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不動産の契約時には印紙税と登録免許税がかかり購入時には不動産取得税が課されることに始まり、不動産投資に関わる税金は両手の数ほどもあります。
つまり、常に不動産投資は高額な税金と隣り合わせですから、税金についての知識や節税の知識が投資のパフォーマンスに大きな影響を与えます。
そこで、今回は不動産投資に関する知識と節税知識を深堀します。
これらを少しでもお考えなられたことがあるなら、当ページがお役に立つと思います。
所得がある人は所得税を納めなければならないことは小学生でも知っています。
ところが、サラリーマンが副業で不動産投資を行なった場合に、不動産所得にマイナスが出た時に給与所得と合算して損益通算できるということを知らない人は意外に多いのです。
そして、家賃収入などの不動産所得からは固定資産税や修繕費・火災保険料など多くの経費を差し引くことができますし、加えて減価償却と青色申告特別控除など実際に出費していなくとも費用として計上できる制度があり活用すると節税効果を得られます。これらをまとめると以下の通りです。
1年の所得合計=給与所得-不動産所得(不動産所得がマイナスの場合)
不動産所得 =家賃収入などの不動産収入-必要経費
必要経費 =固定資産税+修繕費+火災保険料+・・・+減価償却+青色申告特別控除
そして、もう1つの不動産投資節税の側面は相続税の節税効果で、遺産相続時に計算される不動産の価値は現金よりも低く計算されるということです。
つまり、1億円の現金は1億円として計算されますが、1億円の価値のある不動産は最大で3分の1程度まで圧縮できる場合があります。
ここではもう少し具体的に不動産投資節税の仕組みを見ていきますが、その前に上記の必要経費には以下の費目が含まれます。ですので、小まめに関連する領収書を残しておくことが大事です。
租税公課 | 損害保険料 |
減価償却費 | 修繕費 |
借入金利息 | 管理費 |
交通費 | 広告宣伝費 |
通信費 | 新聞図書費 |
接待交際費 | 消耗品費 |
税理士費用 |
不動産投資節税の仕組みで大事なポイントの1つ目は減価償却で、減価償却とは高額で長期間、利用できるものを数年・数十年で少しずつ経費計上する仕組みを意味します。
例えば、償却期間が20年の物件を2,000万円で購入した場合の減価償却費は2,000万円÷20年=100万円となります。
上記の様に減価償却費は実際に毎年支払っている訳ではありませんが、帳簿上は毎年、経費として計上できるため現金収支はプラスでも赤字計上することが可能で不動産投資節税の重要なポイントと言えます。
不動産投資節税の仕組みで大事なポイントの2つ目は相続税で、相続税の節税目的として不動産投資は最適と言えます。
なぜなら、土地と建物の相続税評価額が現金よりも低くなるからです。
例えば、3,000万円の現金の評価額は3,000万円ですが、評価額が約70%の不動産の場合の評価額は以下の通りです。
不動産評価額=3,000万円×70%=2,100万円
上記の様に現金では3,000万円の評価額ですが、不動産の場合の評価額は2,100万円となり相続税の評価額を900万円減らすことができます。
ここでは勤務が多忙なサラリーマンと勤務医の不動産投資による節税メリットを考えます。多忙なサラリーマンと勤務医にとり不動産投資は好都合の副業と言えます。
その理由の1つ目は不動産投資は投資にかける時間が少なくてすむことです。
例えば、株式のネットトレードの場合は常にパソコンかスマホを見る必要がありますが、不動産価格は毎日変動する訳ではありません。
また、物件の決定やローンの申し込みなどの重要な契約を終えれば、後の入居者の募集や賃貸の集金・物件の管理などは不動産管理会社に委託することができます。
2つ目の理由は損益通算で課税所得を減らせることです。例えば、不動産所得で赤字(損失)が出た場合は給与所得からその損失分を損益通算し控除することができます。
しかも、不動産所得で赤字(損失)が出た場合でも、必ずしも実損が出たわけではありません。
減価償却費や経費として認められた固定資産税や修繕費用・ローンの利息分などが控除できますし、青色申告であれば特別控除も適用することができます。
これらの経費が不動産所得を上回る年度は、損失分を給与所得から損益通算し控除することができます。
不動産投資の節税の効果を高めるには税制に関する知識が不可欠ですが、それと共に適切な当局への申告を行う必要があります。
そのためには、まず、以下の届け出を行なうことが先決です。その上で毎年の確定申告に臨むことになります。
ここではアパート・マンション経営の節税効果について、実例に基づいて考えていきます。
年収500万円のサラリーマンAが年間300万円の不動産収入を得た場合
年収500万円のサラリーマンAが年間300万円の不動産収入を法人化した場合
年収500万円のサラリーマンAが年間300万円の不動産収入を法人化し、さらに、300万円の不動産収入を他に所得のない役員3人にそれぞれ100万円ずつ役員報酬として支払った場合
上記ケース1とケース2の違いはサラリーマンAが副業としてアパート・マンション経営した場合と副業を法人化した場合の節税額を示しています。
さらに、ケース3は法人化して法人の不動産収入を人件費として他に所得のない役員3人に支払った場合の節税額を示しています。
つまり、アパート・マンション経営の節税効果は法人化すること、さらに、法人の不動産収入を人件費として支払うことで高まることが解ります。
もちろん、人件費に見合う働きを求めることは言うまでもありませんが、この方法は節税できるだけではなく身内や知人に報酬を支払うこともできる訳です。
所得税
課税所得 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
法人税
資本金規模 | 所得金額 | 税率 |
---|---|---|
1億円超 | – | 23.4% |
1億円以下 | 800万円超 | 23.4% |
1億円以下 | 800万円以下 | 15.0% |
1億円以下 | 赤字 | 0 |
まず、経費計上は次のページの経費として認められる主な費目を適切に計上することが大事ですが、日々の活動の中では金銭出納帳を付けることと領収証を残すことが求められます。
特に、領収証はとりあえず何でも残しておけば後で使えることも多いのです。次に減価償却については以下の通りです。
もともと、減価償却とは不動産の様な高額かつ長期にわたって利用できるものを、数年・数十年にわたり少しずつ経費計上する仕組みを意味します。
例えば、償却期間(分割して経費計上する期間)が20年の物件を1,200万円で購入した場合の減価償却費は以下です。
減価償却費=1,200万円÷20年=毎年60万円
最後に損益通算の計算例は以下の通りです。
年収700万円のサラリーマンが副業の不動産投資で減価償却や経費計上により100万円の赤字になったケースです。
所得税額=給与所得-不動産所得×税率-控除額
772,500円=700万円-100万円×0.20-427,500円
減価償却費 | 建物、設備、構築物、リフォーム工事など |
管理費 | 建物管理会社への管理費、修繕積立金 |
修繕費 | クロスの張替、ペンキの塗替、畳の取替など |
各種税金 | 固定資産税、登録免許税、不動産取得税、事業税 |
税理士手数料 | 火災保険・地震保険・賃貸住宅費用補償保険 |
損害保険料 | |
ローン返済額利息部分 | |
接待交際費 飲食費 | 管理会社や税理士との打ち合わせに使用したもの |
交通費 | 運賃、ガソリン代、駐車場、車検費用 |
新聞図書費 | 不動産や税金に関する書籍の購入費 |
通信費 | 通話料、通信料、郵便代 |
消耗品費 | 物件撮影に用いるデジカメ・パソコン |
青色事業専従者給与 | 同居する家族に対して支払う給与(青色申告者のみ) |
不動産投資にかかる節税の情報はネット情報サイトが最も手軽ですが、テーマを絞り込むには解説本を読むことも勉強になります。
1冊の不動産投資の解説本には一人の作家の経験や研究に基づく論旨が述べられていますし、本は値段も手ごろで情報収集や勉強方法としてのコストパフォーマンスは一番です。
以下、最近の不動産投資節税関連本の中から人気の本を選びました。
節税関連 | 大家さん税理士が教える「不動産投資で効率的にお金を残す方法」~9割の大家さんが知らない!アパマン投資の数字のカラクリ~ 叶温著 |
ちょっと待った!!大家さん!不動産投資では賢い節税がたんまりお金を残す秘訣です!! 夫馬竜司著 | |
大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書 渡邊浩滋著 | |
不動産投資のお金の残し方 裏教科書 税理士大家さんがコッソリ教える 石井彰男著 | |
相続税関連 | 相続税・贈与税 土地評価実務テキスト (~基礎から具体的な減価要因の見極め方まで~) 鎌倉靖二著 |
自分でできる相続税申告 福田真弓著 |
もう1つは専門家のシミュレーションから不動産投資節税情報を得る方法も考えられます。
ネットでは不動産投資に関する無料シミュレーションを多くのサイトが手掛けています。以下に主な無料シミュレーションサイトを紹介します。
また、税理士事務所でも各種シミュレーションを無料で行っている事務所があり、これらを活用して節税のノウハウや情報を得ることができます。
しかも、費用がリーズナブルな良い税理士事務所が見つけられれば一石二鳥と言えます。
不動産投資の節税情報を見ますと「海外の不動産投資は節税になるのか?」という多くの問い合わせがあることに気が付きます。
そこで、ここでは海外不動産投資にかかる税金の基本的な考え方について触れておきます。
海外不動産投資にかかる税金の基本的な考え方の1つ目は、当然、現地で税金を納める必要があるということです。現地の法律に従い現地で税金を納めなければなりません。
基本的な考え方の2つ目は外国税額控除という制度があり、海外と国内で二重課税になることはありません。
そのため、海外不動産投資の場合でも国内での確定申告は必要で、海外での収入と国内所得を合算して課税されることになります。
ですので、海外所得がマイナスになった年度は国内所得から差し引かれますから、課税所得が減り節税になる訳です。
ただ、海外で得た所得の割合によっては差し引くことができる海外の税金は制限されます。仮に控除しきれない海外での納税額があれば、所得税と住民税からも差し引き残った分は最大3年間繰り越すことができます。
一方で現地国の税制によっては節税できない場合もありますし、仮に節税できたとしても為替の問題もあります。つまり、海外の不動産投資は節税になる場合もありますがケースバイケースだということになります。
不動産投資による節税の落とし穴の1つ目は減価償却費や経費計上で所得を減少させることができたとしても、不動産を売却するタイミングで大きな売買損を出しては元も子もないということになります。
つまり、当初の物件選択や出口戦略を誤った場合は節税分など吹っ飛んでしまうこともあるということです。
節税の落とし穴の2つ目は現在の東京の不動産価格の様に、数十年後にアパートを売却すると売買益が出る場合も出てきます。つまり、それまで毎年、減価償却費として計上した金額分が譲渡所得となり課税対象となってしまいます。
また、購入してから5年以内の「短期譲渡」という売却に関しては、通常の譲渡税(20.315%)の倍に近い税率(39.63%)が課せられます。
節税の落とし穴の3つ目は相続税の節税の場合です。
前の項でも説明しましたが現金を不動産に変えることで相続税の節税になりますが、無理な不動産購入により将来の負債が発生する可能性もあります。
例えば、地方や郊外にアパートを建てたのは良いですが、常時、空室に悩まされることもあるのです。これでは本末転倒と言わざるを得ません。
不動産投資で節税を考える場合のジレンマと言えるのは不動産投資で大きな利益が出た場合です。
つまり、利益が出る物件を購入すれば利益が出た分だけ税金を納めなければなりませんから、儲かる不動産投資は節税にはならないということになり反対に節税効果の高い物件ほど儲からない物件と言うこともできます。
また、副業としてアパート・マンション経営するのと、アパート・マンション経営を本業でやるのとでは税金に対する考え方も異なります。
ですので、不動産投資において最も節税の恩恵があるパターンとしては、サラリーマンや勤務医が副業でアパート・マンション経営を行なう場合と言えます。
しかも、そのアパート・マンションは減価償却程度の経年劣化が起きていることが前提になっています。
ここまで述べてきました様に不動産所得が赤字の時は、給与所得と損益通算し確定申告時に課税所得を減らして節税効果が得ることができます。
しかしながら、ずっと不動産所得が赤字という状態は、不動産投資本来の目的である家賃収入で長期安定的な黒字化を目指す目的と矛盾します。
つまり、不動産投資の優先順位はあくまでも不動産投資自体の黒字化であって、不動産投資で節税が本来の目的ではありません。
ですから、不動産投資の様々なシチュエーションや状況の中で、節税できるチャンスがあればその時に賢く節税するというスタンスが最適と言えます。
いずれにしても、不動産投資には知識や情報が不可欠ですが、不動産投資節税に関する知識や情報も重要な要素と言えます。