不動産投資が活況ですが初めて不動産投資をする方が「法人にしようか?どうしようか?」という疑問を多く聞かれます。
実際にアパート経営をしている立場から申し上げますと、アパート経営は法人経営の方が有利です。
私は2代目大家として、会社勤めの傍ら現在1棟8部屋のアパートを所有しています。
賃貸経営としては40年以上前から父が始めており、最初から法人化していました。
数年前に父が亡くなった時点で、私が相続したわけですがその時は「アパートも1棟のみだし無理に法人を維持する必要はあるだろうか?」と疑問に思いました。
しかし、以前から顧問をお願いしている税理士さんに相談したところ個人より法人にするほうが良いというアドバイスを受けてそのまま法人経営を続けています。
なぜ、法人経営が良いのか?
その疑問に対する一つの解答としてこの記事をお読みください。
この記事でわかること
結論から申し上げますと不動産投資をするなら最初から法人にしていたほうが良いでしょう。アパート経営をする上で法人化すべきか個人がいいのかそれぞれのメリット・デメリットをお伝えします。
不動産を取得する場合、銀行や政府系金融から融資を受けると思います。
融資する側から見れば個人より法人のほうが融資審査は通りやすいです。
その理由としては、法人にするには少なからず費用と手間をかけて法人を設立します。
法人にする資金を有して登記をかけて設立しているのであれば今後本格的に
不動産投資をするのではないか、
法人として設立しているのであれば今後も取引があるのではないか、
と考えてもらえるのです。
金融機関の審査は新規設立とはいえ法人をこのように見ています。
そのため個人へ貸付するより法人への融資の方が有利に進むのです。
個人の場合、家賃収入から得られる不動産所得と、不動産を売却したときに得られる譲渡所得は個々に課税されますが、法人の場合は損益を通算することが可能です。
また、経費計上できる法人向け生命保険などもあるため、
節税を図ることも目的とするなら法人化がおすすめです。
法人化する上でのデメリットは、法人を設立する為の経費が発生することです。
法務局への法人登記代など諸経費が必要になります。
その主な内訳をご案内します。
株式会社設立の法定費用
・定款の認証手数料:50,000円
・定款の謄本手数料:2,000円
・株式会社登録免許税:150,000円
小規模の株式会社を設立するには250,000円が必要となります。
また、このほかに役所へ提出する書類を整えるにあたり、10,000円前後必要となります。
・法人印の作成
・印鑑登録証明書
・登記補謄本
法人設立にあたり、税理士さんへ依頼すると設立の費用は上記プラス2万から3万になります。この費用は今後顧問を依頼するかどうかにより多少の変動があります。
設立時の経費は一度で終わりますが、法人なら毎年法人税を納付する必要があります。
この法人税は都道府県税の均等20,000円と市町村法人の均等割りで、最低で70,000円は必要になります。
法人にしないならこれらの諸費用は不要です。
次に法人化せずに個人としてアパート経営をするメリット・デメリットをお伝えします。
先にお伝えした法人設立費用や法人税が不要になるというメリットがあります。
とくに賃貸併用住宅を建てるのであれば、敢えて法人化する必要はありません。
あくまで小規模であり、今後拡大する予定もないという前提ですが賃貸併用住宅を建てる場合は個人の住宅ローン控除や減税を受けられるからです。
この場合は、総床面積の半分以上を賃貸部分が占めるのが条件となります。
また、今は賃貸していてもその後、ご家族のライフステージに合わせた住み方として2世帯住宅にするなど、賃貸併用住宅であればこのような柔軟な住み方が可能になります。
しかし、個人であっても、アパート経営をしている以上経費はかかります。 少なくとも確定申告のために経費の記録は残しておきましょう。
これは副業という扱いをどうするか? という問題です。
法人を設立せずにアパート経営をする人が会社員の場合、アパート経営は副業という扱いになります。
お勤めの企業は副業を認めていますか?
ほとんどの企業は年末調整を会社で行います。 住宅取得や高額な医療請求や相続など大きなことが起こった年のみご自身で確定申告をするのが一般的です。
しかし、副業を伝えていない場合はどうなるでしょう。 何か理由をつけてご自分で確定申告しても年明けの所得税や住民税が高額になってくることにより他に収入があることが会社に露見します。
副業解禁とは言われていても、会社によりその対応は様々です。
個人でアパート経営をしていると、このような場面に対応する必要があります。
このような事態はどう打開すればいいのか? アパート経営をしていることが、会社に勤める立場として面倒になりそうならやはり法人を設立しアパート経営を「家業」にするのが一番無難です。
家業とは、法人を設立しても自分が代表にならず、配偶者やご両親に代表になってもらい自分は名前が必要なので役員に留まるという状態にすることです。
副業に厳しい視線を持つ会社でも、家族が行っている家業を手伝うという事なら問題はないです。
基本的に副業が禁止されている公務員法でも、下記の内容に該当しない場合であれば許可は不要になっています。
ただ、公務員は無報酬に限るなど規定はあります。
実際のところそこまで追求しないというのがホントのところです。
個人でアパート経営をすると、副業としての対応が必要になる。このことをご認識ください。
個人でアパート経営するか?
また法人の方が有利かどうかのメリット・デメリットをお伝えしました。
ここまでの内容では、アパート経営という事業を行うならやはり法人とした方が有利というのが結論です。
その理由としては
という点でしょう。
では、次に実際にアパート経営をしていく上での有利な経費と節税の扱いについて説明いたします。
アパート経営を法人し経費をどう節税に生かすのか?を損益通算と貸付経費計上について
説明いたします。
この損益通算については、不動産投資を考えている方ならよくお分かりのことでしょう。
会社員としての収入とアパート経営などの不動産収入を合算すると、かなり高額な収入になります。
しかし、法人を設立しアパートを建築やリフォーム工事などの経費を計上すれば、
実収入は減額されて節税になるという方法です。
・アパート建築費用
・アパート建築のための土地取得費用
・管理会社費用
・銀行借入の利子
・通信費
・交通費
・損害保険料金
・租税公課
・税理士等報酬支払
・修繕費
・減価償却費
これだけの経費が発生します。
この経費発生を損益通算とは節税に有利にするという方法について例をあげてご説明します。
会社員での給与収入が700万円
アパート経営での不動産収入が赤字で▲200万円だったとします。
この場合、700万円に課税されずトータルとして損益を考えます。
所得:700万円-200万円=500万円
この人の課税対象額は500万円になる。
これが損益通算の考え方です。
しかし、ここまで読んできた方は「この損益通算は法人でないと適用されないのか?
個人区分でも適用されるのではないか?」と疑問を持った方もいるでしょう。
結論から申し上げますとこの損益通算は個人区分でも可能です。
ただ、経費計上という観点からみれば経費の繰越は個人区分なら3年ですが、法人では損失発生翌年より9年間も繰越ができるのです。
しかし、この方法には注意点があります。
会社員としての給与収入が上がるとこの損益通算の利点が減ることになりますのでご注意が必要です。
その他、アパート経営で節税として有利にする方法としては、個人所有の建物を法人に貸付する方法があります。
具体的な内容をお伝えします。
アパートの建物自体を個人所有とします。
そして、法人を設立します。
この場合法人代表が、アパートの所有者と同一であってもかまいません。
個人が所有するアパートを法人へ貸付をし、個人は法人から賃貸料をもらうという方法です。
この方法の有利な点は、アパートの所有者は建物の管理者として経費が発生します。
法人は個人へ賃貸料を支払うことでこの賃貸料を経費として計上するのです。
経費がダブルで計上できることになります。
会社員など複数の収入がある人などは、
収入の増減に伴い賃貸料を上げたり下げたりすることでその時の収入に合わせた賃貸料にすることできます。
次にアパート経営を法人として、家族を専従者給与者としてどう扱うべきかという疑問が知恵袋にて目にすることがあります。 この点について、実際アパート経営をしている立場からお伝えします。
アパート経営者が、アパート経営に従事する家族に払う給与のことを専従者給与と言います。以下の条件を満たすことで、その給与を経費計上することができます。
①専従者は給与を払う人と生計をともにする配偶者またはその他の親族であること
②その年の12月31日時点で15歳以上であること
③6ヶ月を超える期間、そのアパート経営に専従していること
アパート経営を法人化すべき理由をお伝えしてきました。
最後に内容をまとめると
法人にてアパート経営をする上ではこのような利点があります。
長く長期経営になるアパート経営を安定して行うにはこのような利点は欠かせません。
また、税制に関してはお一人で申告している方が多いようですが私個人としては税理士事務所への顧問依頼をお勧めします。
アパート経営における不動産収入については、やはり相談する人が必要と考えるからです。
税理士さんは節税のプロです。
ぜひ安心して相談できる税理士さんへご相談ください。