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不動産市場の過熱感が指摘されてからしばらく経ちますが、昨年来、スルガ銀行不正融資事件の影響もあり不動産投資ローンに対する審査が厳しくなっていると言われています。そこで、今回は現状の融資状況を探りつつ「融資はいくらまで受けられるのか?」という疑問に対してさまざまな角度から検証を加えます。
これらを少しでもお考えなられたことがあるなら、当ページがお役に立つと思います。
現在、各金融機関は積極的な新規融資推進を中断している状況にあると言えます。
まず、メガバンクは審査が規定どおり適正に行われているのか、自行の営業現場をチェックしています。したがって、各行の営業現場では従来よりも時間をかけて審査内容をチェックしています。また、現地調査や不動産業者への聞き取りなど増やしながら、物件の査定を厳密に行っているということです。
また、金融庁の検査が控える地銀各行は金融庁の指示・指導を参考にしながら、貸付債権の内容や融資の審査体制の点検に入っています。加えて、これまで不動産投資ローンに積極的だった地銀の中には、実質的に新規ローンを停止しているところも出てきています。
一方で、これまで不動産投資ローンに消極的だった地銀が細々と融資を行っているということです。いずれにしても、不動産融資の申し込み審査をパスするまでの時間は、今までよりも多くの時間がかかっていることは間違いありません。
スルガ銀行不正融資事件 | 不動産オーナーの資産状況を改ざんするなど投資用不動産への不適切な融資を実施 |
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スマートデイズ社問題 | 30年一括借り上げを掲げていた女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」のサブリース賃料の支払いを2018年1月頃から停止 |
レオパレス21問題 | 同社が開発・販売した物件の施工不良が多数発覚 |
TATERU問題 | アパート経営プラットフォーム事業で同社社員が顧客の預金残高を改ざんしていたことが判明 |
不動産投資ローンの融資額は、おもに以下3点をポイントに決められます。
副業で不動産投資を始めるサラリーマンが増えていますが、 そのほとんどはローンでレバレッジを効かせた不動産投資を考えています。
つまり、不動産投資を始めるにあたり「融資はいくらまで受けられるのか?」ということは重要な命題なのです。
現在の一般的な傾向で言うと、金融機関の融資に対する姿勢は厳しくなっていることは否めませんが、全く融資の道が閉ざされているわけではありません。
一般的な個人に対する不動産投資ローンの申込み基準としては、申込者の年収の20倍程度がひとつの目安となっており、これぐらいであれば「NO」を突き付けられることは考えにくいと言えます。
例えば、年収500万円のサラリーマンの不動産投資ローンの限度額は1億円ということになります。もちろん、金融機関の融資基準の全てに合致していた場合に限りますが・・・
自営業者の場合は年商やビジネススタイルなどの評価に加えて数字には表れない人物評価が加味されます。融資担当者が人物像をしっかり評価することでビジネスへの取り組み姿勢は真面目なのか、大家業を継続的に行えるのかなどを評価します。
仮に5,000万円の融資を希望する属性評価に差の無い申込者が3人いるとして、Aさんの自己資金はゼロ・Bさんの自己資金は500万・Cさんの自己資金は1,000万としますと、当然のことながら融資の優先順位はCさん>Bさん>Aさんとなります。
投資対象の不動産には担保価値がありますからローンを利用する際には購入物件が担保となります。つまり、担保がありますから金融機関から見ると自己資金は関係ないようにも見えますが、金融機関としては当初の契約通りの契約期間を満了し完済して欲しいわけです。
そのため、自己資金が多い方が返済の継続性が長く完済の可能性が高まることから、融資限度額が高くなる傾向があります。
一般的に不動産投資ローンの金利は審査のクレジットポイントによって決められます。
つまり、属性審査や物件評価が高くクレジットポイントが高い場合は低い金利で融資限度額は多くなりますが、クレジットポイントが低い場合は割高な金利で融資限度額は少なくなります。
それは、金利や期間によって返済額が変わるからで、クレジットポイントが高い場合はより低い金利で多額の融資を受けることができるわけです。
以下、金利と期間による返済額の違いを一覧にしました。
15年 | 20年 | 25年 | 30年 | |
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2.5% | 133,357円 | 105,980円 | 89,722円 | 79,023円 |
3.0% | 138,116円 | 110,919円 | 94,842円 | 84,320円 |
3.5% | 142,975円 | 115,991円 | 100,123円 | 89,808円 |
4.0% | 147,937円 | 121,195円 | 105,566円 | 95,482円 |
ちなみに、変動金利か固定金利かによって金利が異なるため、
その分融資額や融資期間も変わってきます。
現在の金利水準は史上最低水準で固定金利よりも変動金利の金利が低くなっています。
平成28年1月に日本の歴史上初めてマイナス金利政策が導入されて以降、ゼロ金利状態が続いていますが・・・
まず、言葉の意味からですが、フルローンとは不動産の物件価格の満額を融資して貰うことを意味し諸費用部分は購入者が用意します。一方、オーバーローンは物件価格に加えて諸費用も融資で賄うことを意味します。
次にフルローンやオーバーローンで融資はいくらまで可能かということですが、物件の担保評価さえ適正に行われていれば、フルローンやオーバーローンで購入すること自体は危険なことではありませんでした。
不動産市場が健全な状況であれば、むしろ、レバレッジを効かせることで手持ちの資金を使わずに済むという評価もできたほどです。
ただ、現在の状況は昨年来の不動産関連会社や地銀の不祥事により、健全な状況とは言い難い状況です。その結果、金融機関は健全な不動産投資ローンのための審査を厳密化していますから、前の項で説明した物件価格の20%程度のキャッシュを用意するのが健全な状況と考えられています。
したがって、現状、フルローンやオーバーローンを望むのは無理な状況と言えます。
不動産投資ローンの審査基準と審査の流れは以下の通りです。
金融機関により若干違いはありますが、基本的な考え方と流れは変わりません。
■審査の流れ
利用者の属性情報審査
個人信用情報機関への照会(過去の延滞や金融事故の有無の確認)
↓
属性審査(年収・勤務先・勤続年数・家族構成・借入金・自己資金審査)
↓
物件の資産価値・担保評価(築年やコンディション・立地・管理状況評価)
↓
物件の事業性審査(周辺の賃貸需要など物件の収益力評価)
↓
融資の可否
上記の不動産投資ローン審査の中で現状では物件の資産価値と担保評価を厳密に行う金融機関が増えており、融資の可否とともに融資限度額が厳しくなっています。
不動産投資ローンに限らず申込者の属性と信用情報は審査基準における超重要ポイントで、ローン申請に虚偽がないか、契約通り最後まで返済を続けられるのかをはかる物差しとなります。
属性の中でとくに重視される項目は、申込者の年齢・職業・雇用形態・年収・勤務先情報で、大企業社員や公務員・医師・弁護士など社会的立場の高い業種は非常に有利になります。
したがって、パート・アルバイト・契約社員・自営業者は安定性に欠けると判断されるため、審査では非常に不利になり自己資金の積み増しなどを求められます。また、年収によって融資額の上限が定められます。
個人識別 | 氏名・住所・生年月日・電話番号等の個人情報 |
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勤務先情報 | 業種・会社名・部署・役職・勤続年数・定年・会社情報 |
住居情報 | 持家か賃貸 |
家族構成 | 家族の氏名・続柄・生年月日・同居か否か |
信用情報 | 借入状況・債務残高・返済状況・返済の遅滞の有無など |
連帯保証人 | 連帯保証人になってくれる人がいるかどうか |
年収 | 直近3年の年収 |
金融資産 | 預金・株・保険・確定拠出年金など |
属性審査で問題がなかった場合は融資に向けて手続が進められますが、
融資限度額や適用金利が決まるのが物件評価になります。
つまり、質屋に指輪を持ち込んだ場合に指輪の材質から価値が判断されますが、
不動産の物件評価も全く同じ考え方なのです。
不動産投資ローンはアパートやマンションなどの収益物件のためのものですから、収益物件としての担保価値が十分と判断されれば希望額の融資が決定されます。
また、物件評価においては物件の耐用年数も大事な要素となります。
例えば、重量鉄骨造やRC造の物件は木造物件の1.5~2倍の耐用年数を持っていますから担保価値は上がることになります。
加えて、年間の家賃収入から管理費や税金などの諸経費を差し引いた実質利回りも、不動産投資ローンの審査においては重視される要素です。以下、物件の耐用年数一覧です。
建物種類 | 耐用年数 |
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木骨モルタル | 20年 |
木造・合成樹脂造 | 22年 |
れんが作り・石造・ブロック造 | 38年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート | 47年 |
不動産投資と融資は切っても切れない関係で、とくに、現在のような歴史的な低金利時代では良い融資条件を得ることが不動産投資の成否を決する場合も少なくありません。
日本政策金融公庫は融資という形で中小企業を支える役目を果たしていますが、その意味で法人化した賃貸経営においては年収500万円以下の場合や他の金融機関では絶対に融資しないような築古のアパートに融資することもあります。
ただ、不動産業者経由のローン審査手続きとは違い、日本政策金融公庫は居住しているエリアの支店に本人が足を運んで融資の相談・申し込みをしなければなりません。
そして、融資を受けるためには自己資金が必要になりますが、 制度上、自己資金の9倍まで借りられることになっています。ただ、現実的に自己資金の2倍から5倍程度の融資が多いようです。ちなみに、一般貸付の融資限度額は4,800万円までですが、他に様々な融資の形態が準備されています。
1 | 社会的弱者(若者・高齢者・女性)を優遇 |
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2 | 金利は1%後半からと低金利 |
3 | 固定金利 |
4 | 保証人不要 |
1 | 不動産賃貸事業であること(個人でも可) |
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2 | 担保物件があること |
3 | 公共料金や税金に未払いがないこと |
一般的に都市銀行とはメガバンク3行に加えてりそな銀行を意味しますが、現在、都市銀行の不動産投資ローンの審査はもっとも厳しいレベルです。
もともと属性審査もシビアですが、特に最近は購入対象の投資物件に対する評価も厳しくなっています。また、公表されることはありませんが、実質的に融資できるエリアと物件のランクを決めている模様です。
しかも、審査終了までの時間も一番かかりますので、不動産投資においてはできれば使いたくない金融機関です。審査を待たされた挙句に審査落ちでは、申込者のイメージが悪くなるばかりです。給与や公共料金引き落としで長く取引している場合などを除いて、他の金融機関を選ぶ方が良いでしょう。
都市銀行と対照的なのがノンバンクの審査で、ノンバンクの審査は非常に早いことは間違いありません。
また、スルガ銀行不正融資事件以来、銀行各行の不動産投資ローンに対する姿勢は腰砕けですが、一方でノンバンクは積極的に不動産投資ローンの売り込みをかけている業者もあります。
ちなみに、ノンバンクではありませんが、ノンバンク系のオリックス銀行なども不動産投資ローンを積極的に取り扱っています。
金利 | 固定金利2.3%~3.5% 変動金利2.67%~3.67% |
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借入金額 | 1,000万円以上2億円以下 |
借入期間 | 1年~35年 |
対象不動産 | 首都圏・近畿圏・名古屋・福岡の居住用不動産 マンションの場合は専有面積40㎡以上 |
不動産投資ローンに対する審査の基準は金融情勢や金利情勢により刻々と変化しています。特に、昨年来、銀行の融資条件が厳しくなっていると言われていますから、「融資はいくらまで受けられるのか?」というのが不動産投資家の素朴な疑問である筈です。本項を参考にして頂き申込者にとり最も適した金融機関から融資を受けることが、不動産投資成功の第一歩になる筈です。