昨年は副業解禁元年とも言われましたが、大手企業が副業を解禁し始めたことからサラリーマンの副業が増えています。
そのような時代背景の中で副業やサイドビジネスとしてサラリーマンの不動産投資が注目されています。
そこで、今回は「サラリーマンの不動産投資の現状」「鍵を握る銀行ローン」「副業としての不動産投資」「不動産投資リスク」の4つのポイントについて、具体的なデータを基に考えます。
これらを少しでもお考えなられたことがあるなら、当ページがお役に立つと思います。
サラリーマンの不動産投資の成功を左右するキーワードは「知識」「経験」「立地」「物件」と言われています。
不動産投資をするには様々な法律や税金などが関係しますし、不動産業者の選び方や物件の選び方・リフォーム・管理の方法などの「知識」が必要です。
ですから、まず、「知識」が必要なことに異論がある人は少ないはずですが、この不動産投資に関する「知識」は投資をする前に身に付けておくこともできます。
しかしながら、「経験」については実際に不動産投資を行なう以外に方法はありませんから、その意味で最初の投資はマイホームの購入で経験する手も考えられます。
そして、投資の本番で重要なことは「良い物件を見極める」ことにつきますが、たとえ良い物件であっても1989年のバブルのピークで購入した場合は失敗したかもしれません。ですから、不動産投資は買い時も重要なのです。
加えて、「良い物件を見極める」ことのポイントは「立地」を現在から将来に渡り確認することが大事です。
さらに、不動産業者の言いなりになることなく、投資家自身のポリシーを貫いて自己責任で投資するスタイルが大事です。
また、資産としての価値のある本当に良い物件に出会うには、根気よく物件探しを続けなければなりません。
この世の中で、全く探す努力もしないままに、資産としての価値のある本当に良い物件が見つかる方があり得ない不思議なことなのです。
最初に投資した物件が短期保有(5年以内)で大きな売却益を得られれば何も言うことはありませんが、多くの場合は長期所有でのインカムゲインの積み重ねです。
つまり、不動産投資の醍醐味はアパート・マンション経営で資産とインカムゲインを雪だるま式に増やしていくことですから、その果実を得るには相当な時間が必要です。
ですので、長期投資を前提に30代・40代で不動産投資を始めるのが理想的と言えますが、50代からでも遅いと言うことはありません。
また、法人化すればローンの年齢制限もなくなりますから、年齢を気にする必要もないかもしれません。以下、不動産投資をしている人の年齢構成ですが、やはり、30代・40代・50代が中心で40代が最も多いことが解ります。
年代 | 比率 |
---|---|
20代 | 2.5% |
30代 | 22.8% |
40代 | 35.2% |
50代 | 28.4% |
60代 | 11.1% |
また、サラリーマンの不動産投資が増えているのと同様に公務員の不動産投資も増えています。
ただ、公務員の場合は国家公務員法で私企業からの隔離や他の事業や事務の関与制限が定められ、地方公務員法でも営利企業等の従事制限が定められています。
ですので、公務員の不動産投資は許される範囲内での投資に限られますが、現在のところ以下の様な副業は上司の許可を得れば認められています。
特に、不動産投資分野では不動産賃貸業が許されていますが、家業としての不動産賃貸業に限られるのが現状です。
また、実際の不動産投資ではありませんが株式やFXの様に取引所で売買できる
不動産リートは、実際の不動産投資と同じ効果を得ることができる取引で公務員でも認められています。
住宅ローンと不動産投資ローンの基本的な違いは居住用なのか否かということです。
当然のことながら、投資家自身や家族が居住する家は賃貸が前提の家よりも大事ですから、例えば、リフォームの場合でも自分が居住する家にはお金をかけます。
一方、賃貸が前提の家の場合はコストを抑えた最低限度のリフォームで済ませるはずです。
ですので、大事な居住用の家の住宅ローンは妻が働いてでも返済しますが、賃貸が前提の家はそこまでやらないはずで銀行の見方も同様なのです。
また、住宅ローンは投資家の本業の給与収入などから返済するのが前提であるのに対して、不動産投資ローンの返済は家賃収入が充当されます。
その結果、銀行は住宅ローンの信用力が上と見ており、不動産投資ローンに比べ住宅ローンの審査基準は厳しくなります。
項目 | 住宅ローン | 不動産投資ローン |
---|---|---|
借入目的 | 自宅の購入 | 投資 |
融資限度額 | 年収の5倍~8倍程度 | 年収の10倍~20倍程度 |
適用金利 | 年0.5%~2.0%程度 | 年1.5%~4.5%程度 |
年齢制限 | 65歳~70歳未満 | 70歳以上も可能 |
返済期間 | 25年~35年 | 25年~35年 |
審査ポイント | 個人の返済能力 | 物件の収益性+個人の返済能力 |
名義 | 個人 | 法人・個人 |
一般的に属性情報とは職業・職種・役職・年収・年齢・住所・持ち家の有無・家族の有無などを意味しますが、銀行はそれらを総合評価して将来的な返済能力の継続性を審査しています。
例えば、同じ年収であれば年齢が低い人の方がクレジットポイントという信用力が上になりますし、大企業社員や公務員の方が信用力が上になります。
また、同様に役職社員>正社員>契約社員>パート・アルバイトという序列ができます。
ただ、大企業でも中小零細企業でも役員の審査はこの限りではありません。
なぜなら、経営者である取締役などの役員には会社経営の責任があるため、銀行から見ると本人の信用力に会社の信用力を加味しなければなりません。
この様な理由から住宅ローンにおいても不動産投資ローンにおいても、サラリーマンや公務員などのクレジットポイントは高く審査が通りやすいと言えます。
例えば、不動産投資ローンの適用金利で比較しますと、サラリーマンや公務員などの適用金利が2%前後としますと自営業者の適用金利は3%前後となります。
この様に住宅ローンにおいても不動産投資ローンにおいてもサラリーマンや公務員のクレジットポイントは高いのです。
サラリーマンが副業でローンを組んで不動産投資を行なう場合、この不動産投資が上手くいき副業での収入が本業での収入を上回るとサラリーマンは本業を辞めて不動産投資に専念する人が増えます。
その結果、サラリーマンとしての信用力で借りた住宅ローンや不動産投資ローンはどうなるのかを心配する人が増えています。
結論は会社を辞めても銀行から一括返済や融資条件の変更を求められることはありません。
決められた返済日や返済金額を守っている限り、銀行側からローンである消費貸借契約をやめることはできないからです。
一昔前までのアパート・マンション経営はリタイアした金持ちか地主の特権と考えられていましたが、現在はサラリーマンが副業でアパート・マンション経営を考える時代になりました。
もちろん、サラリーマンのアパート・マンション経営を可能にしているのは、長引くゼロ金利政策によるローンの超低金利です。
不動産投資会社の多くは一般的なアパート投資に対して、自己資金は建設・購入費用の1割〜3割ほどあれば審査のテーブルに乗ると宣伝しています。
また、投資家の年収は500万円以上あれば問題ないとしています。
この様な不動産投資会社の宣伝文句を信じて良いのか解りませんが、このクラスの投資家がアパート・マンション経営に参入しているのは事実です。
ただ、間違いなく言えることは、自己資金は多いに越したことはなく、ローンの返済額は少ない方が良いに決まっています。
副業 | 仕事内容 |
---|---|
アフェリエイト | ネット副業 |
データ入力 | クラウドソーシングなど |
フリーライター | ブログなど |
地道にバイト | コンビニ・宅配便など |
投資 | 株式投資やFX投資・不動産投資など |
覆面調査 | レストランなどのお店をリサーチする |
フードデリバリーサービス | 出前配達 |
セドリ | オークションやマーケットへ出品利益を得る |
サラリーマンのアパート・マンション経営が増えている背景には、上記の参入の壁が低いこと以外にも節税効果を高められることが上げられます。
特に、投資会社を起業して法人化することで非常に大きな節税効果が見込まれます。節税効果の1つ目は所得税率と法人税率の差が節税になることで、法人化することでより低い法人税を納めることになります。
節税効果の2つ目は法人で購入し代表者に給与を支払うと給与所得控除が受けられ収入に対する課税対象を減額できることです。
3つ目は各種経費を計上できることにより課税所得を圧縮することができます。
サラリーマンが起業することで今まで自腹だった交際費や交通費などが計上できることに、多くのサラリーマンは驚きを隠せません。
4つ目は生保の契約者を法人にすることで保険料も経費計上できることと、土地取得用借入金の利息を経費にできることです。
ですので、妻や親などを経理担当の従業員とすれば世帯収入が増える上に、経費計上による節税で正に一石二鳥なのです。
この様なサラリーマンのアパート・マンション経営が軌道に乗れば、インカムゲインによる不労所得の生活も夢ではありません。
実際に4~5棟のアパート経営で3,000万円程度の年収を得ている脱サラも珍しくはありません。
また、アパート・マンション経営を子供などにうまく引き継ぐことができれば、私的年金生活も夢ではありません。
ただ、メリットがあればデメリットがあるのがこの世の常で、特に、不動産の場合は物件が経年劣化するという特殊な事情をかかえています。
つまり、株式などの有価証券の運用にはない経年劣化というリスクが不動産にはありますから、長期修繕計画などを立てる必要があります。
加えて、その他のリスクについて次の項で詳しく説明します。
サラリーマンの1つの夢がアパート・マンション経営で不労所得生活をすることだとすれば、そこにたどり着くまでにはいくつものステップを上がりトラップに巻き込まれない様にしなければなりません。
つまり、1つの夢に到達するまでには以下の様な具体的なリスクがありますので、1つ1つのリスクについて理解し対応策を準備することが求められます。
加えて、初心者の投資家が多いサラリーマンの不動産投資家にとり最も危険なリスクは、最初の投資で問題物件や詐欺的な物件を掴まされることです。
残念ながら、シェアハウス「カボチャの馬車」やレオパレス21で被害に合ったオーナー達が再起を果たすのは容易なことではありません。
ですから、最初の投資では不動産業者の話を鵜呑みにするスタイルは止めて、石橋を叩いて渡る心構えが大切です。
医者の診断に疑問を持つ患者はセカンドオピニオンを求めますが、不動産の物件選びにおいてもライバル会社のセカンドオピニオンを求めるくらいの冷静さと慎重さが必要なのです。
キャピタルロス | 不動産値下りリスク |
インカムロス | 空室リスク |
家賃滞納リスク | |
家賃下落リスク | |
金利 | 金利上昇リスク |
その他 | 天災リスク |
税務リスク | |
経年劣化リスク |
以下の表を見て頂ければ解りますが自己破産手続を行なった人は2016年から増加傾向となり、個人再生手続は2015年から増加トレンドに入っています。
もちろん、多くの破産者の破産の原因はカードローンやクレジットカードのキャッシングの使い過ぎですが、中には不動産投資ローンで破産した人もいる筈です。
特に、ここ数年の不動産投資ローンはフルローンやキャッシュが10%程度のレバレッジを効かせたローンが広がっており、資金が少ない投資家が参入できる反面、返済に行き詰まることも多くなるのです。
自己破産手続 | 個人再生手続 | |
---|---|---|
2014年 | 65,189件 | 7,667件 |
2015年 | 63,805件 | 8,476件 |
2016年 | 64,637件 | 9,602件 |
2017年 | 68,791件 | 11,284件 |
最後に不動産投資ではありませんが、不動産投資に似た投資としてサラリーマンに増えているのが土地付き太陽光発電への投資です。
土地付き太陽光発電に投資するメリットが不動産投資のメリットに近いので最後に付け加えましたが、そのメリットの1つ目は20年間安定的に利回り10%台のインカムゲインが期待できることです。
それは、国が定めた電力の固定価格買取制度により可能となっています。
メリットの2つ目は太陽光発電への投資もフルローンが可能で、土地や設備がない人でも投資に参加することができます。
メリットの3つ目は設備のメンテナンスなどは専門業者が担当してくれます。加えて、太陽光発電は不動産投資の様な空室のリスクはありません。
もちろん、多くの仲介業者や設備業者の中から最適な物件を選ぶことになりますので全くノーリスクな投資とは言い切れませんが、不動産投資に似た投資先としてサラリーマンの検討の余地はありそうです。
今回はサラリーマンの不動産投資のポイントについて考えましたが、投資の成功を左右する大事なポイントは投資方法と資金調達をどうするのかということです。
つまり、キャピタルゲイン狙いで物件をバイ&ホールドするのか、インカムゲイン狙いで最初はワンルームマンション投資にするのかなどの選択です。
また、不動産投資に自己資金をいくら投入しローンはどのくらい使うのかなども重要なポイントです。
いずれにしても、これらの投資方法をよく理解し計画的に投資を行ないたいものです。