 47,573,284

となります。よって、DCF法によるアパート評価額は、

アパート評価額 = 3,960,396+3,921,184+3,882,360+3,843,921+3,805,862+47,573,284
         = 66,987,007(円)

となり約6,700万円の評価額となります。割引率を考慮せずに計算しますと、

アパート評価額 = 4,000,000×5+50,000,000 = 70,000,000(円)

となり、3,012,993円、4.3%の差が生じます。

現在の日本では低金利が続いているため、それほど大きな差は生じません。しかし、金利が上昇すれば割引率も大きくなり、アパート評価額の差が大きくなります。例えば、割引率が3%になりますと、アパート評価額の差は10%以上になります。

アパート経営の利益を上げるために必要なこと

アパート経営初心者が、気軽に一括借り上げの採用を検討する場合があります。
しかし、大きな落とし穴があることを薄々気付いていながらも手を出す人が後を絶たず、
後日後悔する人が多いのも事実です。

一括借り上げはしない

一括借り上げのメリット・デメリットを見てみます。

メリット デメリット
① 空室リスクや家賃滞納リスクを回避 ① 高い委託料(家賃収入の20%前後)が必要
② 入居者トラブルに関わらなくて済む ② 入居者選定ができない
③ 建物・設備不具合に関わらなくて済む ③ 契約更新時に家賃値下げの可能性有
④ アパート経営能力が育たない
⑤ 一括借り上げ会社と訴訟になる場合が多い

Δ一括借り上げのメリット・デメリット

一括借り上げは、アパート経営を一括借り上げ会社に丸投げする手法ですので、大家は現在の入居率や入居者状況、建物・設備の不具合を全く把握しないようになります。

大家がアパート経営について何もわからない状態のままにしておくことで、一括借り上げ会社の言いなりにすることができます。それが一括借り上げ会社の狙い(本音)です。

例えば入居率が落ちてくると、契約更新時に急に家賃値下げを納得できる理由もなく要求してきます。また、しなくてもよいリフォーム工事を急に要求してきます。それは、一括借り上げ会社が単なる売上を上げたいがための身勝手な理由です。

大家は一括借り上げを採用したことに対して後悔することになります。

管理は自主管理

アパート経営の成功者は自主管理することにより、入居者とのコミュニケーションを大切にし、建物・設備管理を自ら点検・確認することで、アパート経営能力を培っています。

成功者は決して一括借り上げを採用していません。逆に言えば、一括借り上げを採用した時点で、アパート経営の成功はあり得ないといえます。

理由は、アパート経営能力を培っていない大家は成功者とはいえないからです。さらに言えば、一括借り上げを採用して後々の揉め事に関わる位なら、アパート経営をしない方が賢明ともいえます。

自主管理と一括借り上げを比較

自主管理と一括借り上げを比較して、キャッシュフロー率(手残り率)の違いを見てみます。

ローン返済率 40%50%60%40%50% 60%
必要経費管理費 自主管理 一括借り上げ
0% 20%
修繕費・清掃費 15%
水道光熱費
火災保険料
固定資産税
都市計画税
空室率 10% 0%(家賃保証)
ローン返済率+
必要経費+空室率
65% 75% 85% 75% 85% 95%
キャッシュフロー率(手残り率)
空室率(10%)の場合
35% 25% 15% 25% 15% 5%
キャッシュフロー率(手残り率)
空室率(0%)満室状態の場合
45% 35% 25%

Δ自主管理と一括借り上げのキャッシュフロー率(手残り率)の比較

一括借り上げですと、満室であろうが空室であろうが、キャッシュフロー率(手残り率)は変わりません。自主管理ですと、満室になるとキャッシュフロー率は格段に上がります。一方、入居率が80%(空室率が20%)を下回りますと、一括借り上げの方が有利になります。しかし一括借り上げのリスクは、上記にもあるように入居率が下がると一括借り上げ会社は一方的に家賃値下げを要求してきます。結局入居率が下がることによるリスクは自主管理と同じといえます。

アパート経営は節税効果の利益有

相続税、所得税、住民税、事業税の節税効果があり、間接的な利益を見込めます。

相続税の節税効果

相続税は、2015年(平成27年)1月1日より相続税法が改正され、それに伴い増税されました。
国税庁は、毎年相続税の申告状況のデータを発表しています。

相続税の申告実績※4

2014年
平成26年
2015年
平成27年
2016年
平成28年
2017年
平成29年
①被相続人(死亡人数) 1,273,004人 1,290,444人 1,307748人 1,340,397人
②課税対象被相続人 56,239人 103,043人 105,880人 111,728人
課税割合(②÷①) 4.4% 8.0% 8.1% 8.3%
全体 課税価格 11兆4,766億円 14兆5,554億円 14兆7,813億円 15兆5,884億円
納税額 1兆3,908億円 1兆8,116億円 1兆8,681億円 2兆185億円
1人当たり 課税価格 2億407万円 1億4,126万円 1億3,960万円 1億3,952万円
納税額 2,473万円 1,758万円 1,764万円 1,807万円

Δ相続税の申告実績 国税庁 ※4

改正前年までは、4.4%の被相続人に課税されていましたが、改正後には8.0%と約2倍の被相続人に課税されるようになりました。その後年々、課税割合、相続税納税額は増加しています。

相続税法改正により、基礎控除額が4割減少したことに起因して課税対象者が増加しました。

時期改正前 改正後
~2014年12月31日 2015年1月1日~
基礎控除額 5,000万円+法定相続人数×1,000万円 3,000万円+法定相続人数×600万円
【事例9】
法定相続人
妻:1人
子:2人
計:3人
基礎控除額
=5,000万円+1,000万円×3人
=8,000万円
基礎控除額
=3,000万円+600万円×3人
=4,800万円

Δ相続税法改正前後の基礎控除額

相続税の節税効果

土地の相続税評価は路線価方式で評価され、地価公示価格の約80%の価格となります。さらに土地にアパートを建て賃貸すると貸家建付地評価となり、土地評価額はさらに約20%(借地権割合×借家権割合)下がります。

建物の相続税評価は固定資産税評価が使われ、一般的に建築工事費の50%~60%の評価になります。さらにアパートのように賃貸されている場合、建物の相続税評価額は30%(借家権割合)下がり、70%の評価となります。

以上をまとめますと、下表の通りです。

土地の相続税評価 建物の相続税評価
評価方式 路線価方式
(80%)
固定資産税評価
(50~60%)
賃貸物件の場合 貸家建付地評価(約20%)
(借地権割合×借家権割合)
借家権割合
(30%)
合計 80%×(100-20%)
=64%
50%~60%×(100-30%)
=35%~42%

Δアパート(賃貸物件)の場合の土地・建物の相続税評価

土地、建物を合わせて相続税評価は約50%になります。現金・有価証券の相続税評価は100%となりますので、この差は歴然です。

所得税・住民税・事業税の節税効果

アパーローン返済初期は、

利息 > 元金 、 減価償却費 > 元金

となりますので、

利息 + 減価償却費 > 利息 + 元金
  (課税所得上の経費)   (実際のローン返済額)

となります。したがって、課税所得はマイナスとなり、キャッシュフローはプラスになるという現象が生じ易くなります。不動産所得がマイナスになれば、給与所得のプラス分と損益通算できますので、課税所得(不動産所得+給与所得)を抑えることができます。よって、所得税・住民税・事業税の節税となります。このことが、サラリーマン大家の増加の一因ともなっています。

まとめ

冒頭でも述べましたように、アパート経営は様々な形での利益をもたらしてくれます。それは、立地・環境、購入価格・築年数、利回りを熟慮した上でのアパート購入に始まり、高い入居率、建物・設備の維持管理というアパート経営ができた上での効果です。一括借り上げという丸投げシステムを採用することなく、少しでも入居者や建物・設備に手間暇をかけることにより、アパート経営を成功に導かれることをお勧めいたします。

出所
※1 「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」 国税庁
※2 「【参考2】1.建物の標準的な建築価格表(単位:千円/㎡)」 国税庁
※3 「見える!賃貸経営 東京都の賃貸経営、アパート・マンション経営の市場分析、空室率」LIFULL HOME’S 不動産投資
※4 「平成29年分の相続税の申告状況について」 国税庁

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