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アパート経営のパフォーマンス維持は修繕費の積立に有り

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アパート経営のパフォーマンス維持は修繕費の積立に有りのイメージ

不動産投資として、分譲マンション(以下、区分マンション)を購入した際には、区分所有者が管理費・修繕積立金を管理組合に毎月支払う必要があります。アパートを購入もしくは建築した際には、大家が自主的に積立する必要があります。入居者の故意・過失による場合の建物・設備の損傷は入居者の負担となりますが、経年劣化・通常損耗による修繕は区分所有者もしくは大家の負担となります。日常の修繕費と大規模修繕に備えた積立は、確実に行う必要があります。

区分マンション・アパート経営は修繕費の積立こそ重要

修繕をどれだけマメに行うかは、意外と不動産(入居者)仲介会社(以下、仲介会社)や入居者はシビアに見ています。仲介会社の修繕等に対する評価が高いと、入居者付けを積極的にしていただけます。入居者の修繕等に対する評価が高いと、長期入居に繋がります。修繕に投入した資金は、結果として入居者付けや長期入居という形で戻ってきます。

大家自身が設備・備品の損傷に気づいたり、入居者から設備・備品の損傷の連絡が入ればすぐに対応することで、入居者のストレスを小さな段階で解消できます。これを放置すれば、入居者のストレスが大きくなり、いずれ退去し悪い噂が広まり、仲介会社からも入居者付けされず、空室率が増大します。

区分マンション・アパート経営の根幹に関わりますので、日頃からの修繕費の積立は、間接的に入居率アップ・家賃維持に繋がり重要です。先ずは、大規模・中規模・小規模修繕工事の概要を解説します。

大規模修繕工事

建物工事では、屋根の張替・防水工事や外壁のタイル張替・塗装工事、共用廊下・階段の塗装工事・防水工事などです。機械設備では、エレベーターなどの交換工事、受水槽・水道管の水回り、浄化槽・下水管・雨水管の排水回りの補修・交換工事などです。

中規模修繕工事

建物外壁・共用廊下・階段のひび割れ補修や、防水補修工事、照明器具の交換、消防設備の保守・点検・交換などです。また入居者の退去に伴い、エアコン・給湯器などの機械設備の交換や天井・壁・クロスの張替工事、キッチン・洗面・トイレ・ユニットバスの水回りの補修・交換工事などです。

小規模修繕工事

共用廊下・階段の照明の蛍光灯やLEDの交換などです。
また入居者の退去に伴い、ドアノブ交換や換気扇の補修、水道蛇口の調整などです。

区分マンション・アパート経営の大規模修繕工事

大規模修繕工事は、区分マンションやアパートの経年劣化などに合わせて行う、周期的・計画的で大規模な修繕工事です。区分マンションでは、管理組合が主体となり、長期修繕計画に基づいて大規模修繕積立金を区分所有者から徴収します。アパート経営では、大家自身が長期修繕計画に基づいて、家賃収入から一定額を修繕費として積立を行います。

大規模修繕工事の考え方 ※1

大規模修繕工事の種類 内容
修繕工事 建物各部の性能・機能を新築時の状態に維持・回復を図る工事
改良工事(グレードアップ) 建物各部の性能・機能を新築時の状態よりもグレードアップする工事。建物を構成する設備や材料を新規格のものに取り換えたり、新たな性能・機能を付加するなど。
改修工事 修繕工事や改良工事により、社会や時代の変化により向上する住環境に合わせて、新築時の状態よりも建物の性能・機能をより高いものに改善する工事。「リフォーム」が「修繕工事」に該当し、「リノベーション」が「改修工事」に該当する。

改修工事を定期的に実施することで、建物の老朽化防止・陳腐化防止が出来ます。大規模修繕工事において修繕工事だけだと新築時の状態を維持するだけで、建築後十数年経過した建物としては、価値が相対的に下がります。改良工事(グレードアップ)を含めた改修工事を行い、建物の価値を時間経過とともに相対的に持続させることが重要です。

大規模修繕工事の内容

大規模修繕工事は、様々な工事項目に分かれます。大分類として、建築工事、設備工事(機械設備工事、電気設備工事)、外構・土木工事となります。その内容について解説します。

建築工事

建築工事は主に、屋根防水工事、床部改修工事、外壁改修工事、鉄・アルミ部塗装工事などがあります。

■屋根防水工事
屋根、階段出入口の庇の劣化・漏水に対する屋根スラブの躯体改修や屋根防水層の修繕・改修の工事です。

■床部改修工事
バルコニー、共用廊下・階段の床の防水工事です。

■外壁改修工事
外壁、共用廊下・階段、バルコニーの壁・手摺壁、庇・バルコニー天井面の吹付塗装部の再塗装、タイル張りの洗浄、劣化・損傷個所の修繕工事です。

■鉄・アルミ部塗装工事
屋上、バルコニー、共用廊下・階段、自転車置場などの鉄部やアルミ・ステンレス部の塗装塗替え工事です。

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設備工事

設備工事は主に、給水設備改修工事、排水設備改修工事、ガス・空調・換気設備改修工事、消火設備改修工事、エレベーター設備改修工事、機械式駐車場改修工事などがあります。

■給水設備改修工事
屋内・屋外共用給水管、住戸内専用給水管の更生・取替工事、給水装置・給水施設(受水槽)のオーバーホール・劣化・損傷個所の修繕・取替工事です。

■排水設備改修工事
屋内・屋外雑排水設備、汚水設備、雨水排水設備、屋外枡管路の劣化・損傷個所の修繕・取替工事です。

■ガス・空調・換気設備改修工事
ガス管(屋内・屋外共用、住戸内専有)やメーターの劣化・損傷個所の修繕・取替工事。空調設備の劣化・損傷個所の清掃・修繕・取替工事。換気口・換気扇・ダクト類の清掃・修繕・取替工事です。

■消火設備改修工事
屋内消火栓設備、連結送水管設備の劣化・損傷個所の修繕・取替工事です。

■エレベーター設備改修工事
エレベーターのロープ、モーター、巻上げ機、カゴ、扉、制御盤等の劣化・損傷個所の修繕・取替工事です。

■機械式駐車場改修工事
機械式駐車場の駐車装置、制御盤、検知装置、操作盤、昇降装置、安全装置等の劣化・損傷個所の修繕・取替工事です。

大規模修繕工事の頻度:修繕周期 ※2

修繕周期は、建物・設備の損傷部位・性能・機能を運営・稼働上問題がないレベルまで修繕出来なくなるまでの期間です。修繕工事項目ごとに修繕周期を建物・設備の劣化・損傷状況に基づき設定します。

建築工事の修繕周期

下表は、国土交通省が定める建築工事の修繕工事項目ごとの修繕周期です。

建築工事 修繕工事項目 工事区分 修繕周期
屋根防水工事 屋上防水(保護) 補修 12年
修繕 24年
屋上防水(露出) 補修 12年
撤去・新設 24年
傾斜屋根 補修 12年
撤去・葺替 24年
庇・笠木等防水 修繕 12年
床部改修工事 バルコニー床防水 修繕 12年
廊下・階段等防水 修繕 12年
外壁改修工事 コンクリート補修 補修 12年
外壁塗装 塗替 12年
除去・塗装 36年
軒天塗装 塗替 12年
除去・塗装 36年
タイル張補修 補修 12年
シーリング 打替 12年
鉄・アルミ部塗装工事 鉄部塗装(雨掛かり部分) 塗替 4年
鉄部塗装(非雨掛かり部分) 塗替 6年
非鉄部塗装 清掃・塗装 12年

Δ建築工事の修繕周期 ※2

設備工事の修繕周期

下表は、国土交通省が定める設備工事の修繕工事項目ごとの修繕周期です。

設備工事 修繕工事項目 工事区分 修繕周期
給水設備改修工事 給水管 更生 15年
取替 30年
貯水槽 取替 25年
給水ポンプ 補修 8年
取替 16年
排水設備改修工事 排水管 更生 15年
取替 30年
排水ポンプ 補修 8年
取替 16年
ガス・空調・換気
設備改修工事
ガス管 取替 30年
空調設備 取替 15年
換気設備 取替 15年
消火設備改修工事 屋内消火栓設備 取替 25年
自動火災報知設備 取替 20年
連結送水管設備 取替 25年
エレベーター
設備改修工事
昇降機 補修 15年
取替 30年
機械式駐車場
改修工事
自走式駐車場 補修 10年
取替 30年
機械式駐車場 補修 5年
取替 20年

Δ設備工事の修繕周期 ※2

修繕周期は、建物・設備の使用状況(頻度・維持管理)により前後します。修繕工事は、タイミングが早いと過剰工事となり、タイミングが遅いと劣化・損傷が進行し、修繕工事費が膨らみます。修繕工事を集約して同じタイミングに行うと、共通仮設費用の重複を避け経済的です。その反面、修繕工事を集約しすぎると、修繕積立金の不足となります。

区分マンションの大規模修繕積立金 ※3

国土交通省は、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を新築マンション購入者向けに発行しました。これは、修繕積立金の知識や工事金額の目安を示したものです。

専有面積当たりの修繕積立金単価

区分マンションの修繕積立金は、下記算式で計算できます。

C = A × M (+ D)

C : 修繕積立金の目安額(円)
A : 専有床面積当たりの修繕積立金単価(円/㎡) ※下表参照
M : 専有床面積(㎡)
D : 機械式駐車場がある場合の加算額(円)

階数/建築延床面積 修繕積立金単価 調査事例の3分の2
が包含される幅
【15階未満】 5,000㎡未満 218円/㎡・月 165円~250円/㎡・月
5,000㎡以上~10,000㎡未満 202円/㎡・月 140円~265円/㎡・月
10,000㎡以上 178円/㎡・月 135円~220円/㎡・月
【20階以上】 206円/㎡・月 170円~245円/㎡・月

Δ専有床面当たりの修繕積立金単価(A) ※3

※15階以上19階未満の区分マンションの修繕積立金単価の目安は、【15階未満】と【20階以上】の目安との間に入ると考えます。

【事例1】
12階建て、建築延床面積:9,000㎡の区分マンションにおいて、専有床面積60㎡の住戸の修繕積立金の目安は?  上表より、修繕積立金単価は、202円/㎡となります。

  

修繕積立金 = 202円/㎡・月 × 60㎡ = 12,120円/月

となります。

機械式駐車場がある場合の加算額 ※3

機械式駐車場がある場合の加算額は、下記算式で計算出来ます。

D = B × N × G

D : 機械式駐車場がある場合の加算額(円)
B : 機械式駐車場の1台当たりの修繕工事費(円/台) ※下表参照
N : 台数(台)
G : 購入住戸の負担割合(専有床面積の割合)

機械式駐車場の種類 機械式駐車場の修繕工事費
(1台当たりの月額)
2段(ピット1段)昇降式 7,085円/台・月
3段(ピット2段)昇降式 6,040円/台・月
3段(ピット1段)昇降横行式 8,540円/台・月
4段(ピット2段)昇降横行式 14,165円/台・月

Δ機械式駐車場1台当たりの修繕工事費(B) ※3

【事例2】
【事例1】と同じマンションで、2段(ピット1段)昇降式の機械式駐車場が90台あります。購入住戸の専有面積は60㎡です。機械式駐車場の加算額は?

  

機械式駐車場加算額 = 7,085円/台・月 × 90台 × 60㎡/9,000㎡ = 4,251円/月

【事例1】と【事例2】を合わせて、機械式駐車場を加味した修繕積立金は、

  

修繕積立金 = 12,120円/月 + 4,251円/月 = 16,371円/月

となります。

アパート経営の大規模修繕積立金

アパート経営の大規模修繕積立金は最低、家賃収入の5%を充てる必要があります。
これでも不足する場合がありますので、余裕が生じた際は少しでも積立をする習慣が大切です。

【事例3】
アパート:1K8戸、家賃:60,000円/戸があります。毎月の修繕積立金の目安は?

  

修繕積立金 = 60,000円/戸・月 × 8戸 × 5% = 24,000円/月

区分マンション・アパートの原状回復の考え方 ※4

区分マンション・アパートの入退去に伴う原状回復の考え方について、国土交通省住宅局が発行する「賃貸住宅標準契約書」や「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき解説します。また、原状回復工事の費用相場を掲載します。

「賃貸住宅標準契約書」(国土交通省住宅局)の考え方

「賃貸住宅標準契約書」は、国土交通省が定めた賃貸借契約書のひな型(モデル)です。賃貸借契約をめぐる紛争を防止し、借主の居住の安定及び貸主の経営の合理化を図ることを目的として、平成5年1月29日に作成されました。その後、民法改正や近年の家賃債務保証業者を利用した契約の増加等を踏まえて、平成30年3月に改定されました。 ※5

賃借人の通常の使用により生ずる損耗

賃借人は原状回復義務が無いと定め、賃貸人が負担することになります。

賃借人の通常の使用により生ずる損耗以外の損耗

賃借人に原状回復義務があると定め、賃借人が負担することになります。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(国土交通省住宅局)の考え方

国土交通省住宅局は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の中で、「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。

■建物価値の減少と捉えられるものの分類
A    :賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの
B    :賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるもの
      (明らかに通常の使用等による結果とはいえないもの)
A(+B):基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えるもの
A(+G):基本的にはAであるが、建物価値を増大させる要素が含まれているもの

ここで、

G(グレードアップ):退去時に古くなった設備等を最新のものに取り換える等の建物価値を増大させるような修繕等

■賃借人の負担

A    :賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるものは、「経年変化」  か「通常損耗」であり、賃貸借契約期間中の賃料でカバーされてきたものです。したがって、賃借人は修繕する義務を負わず、賃貸人が原状回復費用を負担することになります。

B    :賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるものは、「故意・過失、善管注意義務違反等による損耗等」を含むこともあり、通常の使用により生ずる損耗とはいえません。賃借人には原状回復義務が発生し、賃借人が原状回復費用を負担します。 A(+B):賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生するものですが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗が発生・拡大したと考えられるものは、賃借人に善管注意義務違反等があると考えられます。賃借人には原状回復義務が発生し、賃借人が原状回復費用を負担します。

A(+G):賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生するものは、「経年変化」か「通常損耗」であり、賃貸借契約期間中の賃料でカバーされてきたものです。ましてや建物価値をグレードアップさせるような修繕等を負う義務はありません。したがって、賃借人は修繕する義務を負わず、賃貸人が原状回復費用・グレードアップ費用を負担することになります。

経過年数の考え方の導入

賃借人が入居経過年数1年で毀損させた場合と、入居経過年数10年で毀損させた場合を比較すると、
後者の場合は前者の場合よりも大きく経年変化・通常損耗があります。

この場合に修繕費の負担が同じであるのは賃借人相互の公平に欠きます。
そこで、賃借人の負担は建物や設備等の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させるのが適当です。

経過年数の減価割合については、「法人税法」における減価償却資産の考え方を採用し、耐用経過年数時
に残存簿価1円まで償却できるようになりました。例えば壁紙の場合、償却年数は6年で残存価値1円
となる直線を描いて経過年数により賃借人の負担を決定します。

Δ設備等の経過年数と賃借人負担割合(耐用年数6年・定額法の場合)

原状回復工事の費用相場

筆者も区分マンション・アパート経営を行っていますが、これまで十数社を利用して原状回復工事を行ってきました。その経験を基に原状回復工事の費用相場を下表に記します。

原状回復工事の種類 費用相場(地域により異なります)
ハウスクリーニング代
(専有面積により若干
費用は前後します)
25,000円前後/  1K
32,000円前後/ 2DK
38,000円前後/2LDK
44,000円前後/ 3DK
48,000円前後/3LDK
壁・天井の穴補修 約30,000円/箇所
フローリング汚れ除去 約10,000円/箇所
壁紙の張替 約2,000円/㎡
フローリング張替 約8,000円/㎡
カーペット張替 約3,000円/㎡
クッションフロア張替 約2,500円/㎡
畳張替 約6,000円/畳
エアコン取替工事
(サイズ・グレードによる)
約50,000~100,000万円/箇所
給湯器取替工事
(サイズ・グレードによる)
約80,000~150,000万円/箇所

Δ原状回復工事の費用相場

【事例4】
アパート1Kに10年入居した賃借人が引越することになりました。退去する際、賃貸人と賃借人が立会し、部屋の状況をお互いに確認しました。壁紙・床材(クッションフロア)がくすんできた点とエアコンの調子が悪く、それぞれ張替、取替工事とハウスクリーニングをすることにしました。いずれも法定耐用年数を過ぎていますので、賃借人負担は無く、賃貸人負担となることで合意しました。原状回復工事費用は?

壁  材      : 30㎡ × 2,000円/㎡ = 60,000円
床  材      : 10㎡ × 2,500円/㎡ = 25,000円
エアコン      :               50,000円
ハウスクリーニング :               25,000円
合  計      :               160,000円

となります。

「不動産売却にハウスクリーニング強制ではない!実施のメリットとデメリット」

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区分マンション・アパート経営の必要経費上の修繕費

修繕工事費が必要経費上、修繕費に当たるのか資本的支出に当たるのか、法定耐用年数、家賃収入に対する必要経費及び修繕費の割合(目安)について解説します。

修繕費か?資本的支出か?

修繕費と資本的支出の違いは、当該年度に全額必要経費として計上可能か、減価償却により全額を法定耐用年数で割って必要経費計上するかになります。

修繕費

修繕費は、元の状態まで戻すために修繕に要する費用です。例えば建物外壁の吹付塗装において、工事前と同じ品質で塗装し直した場合です。修繕費に該当すれば、全額当該年度に必要経費として計上します。

資本的支出

資本的支出は、元の状態より資産価値が高くなる修繕費用です。例えば建物外壁において、工事前は吹付塗装であったものをタイル張りにグレードアップした場合です。資本的支出に該当すれば、減価償却により必要経費として計上します。

修繕費か?資本的支出か?の判断

工事支払金額が20万円未満か?3年周期の修繕に該当すれば修繕費です。次に工事支払金額が60万円未満か?工事した資産の取得金額の約10%以下に該当すれば資本的支出です。これらに該当しなければ、税務署に確認する必要があります。

法定耐用年数 ※6

法定耐用年数は、減価償却資産が利用に耐えることが出来る、税法で規定された年数です。区分マンション・アパートの場合、減価償却資産の対象は、建物本体(躯体)、建物設備、備品・器具となります。土地は減価償却資産の対象にはなりません。

減価償却資産 法定耐用年数 定額法償却率
鉄筋コンクリート造(RC造)住宅 47年 0.022
重量鉄骨造(S造)住宅
金属厚4mm超
34年 0.030
軽量鉄骨造(S造)住宅
金属厚3~4mm
27年 0.038
軽量鉄骨造(S造)住宅
金属厚3mm以下
19年 0.053
木造(W造)住宅 22年 0.046
太陽光発電システム 17年 0.059
アーケード、日除け設備(金属製) 15年 0.067
電気・給排水・ガス設備 15年 0.067
エアコン等個別冷暖房機器 6年 0.167
電気冷蔵庫・電気洗濯機 6年 0.167
畳床・カーペット・クッションフロア 6年 0.167
天井・壁クロス 6年 0.167
キッチン流し台 5年 0.200
看板 3年 0.334

Δ主な減価償却資産の法定耐用年数と償却率

家賃収入に対する必要経費及び修繕費の割合(目安)

区分マンションとアパート経営では、家賃収入に対する必要経費と修繕費の割合が違ってきます。

区分マンションの場合(目安)

区分マンションの場合、家賃収入に対する必要経費の割合は約35%前後です。さらに家賃収入に対する修繕費の割合は約15%(10%~20%)です。アパートと比較して、高層階となり、共用廊下・階段部分の床面積の割合も大きく、エレベーターやエントランスなど設備や建物施設が充実しているからです。それを図示しますと下記のようになります。

家賃収入キャッシュフロー
(利益)
約15%管理費約10%
必要経費
(管理費、修繕費、固定資産税、等)
約35%必要経費の内訳 修繕費 約15%
(10~20%)
ローン返済額
(元金、利息)
約50% 固定資産税
都市計画税
約5%
水道光熱費
火災保険料
約5%

Δ家賃収入に対する必要経費及び修繕費の割合(区分マンション)

ただし区分マンションの場合、所有数が1戸であれば空室率は0%か100%かとなり、それに連動して家賃収入も100か0となるので、空室率は考慮しないものとします。

アパート経営の場合(目安)

アパート経営の場合、家賃収入に対する必要経費の割合は約20%前後です。さらに家賃収入に対する修繕費の割合は約5%です。それを図示しますと下記のようになります。

家賃収入 キャッシュフロー
(利益)
約20% 管理費 約5%
必要経費
(管理費、修繕費、等)
約20% 必要経費の内訳修繕費約5%
空室率 約10% 固定資産税
都市計画税
約5%
ローン返済額
(元金、利息)
約50% 水道光熱費
火災保険料
約5%

Δ家賃収入に対する必要経費及び修繕費の割合(アパート経営)

ただし、一括借り上げシステム導入やエレベーター設備などがあると、必要経費は30%~40%と膨らみます。

出所
※1 「改修によるマンションの再生手法に関する マニュアル」、国土交通省住宅局
※2 「第3編 長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」、国土交通省住宅局
※3 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」、国土交通省住宅局
※4 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」、国土交通省住宅局
※5 「賃貸住宅標準契約書について」、国土交通省住宅局
※6 「耐用年数(建物/建物付属設備)」、国税庁

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